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5月の浜岡原発停止と今月の玄海原発再稼働中止で盛り上がった「脱原発」の機運も、空気を読もうとして「脱原発」を口にする人間が急増したこともあって争点がぼけてきた。
玄海原発の再稼働中止の影響は大きく、真っ先に原発を再稼働させるハードルは上がった。この先、東京電力が供給する電力が不足する事態はまず考えられないが、原発推進勢力は、原発依存度の高く、かつ近畿地方以外では保守が強い西日本から巻き返しを図っていくのだろうか。
政局だが、当初陰謀論の匂いが強いと思っていた「菅降ろしに原発の影」の話は、それを否定する材料が全然現れないどころか、仙谷由人一派や岡田克也らが「菅降ろし」に加担するようになり、しかも連中が揃いも揃って原発推進勢力だったため、ますますその確からしさが強まった。
菅直人の命脈は、ほぼ尽きつつあるように思われる。海江田万里との確執については、あまりに経産官僚の言いなりの海江田万里の主張は論外だとは思うけれども、最初に海江田が原発再稼働を言い出した時に菅直人がストップをかけなかった「初動の遅れ」が最終的に菅直人の命取りになったのではないか。もちろん、もっと問題だったのは先月の不信任案提出劇で菅直人が鳩山由紀夫と取り引きしたことだったけれど。
菅直人は、最初、海江田と同じ意見だと口にした。だが、後日になって玄海原発再稼働をひっくり返した。そのタイミングで九電の「やらせメール」問題を共産党が国会で取り上げ、玄海原発から再稼働が始まる原発推進勢力のもくろみは潰えた。
実は、海江田と経産省は菅直人に相談せずにことを進めたという話があとから出てきたが、世間の同情は菅直人に「梯子を外されて」目を赤くした海江田万里に集まり、菅内閣の支持率はさらに下がった。
菅直人は、8月6日に広島で「脱原発」のスピーチをして、その反応を見て場合によっては「原発解散」に踏み切るとの見通しが少し前まで語られていたが、もはや菅直人が何を言おうが内閣支持率が上がる状況ではない。終戦記念日後には菅直人は退陣時期を明言し、8月末(9月にずれ込むとの観測もある)には民主党代表選が行われ、9月には新内閣が発足すると思われる。「原発解散」はもはやあり得ない。
このところ日本では、9月に総理大臣が代わるのが恒例になっている。鳩山由紀夫だけはもっと早く潰れたが、菅直人の「粘り腰」で「9月の総理交代」に戻るのだろう。次の内閣も、発足当初はそこそこの支持率を得て、冬には失速し、春には「降ろし」の強風が吹き、来年9月にはまた総理大臣が代わるだろう。
ちょっと前まで、私は民主党の代表選が行われたら、「脱原発」を強く訴える候補が勝ち、次期総理大臣に就任するだろうと思っていたが、最近その考えを改めた。民主党の政治家で、他の政治家より「脱原発」を多少は前面に押し出しそうなのは、馬淵澄夫か細野豪志あたりだろうが、その彼らにしても、人気とりのためとはいえ、浜岡原発停止や玄海原発再稼働阻止を実行した菅直人ほどにも実行力はないだろう。そして、前原誠司は「脱原発」の争点化を阻止すべく(そう私は前原の意図を推測する)、一昨日の『報道ステーション』で「20年メドに脱原発」と口にした。その前原は、しばらく前には菅直人の「脱原発」は「ポピュリズム」だと批判していた。
それでは小沢派は「脱原発」候補を押し立てるのかというと、そんなことにもなるまい。当初、民主党執行部が早々と菅直人を降ろすとマスコミがミスリードしていた頃、小沢派が「増税を封印する」という条件と引き換えに野田佳彦を推すという観測が流れたことがあった。小沢派にとっては「増税阻止」が第一義で、原発問題は二の次ということらしいなと私は思った。
震災前、小沢派は名古屋の河村たかしを強く推し、当ブログはそれをずっと批判してきた。小沢一郎は今でも基本的に「小さな政府」論者なのである。2009年に民主党が掲げたマニフェストは「小さな政府」とは矛盾するのだが、おそらく小沢一郎には「秘策」があるのだろう。それは、「三人寄れば文殊の知恵」といった類のものに違いない。そういえば、菅直人も小沢一郎も「もんじゅ」の廃炉は全然言い出さないなと思っていたら、「みんなの党」に先を越された。このあたりが菅や小沢のKYなところだ。菅直人は、国会で「みんなの党」の江田憲司の質問に対して、やっとこさもんじゅの廃炉を含めた「議論を始めたい」などと答弁したらしいが、腰が重過ぎる。
最近では当ブログは「鍋パーティー」的話題を取り上げていないが、復興財源に所得税と法人税の一部増税を充てるという話がようやく出てきたことについては、私は当然の方向性だと考えている。この議論は震災直後からあり、東西ドイツ統一の際の「連帯税」に範をとるものだったはずだ。ところが、それを所得税や法人税ではなく、逆進性の強い消費税で賄おうとしていたのが与謝野馨で、その一方で「いかなる増税にも反対」とか「税金は罰金だ」などと唱えていたのが、東日本大震災前には飛ぶ鳥を落とす勢いだった河村たかし一派であり、それを支援してきたのが小沢一派だった。財政再建原理主義勢力と減税真理教勢力が不毛の論戦を行って結局何も進まない、税をめぐる議論は最悪だ。震災後、河村一派が支持を失い、与謝野馨も度重なる原発擁護発言などで閣内にも味方を失いつつあるのは良い傾向だ。おそらく、次の内閣に与謝野は入閣しないだろうし、入閣させてはならない。そして、次の総選挙では与謝野馨は絶対に落選させなければならない。与謝野を政界引退に追い込まなければならない。
ついつい「My大天敵」である与謝野馨や河村たかしへの批判のボルテージが上がってしまったが、小沢一派の話に戻ると、彼らに「脱原発の旗手」を期待するのは、それこそないものねだりだと私は考えている。小沢派で「脱原発」論者というと、タカ派で有名な森ゆうこか、軽挙妄動が目につく川内博史あたりだろうが、ともに「ポスト菅」ではあるまい。特に、川内博史は総理大臣はもちろん「政治家の器」ですらないと私は考えている。この男は、そのうち「トンデモ」とでもつるんでしまいそうな気がする。そう、あの浜田和幸のように。
こうして考えると、結局仙谷一派とも小沢一派とも適当に妥協できる無難な人物がとりあえず菅直人の後継の総理大臣になって、重厚長大産業が牛耳る経団連や、天下りのポストなどを手放したくない経産官僚にとってはより「御しやすい」内閣が発足するという以外の展望は持ち得ない。結局野田佳彦あたりが総理大臣になってしまうのではないか。想像したくないけれど。
この期に及んで「小沢さんなら何とかしてくれそう」と思っている「小沢信者」は多少は残っているとは思われるものの、その数は激減してきたようだ。ブログでも小沢信者の絶叫の声は次第に小さくなり、そんな中で橋下徹の地元近くから若干の毒電波が引き続き飛んできてはいるものの、それらのブログが発信する意見はほとんど相手にされなくなってきている。
「脱原発」は人まかせではなく、自分たちが進めるんだと思う人々が増えない限りは現実のものとはならない。このところ、毎度この同じ結論で記事を締めくくることが多くなった。このワンパターンも閉塞状況の反映かもしれない。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1201.html
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