http://www.asyura2.com/11/senkyo117/msg/193.html
Tweet |
http://seturibaika.blog72.fc2.com/blog-entry-587.html
毎日新聞が「検証・大震災」という特集で、東京電力原発事故を検証していて、これがなかなか力の入ったいい記事なのです。
細かいところで不満がないわけではありませんが、特に事故直後の混乱した現場をギリギリまで再現していて、紛れもなく後世に対する一級史料になるでしょう
特集を読んでいて一番驚かされたのが、菅総理が作業員に最大で500ミリシーベルトまでの被曝を許容させようとしていたこと。
緊急事態ということを加味しても酷薄な指示と言えます。まずは「毎日新聞」からの引用をどうぞ。
(引用はじめ)
検証・大震災:作業員、被ばく上限 首相「500ミリシーベルトにできぬか」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110725ddm001040055000c.html?toprank=oneday
◇「250」引き上げ3日後 安全確保、防衛相が阻止
自衛隊が東京電力福島第1原発の上空からヘリで放水した3月17日、東京・市ケ谷の防衛省に首相官邸から一通の文書が届く。タイトルは<線量限度の引き上げについて>。政府はその3日前、緊急作業時の被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたばかりだった。それをさらに国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に合わせて倍の500ミリシーベルトにする−−。
第1原発は爆発が続き、高線量の中での作業が必要だった。作業員の安全を守る立場の厚生労働省にすれば250ミリシーベルトが「ぎりぎりのライン」。しかし、細野豪志首相補佐官(当時、現原発事故担当相)から「250では仕事にならない。役所をまとめてほしい」と要請を受けた長島昭久前防衛政務官は関係省庁にその意向を事前に口頭で伝えていた。
15日には第1原発から約50人を除いて「撤退」が始まっていた。菅直人首相は東電の撤退に怒りを募らせ、東電幹部に「決死隊になるんだ」と活を入れた。その後、周辺には「撤退すれば、アメリカが(事故収束のために)占領しに来るぞ」と漏らした。(略)
ICRP基準の「500ミリシーベルト」は人命救助が必要なほどの緊急時を想定している。「今後、巨大な爆発が起きてそのような事態が考えられるようなら国民に説明すべきだし、そうでないのなら引き上げる必要はないのではないか」。防衛省の総意が官邸に伝えられた。
菅首相は爆発の可能性は否定する。決定寸前で上限引き上げは幻に終わった。
未曽有の原発事故に政府内は混乱を極めた。その収束に向けた作業は、現場の「安全」と引き換えになっていく。
(引用ここまで)
15日に第一原発に残っていた約50人。状況から考えれば、これが名高いあの「フクシマ50」と考えて良さそうです
被曝線量は250ミリシーベルトを超えると白血球数が一時的に減少し、500ミリシーベルトとを超えると血液中のリンパ球が減って免疫機能が低下すると言われています。
250ミリシーベルトがギリギリの線。500ミリシーベルトなら発癌率が急激に加速する。しかし官邸はその500ミリシーベルトを強制しようとしていたのでした(;一_一)
菅総理は「決死隊になるんだ」とげきを飛ばした後、「撤退すれば、アメリカが占領しに来るぞ」と自身の行為を正当化したと言います。
しかしアメリカが占領とはさすがに荒唐無稽な妄想…というより下手な言い逃れというべきでしょう
原発問題を長年追いかけてきた作家・広瀬隆氏は、収束のためには早目にアメリカに助力を願うべきだったと近著『原発の闇を暴く』(集英社新書)で述べています。
広瀬隆氏は、どちらかといえば反米主義的な発想をする人です。その人がこう言う。占領云々が如何にバカげた言い逃れだったかが分かるでしょう。
菅総理が東電本社まで乗り込んだことをリーダーシップだと称賛する人もいますが、実際にしたことは戦時中を彷彿とさせるアブナイ生命軽視の決断だったのです
さすがに防衛省が反対して500ミリシーベルトは正式に採用されることはありませんでした。
先日、海江田万里経産相が、線量計を外すなど被曝量を少なくする工作をしてまで作業に励む作業員を「英雄」だと称して非難を浴びました。
そういうことをさせないようにバックアップするのが政治の仕事であり、怠るのは生命軽視の表れだという意味の非難です。
確かにその通りなのですが、海江田経産相の発言は必ずしも個人の立場から出たものとは言い難い。むしろ政府全体を覆う思想であることが分かります
記事の続きには、作業続行を命じられた作業員の苦悩が生々しく記述されています。
↓↓↓
◇俺たちに、ここで死ねっていうことか
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/verification/news/20110725ddm010040007000c.html
(略)菅直人首相が視察のため作業拠点の「免震重要棟」に現れたのは、その日(引用者注:12日)の朝。原発の「頭脳」に当たる中央制御室にいた若手社員(21)は、同僚たちが首相に「何やってんだ。何とかしろ」と怒鳴り散らされたと聞いた。「俺たちに、ここで死ねっていうことか」
…言葉を失います。記事にはこのほか「国民のために覚悟を、と菅首相は言ったようだが、作業員だって国民。みんな被災者なんですよ。だけど、国はうちらを国民と思っていないですよ、絶対に」という発言が残されています。
また「妻は『貧乏でも、危ないところへは行かないでと引き留めればよかった』と悔やむ」という一文も挿入されています。命じた菅総理はまさに特攻隊の発想と言えましょう。
事故収束のために500ミリシーベルトが必要だとあくまでも言い張るなら、内閣閣僚とその家族、支持者たちから真っ先に作業員に投入すべきでしょう。
これは事故の有無にかかわらず、原発労働の恐ろしさを示す挿話でもあります。事故以前から現場の作業員はしばしば上からの方針で無茶な被曝を強要されてきたのでした。
その意味では自民党にも責任がありますが、同時に3・11以前の菅総理は熱心な原発導入派だったこと。このことも記憶しておいた方が良いでしょう
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK117掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。