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故郷を失う人々
政府は3月11日の午後7時3分に緊急事態宣言を発し、その2時間後の9時23分に、3Km圏の避難と10Km圏の屋内退避を指示し、その夜の明けきらぬ12日午前5時44分には避難区域を10Km圏まで拡大した。
その後、避難区域は20Km圏まで拡大され、30Km圏には屋内退避が指示されるに及んだ。
深夜の突然の数万人規模の大脱出作戦がどのように行われたのか、政府は沈黙し、メディアも報じようとはしなかった。
戦後としては最大規模の、国家による強権の発動であったに違いない。
人々は、念のための一時的避難であると信じ込まされ、行き着く先も明かされること無く、着の身着のままで慌しく故郷を出たに違いない。
チェルノブイリの人々もまた同じ体験を繰り返し私に語った。3日分の食料を持って故郷を追われ、25年経った今も、彼らには戻るべき故郷はない。
3月25日、政府は30Km圏の屋内退避が指示されている住民に対し「自主避難」を勧告した。
いよいよ政府の本質があらわになった。
原発事故にまじめに補償していたら国家がつぶれることに気がついたのだろう。
そのことは60年に政府が日本原子力産業会議に委託した「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」と題する文章に、既に明らかにされていた。
この文章は長い間秘密扱いにされてきたが、今は誰でも読むことができる。
原子炉災害の被害額が国家予算規模に達することは、50年も前から政府は知っていた。政府がいくらコロコロ変わっても、官僚たちは覚えているに違いない。
菅総理も官僚から耳打ちされてこれを知ったのだろうか。
自主避難は自己責任だから国家補償の対象外である。
ここから奈落の底に落ちるように「被害の値切り」が始まった。
被曝線量切り下げバーゲンセールの開幕であった。
国民の命と、電力会社や国家財政が天秤にかけられた。
当然、命より国家方が重くなる公算だ。
公衆被曝線量の限度は1ミリシーベルトであるとされてきたが、緊急事態であるとしてこれを20ミリシーベルトまで緩和した。
これがたいしたことではないと、見たことも無かった、政府のお先棒を担ぐ学者や専門家と称する者たちが、とっかえひっかえテレビの現れて国民を愚弄した。
現場で苦戦を強いられている労働者の被曝線量も、最新の国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に従えば、年間50ミリシーベルト以下で、5年間で100ミリシーベルトを超えないよう、定められていたにもかかわらず、緊急時であるという理由で100ミリに引き上げられ、さらに250ミリまでもが容認される始末である。
250ミリという数値は48年のICRPの勧告値(表)であり、戦後の被曝影響評価の歴史を無意味化する暴挙である。
内部被曝の元になる食品の基準値もまた然りである。
チェルノブイリ事故のとき政府はKgあたり370ベクレルを規制値として定めた。
この値は激しく汚染されているヨーロッパでのやむにやまれぬ暫定基準値であり、8000Kmも離れた日本に導入すべきではないと、私たちは主張し、市民自らが食品の放射能を測定する運動を始めるに及んだ「放射能汚染食品測定室」は今も測定活動を続けている。
政府が新たに定めた「飲食物摂取制限に関する指標」によれば、放射性セシウムに関し、野菜、肉類、穀類などは500ベクレルまでに引き上げられた。
テレビに出てくる「専門家」は、規制値以下であるから全く安全であると強弁し、果ては、規制値を超えても安全であるとまで豪語してはばかることはなかった。
(週刊朝日緊急増刊 「朝日ジャーナル 原発と人間」より 藤田祐幸氏 の署名記事 ”裏切られたヒロシマとナガサキ 子供を救え、未来を救え” から引用)
フクシマ・クライシスの直後、菅政権が行った「避難指示」は、周辺住民を安全な場所まで移動させるという、「国民の命を守る」かのような施策であるように見せかけながら、その実は、「いかに国家の負担を軽くするか」というものだった。
そのために、一定程度の「命の犠牲」はやむをえないとして、結果的には「見捨てた」のだ。
公衆被曝線量を引き上げて、それで命を損なう者が出たとしても、「それは仕方ない」ということなのだ。
10年ほどして、がん患者が急増し、死亡者が続出する事態になれば、「菅直人を中心とした政権」は、「未必の故意」による殺人者の集団ということになる。
後世、この殺人者どもを裁ききる「正義の政権」が誕生することを、痛切に希(こいねが)ってやまない。
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