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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110720-00000000-sundaym-pol
<サンデー時評>「首相のウソ」が国を乱している
サンデー毎日 7月20日(水)17時1分配信
◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
〈ウソ〉
と、
〈嘘〉
と、目にした時、文字としてどちらがインパクトが強いかと問われると、むずかしい。使用頻度は半々ぐらいと思われるが、たまに〈うそ〉も交じる。とにかく猛暑のさなか、最近はやたらこれらの文字が目に飛び込んできて、不快指数が増す。
いま発売中の週刊誌、目次を新聞広告で眺めただけでも、
〈「恐怖の放射能」の嘘を暴く〉『週刊ポスト』
〈東電と経産省のウソ「電力不足」は作られた〉『AERA』
〈菅の「脱原発」なんて大嘘!〉『サンデー毎日』
といった調子だ。テレビをつけると、
〈電力不足はウソ!?
「埋蔵電力」を政府が調査へ〉
という特集を放映中だった。
週刊誌、テレビを批判しているのではない。原発がらみの情報が最初からうさん臭く、それを3・11の大震災発生から四カ月も続けていると、すべてがウソに見えてくる。ウソがウソを呼ぶ病理現象で、報道はそれを映し出し、〈ウソ・嘘〉の氾濫と相なるのだ。
書籍にも及んでいる。小出裕章京大原子炉実験所助教の『原発のウソ』(扶桑社)や武田邦彦中部大教授の『エネルギーと原発のウソをすべて話そう』(産経新聞出版)などがベストセラーだという。ウソものが売れるらしい。
深刻である。原発問題だけではない。たとえば、七月十二日付の『朝日新聞』朝刊をめくる。〈耕論〉というオピニオンページ、社会保障と税について論客が論じている。権丈善一慶應大商学部教授の主張は、
〈「永遠のウソ」つき続けたまま〉
の見出しだ。権丈さんは、
〈政府・民主党の一体改革案を読むと、中島みゆきの「永遠の嘘をついてくれ」という曲を思い出す。「ウソと分かっているウソ」をつき続けるよう恋人や友人に願う切ない歌だ。……〉
と語り出している。改革案は現行制度の延長線上にあり、マニフェストは大ウソ、今後も「いつかは実現させる」という「永遠のウソ」をつき続けるのだろう、という論旨だ。
〈ウソ〉を連発するほどか、とも思うが、わかりやすい。ウソにも深浅の幅がある。最初から意図したあからさまなウソと、適当に真実をカムフラージュしているうちにどうしようもなくなるウソ、裁くとすれば、量刑に差が出てきそうだ。原発のウソは重刑になるのではないか。
◇嘘があふれるご時世の源はいい加減な政治家
ところで、また世代論と言われそうだが、ウソについては鮮明な記憶がある。旧満州大連市で過ごした少年時代のことだ。当時、石ころを投げて他家の窓ガラスを割るいたずらがはやった。洋館の建物をなぜか狙い撃ちにした。
ある日、一つの洋館の奥さんがわが家の玄関にやってきて、
「おたくの坊やが……」
と攻めたてた。私が常習者とみられていたからだ。母は私を玄関に引きずり出した。
「おまえか」
「いや、ぼくじゃないよ」
「またウソをついて……」
と言うなり、母は奥さんの前で私のほおに強烈な平手打ちを食わした。私は昏倒した。
実際、あの時はぬれ衣だった。抗弁できないまま母に恨み心を抱いた。そんなことが何度もあったと記憶している。体罰からのがれたい一心でウソをついたこともある。
当時、ウソには鉄拳制裁、というのが母親たちの普通の教育法だった。真偽はともかく、疑いをかけられただけで恥、と母は思ったのだろう。
「ウソだけはいけない」
という当たり前のことを、私たちの世代は骨身で知ったような気がする。いまでは、恨みの平手打ちが貴重なものと思っている。あのころ、母親はそういう存在だった。
世代論はともかく、なぜ〈ウソ・嘘〉の文字があふれる情けないご時世になったのだろうか。もとをたどると、政治と政治家のいい加減さにぶつかる。
某紙の先日のコラムによると、向田邦子さんの随筆『ホームドラマの嘘』のなかに、
「大きな嘘のつける人は政治家におなりなさい」
というセリフがあるそうだ。『婦人公論』の一九七四年九月号で発表されたというから、三十七年も前だ。政治家とウソは昔から縁が深い、あるいは宿命的にそういう目で見られてきたということだろう。小さな嘘でなく、大きな嘘をつける人でないと、政治家には向いていない、というふうにも読める。
だが、十把一絡げで〈政治家とウソ〉を片づけるのは酷である。誠心誠意で邪心のない、従ってウソのつけない政治家を何人も知っている。しかし、一方、虚言癖ではないかと思われる政治家も少なからずいた。一般社会とあまり変わらない。
ただ、政治の場合、ウソが重ねられるのを、組織的に見て見ぬふりをする不作為の罪がしばしば大きい。さらに、何よりも、トップリーダーのウソは看過できないのである。
私は3・11の直後から菅直人首相の退陣を求めてきた。さまざまな立場の人から問いかけられることが多い。
「辞任を求める理由は何か」
「第一に人格的不信だ」
「不信の原因は」
「ウソをつくことだ」
と答えている。まず、尖閣諸島沖の漁船衝突事件である。体当たりの中国漁船船長を逮捕(昨年九月八日)しながら、処分保留のまま釈放した。菅さんは国会で何度追及されても、
「検察が総合的に判断し、自主的に決定した。政府はまったく関与していない」
と繰り返した。大きなウソである。ウソの確証がある。国民もみんなそれを漠然とではあるが知っている。保身大事の首相が平気でウソをつく。
国が乱れるのは避けられない。
<今週のひと言>
なでしこジャパンと澤主将、暗い日本を救った、ありがとう。
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