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本当の社会的弱者は誰か。 社会保障の改革に、所得水準の視点を
http://www.asyura2.com/11/senkyo117/msg/191.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 26 日 09:33:28: 6WQSToHgoAVCQ
 

所得と資産を把握した上で社会保障はBIで一本化するのが効率的だろう
本来は民主党は、その方向だったはずだが、政策が完全崩壊してるな
http://diamond.jp/articles/-/13307
出口治明の提言:日本の優先順位 
【第15回】 2011年7月26日出口治明 [ライフネット生命保険椛纒\取締役社長] 

本当の社会的弱者は誰か。社会保障の改革に、所得水準の視点を 

 前回は主として税改革について論じたので、今回は社会保障改革について私見を述べてみたい。政府の一体改革成案は、 社会保障改革の基本的考え方について、次のように述べている。「国民皆保険・皆年金を堅持した上で、給付と負担のバランスを前提として、それぞれOECD 先進諸国の水準を踏まえた制度設計を行い、中規模・高機能な社会保障体制を目指す。」この考え方自体は、わが国の現実に照らして常識的かつ現実的であっ て、おそらく市民の大多数の賛同が得られるのではないかと思われる。

現実の所得の分布状況を直視せよ

 ところで、社会保障は、社会的弱者の救済をそもそもの目的とするものであるので、最初は、わが国の現実の所得分布の状況を虚心坦懐に眺めるところ からスタートしてみたい。いろいろな切り口があるが、所得分布を年齢階級別に見ると次表の通りであって、実はわが国では20代が一番貧しいという結果が出 ているのである。
世帯主の年齢階級別にみた1世帯当たり−世帯人員1人当たり平均所得金額 (厚生労働省 2010年調査)
 このような現実を踏まえれば、「子ども・子育て支援、若者雇用対策」の重要性が改めて痛感されるが、この問題については稿を改めるとして、今回は社会保障の2大横綱である医療と年金について論じてみたい。

次のページ>>医療改革に年齢制限は必要か

医療改革は年齢制限なしに

 わが国の健康保険制度は、戦後半世紀の尺度で眺めると、平均寿命の伸長と医療費の抑制(対GDP比で見れば、わが国の医療費は英国と並ぶ低水準)という優れた成果をもたらした。筆者はその核の一つは高額療養費制度にあると考えている。

 不幸にして重い病を患い高額の医療費がかかったとしても、一定金額で頭打ちとなり天井知らずの負担を心配しなくてもよいこの制度ほど、国民皆保険の趣旨に沿うものはないであろう。

 ところで、現在の高額療養費制度は年齢(70歳以上かどうか)や所得によって分けられているが、先にも見た通り、わが国では高齢者が必ずしも貧しいわけではないし、通常のケースでも70歳以上の現役並み所得者の窓口負担は3割となっているのだから、年齢基準を外して所得水準一本で制度運営を行うべきではないか。同様に医療費の自己負担についても、70歳から74歳などの年齢基準をすべて外して、所得水準一本で再構成することが望ましいと考える。

 結論を述べれば、年齢区分を排して、所得水準(現行の高位、中位、低位所得者の3区分を存置してよいと考える)で区分した高額療養費制度と自己負担(3割)制度を中核とし、必要に応じて受診時定額負担等を組み合わせることが健康保険制度改革の大きな方向性ではないか。
電子カルテの早期導入を

 一体改革成案にある「ICT(情報通信技術)活用による重複受診・重複検査・過剰薬剤投与の削減」を実現するためのベストの方策は、健康保険証をICカード化し、医師や患者がカルテの情報にいつでも自由にアクセスできるようにすることである。

 カルテは基本的には患者のものである。常に携帯する健康保険証を起点として過去の病歴にすべてアクセスできるようになれば、仮にいつどこで倒れたとしても市民の不安は一掃されよう。現在の技術水準をもってすれば、10年を要することなく電子カルテへのアクセス権を全市民に行き渡らせることは十分可能であると考える。

 また、将来的にはカルテの他、献体(臓器提供)意思の有無や、本人が意識を失った時等のことを考えて、どのような終末医療を望むか等の個人情報を入れ込むことが望ましい。本人が真に望む医療を受ける権利は、基本的人権そのものに他ならないと考えるからである。

 医療改革については、年齢区分の廃止と電子カルテの導入に加えて、英国のように病院・診療所の役割分担を踏まえた外来受診の適正化も、大きな改革の柱になると考える。裁判制度も全員が高裁や最高裁に駆け込んだらたまらないであろう。最初の裁判は地裁から始めるように、医療についてもまずは近くの診療所から始めるという社会慣行をこれからは作って行くべきであろう。
次のページ>> 年金を保険の原点から見直してみると・・・

年金改革は保険の原点に戻るべき

 年金制度は本来的には(生存)保険の原理を活用した仕組みであって、現在は、原則として、一定の年齢到達(65歳)を保険事故(支払い事由)と見なして、終身年金を支払う制度が根幹となっている。

 しかし、年金のそもそもの趣旨は高齢になって所得がなくなることへの備えではないか。そうだとすれば、保険事故の定義を「一定の年齢への到達かつ一定の所得以下」と変更すべきではないだろうか。平たく言えば、一定以上(例えば国民平均以上等)の所得がある高齢者には年金を支払う必要がないと考えるがどうか。

 次に、物価スライドは当然として、支給開始年齢の引き上げについてであるが、アメリカやドイツのように67歳に引き上げる設計をすでに行っている国もある。周囲で見聞きする高齢者の健康ぶりを考えても大筋では引き上げには異論はないものの、大切なことは働く場を供給することであろう。

 幸いにもわが国はこれから大幅な労働力不足が想定されているので、さほどの心配は不要と考えるが、定年を延長もしくは廃止した企業には奨励金の付与や法人減税を行う等のインセンティブを上手く組み合わせ、社会全体として働く意欲のある高齢者には少なくとも65〜70歳程度までは雇用の場を提供していくことが要請されよう(ちなみに3年前に開業した当社では、就業規則で定年制を設けず、年齢フリーを実現している)。
次のページ>> 年金への不安を煽ったメディアの責任は?

メディアは年金不信を煽り過ぎ。
国民年金ほど有利な年金商品はない

 厚生労働省は7月13日、2010年度の国民年金保険料の納付率が59.3%となり、3年連続で過去最低を更新したと発表した。由々しき事態である。特に若い世代の納付率が低い。20〜24歳が49.2%、25〜29歳が46.6%、30〜34歳が50.9%と2人に1人が納めていない状況である。

 これは先述した若い世代の所得の低さが主因だと思われるが、メディアが年金不信を煽っていることも大きい原因ではないだろうか。現に何人もの若者から「政府の年金は当てにできないので、個人年金や投信等で準備をしている」云々という話を聞かされた。

 これは大きな勘違いだと考える。まず第1に、政府が年金を支払えなくなる時は政府が破綻する時である。政府が破綻した時にわが国の金融機関が無傷で残っているとは到底考えられない。恐らく政府の破綻以前にわが国の金融機関の大半は破綻しているであろう。

 第2に、国民年金は納付金に税金をプラスオンして支払われる仕組みとなっている。現在では10兆円を超える税金が投入されており、そうである以上民間の金融機関では、逆立ちしても政府の国民年金より有利な年金商品を作ることは誰にもできないのである。ましてや、昨今のような低金利状態では複利効果も期待できない。

 すなわち、現状では国民年金ほど有利な年金商品は実はどこにもないのである。このようなごく当たり前の事実を、メディアは広く市民にPRする責務があるのではないか。物事の一面のみを捉えて、いたずらに不安を煽ることだけが、メディアの仕事ではあるまい。年金不信を煽ることで、低年金や無年金の市民が増えたとしたら、メディアは一体どのようにしてその責任を取るつもりなのだろうか。

 その一方で、具体的な数字やデータに立脚したすばらしいメディアがないわけではない。例えば7月18日の日経・エコノフォーカスである。これによると、わが国の家計貯蓄率は高齢化の影響を除外した数値でみると、23.4%(09年)と78年以来実に30年ぶりの高水準となっており、その主な理由は将来の年金不安であるという。これではGDPの大宗を占める個人消費が本格回復するはずがない。

 同記事で関西学院大学の亀田准教授は「個人の期待を変えるほどの大規模な財政健全化が打ち出されれば(消費抑制の緩和に)効果がある」と指摘している。また同記事によれば、「年金制度への信頼度が高い北欧では消費支出が所得を上回る」という。社会保障と税の一体改革を成し遂げ、将来不安を取り除くことこそが、わが国の景気回復の本筋でもあるのだ。


(文中、意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)  

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