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『週間ポスト』8/5日号
平成23年7月25日(月)発売
小学館 通知
「原発官報複合体」を撃て この国でも「本当のこと」を言うと殺される≠フだ
「天下りはしないといっちゃったから失うものはなにもない。そんな僕は体制側から見れば、想定外の危険人物なんでしょう」古賀茂明(経済産業省大臣官房付)
「日本は、政治と官僚、産業界、メディアが四位一体になった、核マフィア国家に成り下がっている」上杉隆(ジャーナリスト)
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東京電力とともに「原子力村」を形成してきた経産省の内側から、火の手が上がった。霞が関改革を訴えてきた経産官僚の古賀茂明氏が、近著『日本中枢の崩壊』(講談社)で、ついに「原発利権」という最大タブーに踏み込んだのだ。その結果、彼を待っていたのは、事務次官からの「退職勧奨」という火消し工作だった。
ところがこの異常事態に、記者クラブからはほとんど異論が聞こえてこない。なぜか。彼らもまた、原子力村のもうひとりの住人だからである。ジャーオリスト上杉隆氏とともに、「官報複合体」の病理を暴く。
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経産省が握り潰した私案
上杉 経産省を辞める期限が、確か今日(7月15日)でしたよね。
古賀 そうそう、「今日は辞めません」といってきました。そうしたら事務次官から、「まあ、強制はできないからな」と。で、その後に「いつ辞めるの?」っていわれました(笑い)。
上杉 相手が辞めろといってきたときは、絶対辞めないほうがいいですよ。辞めるなという時は逆ですけど。
古賀 僕は辞める辞めないじゃなくて、「仕事をさせてください」っていってるだけなんです。僕は公務員制度改革とか規制改革をいい続けてきた。そういうのが積み重なってるから、体制側にいる人たちから見ると危険人物なんでしょう。
上杉 でも、決定打になったのは、経産省に握り潰された「東京電力の処理策」(※1)の私案を発表した、ことですよね。
※1 古賀氏が発表した私宴では、発送電分離を含めた電力規制緩和だけでなく、電力業界を取り巻く政官業の癒着を断ち切るための具体案を提言。また学者や労働組合、メディアを含む構造的な癒着への対応策も書いている(『日本中枢の崩壊』に収録)
古賀 いま審議されている賠償法案は、電力会社と株主と銀行を守り、国民にツケ回しするとんでもないもの。結局東電を今のまま温存しようとしています。
上杉 何か仕組みを変えようとすると、抵抗するのが官僚機構の常ですから。
古賀 ええ。今の仕組みが変わると、官僚にとっては天下り先がなくなったりとんでもなく損する可能性があかから抵抗するんです。
電力血走に天下りした先輩に、「何かあると経度省を説得してくださいとかいわれたり、結構犬変じゃないですか?」って聞いたら、「電力会社から見て経産省っていうのは一番重要な関係だから、そんな大事なことは僕にはやらせてもらえないんだ」と。給料が高くて仕事も責任もないという、本当に楽な生活をしている。
上杉 だから古賀さんみたいに変えようとする人間が出てくると、恐怖心をもつ。
古賀 普通、官僚は天下りに期待してるから、天下りできなくなるのか怖くて「改革」を唱え続けるなんてできない。でも、僕は先に自分から「天下りはしません」っていっちゃったから、失うものが何もない。
上杉 官僚としても想定外だから対応できない。
古賀 だから今、どういう手で辞めさせようかと……
上杉 懲戒を理由に辞めさせるために、何でもいいからスキャンダルを探せと。
以前は高橋洋一さん(※2)が狙われてましたよね。
※2 元財務官僚で経済学者を現・嘉悦大学教授)。小泉内閣の経財相補佐官や安部内闇の内閣参事官などを歴任。「霞が関埋蔵金Jの発掘などで注目を集めた。08年の退官後には東洋大学教授に就任したが、窃盗容疑で書類送検されたことによっい解任された
古賀 彼にも落ち度はあった。でも、あれだけ大きなニュースにしたのは官邸なんですよね。高橋さんは温泉のロッカーにあった他人の忘れ物を、あとで返そうと思って鞄に入れたまま、忘れて出ちゃったと。そしたら、私服警官が待っていたという。普通なら悪質性もないから、気をつけろよっていって終わりなんだけど、起訴もされてないのに大々的に報道されてしまった。それで、彼は大学を辞めたわけですよ。
上杉 官僚とメディアが社会的抹殺を目論んだ。この国でも、本当のことをいうと殺されるんですよ。
古賀 それに、僕に会ったこともない官僚がみんなでマスコミに悪口をいってるそうです。それを開いた素直な記者たちは「あいつはおかしい」と思っちゃう。
そんなヤツ取材しても仕方ないと、僕への取材を止める火が増える。経産省の記者クラブの人たちにも、僕と仲良くしていると他から情報をもらえなくなると心配してる人もいた。最近はさすがにみんな取材に来てくれてますが。
上杉 経産省のみならず記者クラブは、長谷川幸洋さん(東京新聞論説副主幹)のいう通り「ポチ記者」の集まりですから。経産省の大臣会見で、クラブ外の記者たちから古賀さんのことについて「何でクビにするんだ?」とか質問が相次いだとき、幹事社の記者が「まともな質問ないか」といって、彼らの質問を打ち切っちゃったそうですよ。
古賀 そうなんですか。普通、経産省の記者クラブでは、1問質問して答えがあったら、それ以上は聞きませんからね。
上杉 結局、官僚に嫌われると、同時にメディアからも嫌われるという構図ができているんです。サラリーマン記者にとっては、古賀さんの話す真実を書くよりも、大臣の会見とか、どうでもいい話を落とすほうが怖いんですよ。
古賀「新聞社のシンポジウムから外された」
古賀 実は経産省が7月15日に辞めろといってきたのは、ちょうど国会で東電問連法案の審議が始まり、僕がそこに呼ばれると困るというのもあるらしいんです。
上杉 海江田さんが官僚が書いた想定問答を読むのに対して、古賀さんが野党からの質問に立って「それはおかしい」といい出したら大騒ぎになって国会が止まる。本当はメディアは古賀さんが国会に呼ばれることは無視したいんですけど、国会が止まったらさすがに書かざるを得ない。記者クラブメディアはそれを相当恐れていますね。
古賀 とくに電力事業分野に関しては、マスコミへの影響も大きいですから。
上杉 大きいですね。
古賀 最近も、ある大手新聞社からシンポジウムのパネラーに呼ばれ、他の出演者も決まり」日程調整も全部終わった段階で、僕だけが外されたんです。役員会で古賀を出すのはダメだという話になったようですね。
上杉 いまは「原発記者クラブ」だから。アメリカの『THE NEW YORKER』の言葉を借りれば、日本は政治と官僚、産業界、メディアが四位一体になった、核マフィア国家に成り下がっているんです。
古賀 その通りですね。
上杉 自民党は電力会社の集まりである電事連(電気事業連合会)、民主党は労働組合の電力総連から金をもらい、人も入っている。特に選挙の時がそう。さらにメディアは広告費と接待費で完全に骨抜きにされて、誰も文句をいえない。原子力推進が、利権というか国策の公共事業になっている。
古賀 だから、そうした電力会社とマスコミの癒着構造をなくすために、僕は「私案」に電力会社の広告を禁止しろと書いたんです。電力会社は競争をしていないのに、なぜ広告を出さなければいけないのか。
原発事故で東京電力があんなになって、もう広告は出せないかもしれないと思っていたら、いきなり大量のおわび広告を流七始めた。
そして次に節電広告。あれは「俺たちはまだまだ広告を出すよ」というサインなんですよ、明らかに。
上杉 だから賠償法案が電力料金の値上げと増税に向かっているのに、メディアは批判するどころか、完全に同調しているわけです。
古賀 財務省はとにかく今すぐにでも増税をやりたい。
しかも段階的に、永遠に増やし続けるみたいなプロセスにしようとしている。ここにはたぶんメディアと財務省との取引があるんです。
消費税が20%、25%とかが視野に入ってきたときに、「新聞だけ低税率にしますよ」とか。逆にもし大手各紙が揃って増税反対といえば増税はしにくくなるけど、「増税したあかつきには、お前らも同じ税率だからな」といわれてしまう。
上杉 とくに新聞社は、増税に反対するふりをしただけで、国税調査が入って追徴で何億円も取られてきましたから。そもそも朝日、読売、日経、産経、それにNHKも本社の土地は国有地の払い下げ。財務省に抑え込まれるシステムに、自ら入っていってしまったんです。
古賀 テレビ局も、別に電力会社にやめろといわれてるわけでもないのに、その前に自分でセーブしているところがありますね。プロデューサーが「ちょっとやめておこう」みたいな。
逆に報道で間違ったことがあれば電力会社からいってきますが、電力会社ってガミガミ怒らずに 「これからは、ぜひご配慮をお顔いします」っていうんですよ。
上杉 霞が関もやりますよね。記事に抗議なんてせずに、「ご説明したい」と。
要は緩やかな圧力をかけてくる。僕だったら「ご説明」っていわれた瞬間に「官僚がご説明に来るらしい」って書いちゃうけど(笑い)。
古賀 財務省は今、消費税増税キャンペーンで各テレビ局とかを回ってますよ。
面白いのは、財務省幹部が局に来るときに、局の幹部が彼らを正面玄関から通して、わざと見えるようにするんです。僕は最近、あるテレビ局で見ましたが、財務省の偉い人が4、5人連れて局に入っていくと、正面玄関で某部長が待っていて、みんなが見てる前でお互いに丁寧にお辞儀する。
部長からすると、「俺が財務省を呼んだんだ」となって気分がいい。
上杉 社内では「あいつは財務省と太いパイプを持っている」となれば、それでもう出世コースですからね。
でも海外だったら財務省との癒着は記者としてマイナスで、社内で見せたりしたら首が飛ぶかもしれない。
古賀 普通の感覚なら、誤解を恐れて堂々とはやれない。それをわざわざ人に見せるために表玄関でやるなんて、本当にすごい。
上杉 まさに官報複合体。
上杉「海江田は敵の敵だから持ち上げる」
上杉 政治でいえば、最近、連日のように菅さんと海江田さんの対立が報じられていて、メディアはこぞって「海江田さんは頑張ってるのに可哀相だ」という論調を展開している。これも完全に官報複合体によるイメージ戦略です。
古賀 私は全く菅擁護派ではありませんが、菅さんが脱原発を仮に思いつきでいっているとしても、一国の首相がそれに賭けようと思っているときに、担当大臣が従わないで、かつ首相を批判するというのはちょっと異常な状態です。
上杉 それを記者クラブも後押しする。海江田さんが素晴らしい政治家だなんてこれまで1回も書いたことがないのに、敵の敵は味方だから突如持ち上げる。1年前は小沢一郎が敵だったから、菅直人を素晴らしい政治家だっていっていた。
今度は菅が自分たちの利権に歯向かってきたから、菅を潰す。そのためなら証でも御輿に乗せるわけです。
古賀 菅さんの問題は、具体策を作る部隊がいないんです。経産省に作れといっても、経産省はやる気がないから毎回全然違うものを出してくる。一方で、官僚を信頼している海江田大臣は、「それで行こう」といってどんどん進めていく。
だから、玄海原発の再稼働のお膳立てができたときに、菅さんは「俺はそんなことやりたくない」といい、海江田さんのほうは「梯子を外された」と……。
上杉 要は海江田さんが官僚のいいなりになってるだけのこと。本当ならメディアが「内閣不一致」といって海江田批判をすべきなのに、新聞もテレビも原発推進だから、首相である菅ざんを批判する。官僚システムの補完機関になっていて、事実を伝えるのではなくて、役所のいいなりの海江由さんを応援する。日経なんかは「無責任」「場当たり的」と総理を社説で徹底的に叩いていた。どこが中立公正なんだか。
古賀 これは普通の国じゃありえませんよ。
こが・しげあき1955年生まれ。東京大学法学部卒業後、通産省(現・経産省)に入省。公務員制度改革に取り組むが、09年末より大臣官房付という仕事のないポストに置かれ、10年10月の参院予算委員会では、政府の天下り対策を批判したところ仙谷由人官房長官(当時)から「こういうやり方ははなはだ彼の将来を傷つける」といわれ話題になった。今年6月、退職を勧奨された。5月に発売された著書『日本中枢の崩壊』が異例のベストセラーに
(写真)海江田&経産省と菅首相の対立が激化
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