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http://president.jp.reuters.com/article/2011/07/14/CBDE9B44-A61A-11E0-A61C-8AE13E99CD51.php
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社長の仕事術 2011年7月14日
菅総理に取り入る外資系コンサルの正体
飯島 勲 「リーダーの掟」
プレジデント 2011年6.13号
「情報発信で肝要なのは『一つの声』を持つことだ。政府と東電が違う場所で記者会見を開き、違う情報を発信し、国内外で困惑を生む要素になってきた」
小泉元総理秘書官 飯島勲
俊英ぞろいの中部電力の幹部
菅直人総理のスタンドプレーに、被災地や霞が関、そして日本中が振り回されている。菅総理は、総理大臣だから、無理を言っても通ると考えている節がある。しかし、無理を通せば、どこかに歪みが生じてしまうものだ。じっくり計画を練らなければ、東北を着実に復興させることはできない。
たとえば、仮設住宅の建築だ。国土交通省との連携のないまま、建設から入居の完了までの期限を8月中旬と、勝手にトップダウンで決定してしまった。なぜ、国土交通省が期限の発表に二の足を踏んでいたか。それは、7万2000戸の仮設住宅の土地の確保に加え、資材調達の目途がたっていなかったためだ。資材はとりわけ木材が不足しており、カナダから輸入することになっているが、果たしてうまくいくのだろうか。また心配されるのは、突出して仮設住宅のスピード建設だけを優先することで、問題が起きることだ。短い工期を達成できる建設会社は、大手に限られる。仮設住宅の建設で、東北復興へお金を回す発想はないのか。
さらに、思いつきのスタンドプレーは続く。「浜岡原発停止要請」である。
原発は停止したところで、核燃料の温度が完全に下がるまで2〜3年かかる。廃炉にしても安定するまで最低でも20年程度。放射性物質の半減期には数万年かかるものまであり、「地震が起きる確率が高い」と原発の運転を止めたところで危険性は下がらない。
実際、福島第一の4号機も検査点検で停止中だったが、原子炉建屋は水素爆発で吹き飛んで放射性物質が外部に放出された。浜岡原発を停止したところで、地震、津波対策をしなければ意味がないのである。もしも、浜岡で福島と同規模の事故が起きれば、避難が必要になる住民は100万人を超えるが、菅総理は会見で住民の安全については一言も語っていない。安全対策が行われないまま原発の停止を求めた。
中部電力は菅総理からの停止要請を受諾する前、海岸沿いの砂丘の内側に津波対策の防波堤を2年かけて建設する方針を示していた。日本の土木工事の能力を結集すれば、半年以内、いや3カ月程度で浜岡の津波対策を終えることができるだろう。単に運転を停止して、他の発電方法を探るよりもよほど確実だし、日本の土木技術を世界に向けてアピールすれば、国際的な信用も復活するはずだ。
これまで日本が官民一体となって取り組んできた原発技術の海外輸出にも大きな影響が出そうだ。原発受注が決まっているベトナム、日本と同様に地震国であるトルコでは「地震に強い」という点が評価されていた。それが、唐突な方針転換により、海外で「日本の原発は地震に耐えられない」と受け止められかねない。
日本にとってわずかながらも幸運だったのは、中部電力の社員には、俊英がそろっていたことだ。同社の三田敏雄会長は、総理からの要請を受けると、ゼロ泊3日の日程で中東のカタールに飛んだ。液化天然ガスの調達に手際よく成功し、当面の火力電力用の燃料を確保している。同社は早くから天然ガスによる発電技術に力を入れ、石油よりも天然ガスの埋蔵量が多いカタールの発展に大きく貢献。カタール国内の発電設備や海水淡水化技術なども支援するなど信頼関係を築いていたことが急な要請への対応を可能にした。
しかし、これだけの負担を民間企業に一方的に押し付けてよいのか。政府が原発を止めろというなら、電力確保のために火力発電の燃料も政府が確保するのが筋ではないか。記者会見で総理が発表するときには、あらゆる準備が済んでいるものだと考えていたが、総理による「政治判断」、つまり調整なしのスタンドプレーだった。
手柄は、自分に負担は、人任せ
暴走する菅総理に倣って、閣内の情報管理も崩壊状態だ。
福島第一原発事故に関して、官邸、原子力安全・保安院、東京電力などが同席しての「事故対策統合本部」共同会見が、4月25日に始まった。それまでの会見では三者がそれぞれに微妙に食い違う内容を発表し、記者が確認作業に追われるという批判に対応したのだろう。
この共同会見の設定の陰には、米国のPR会社「フライシュマン・ヒラード」のアドバイスがあったという。同社は、米国ではブッシュ前大統領の選挙戦を担当して脚光を浴び、日本では2003年から民主党と契約している。同社は、日本ではまだ珍しかったマニフェストを前面に押し出す選挙戦略をとった。しかし、05年の郵政選挙で大惨敗し、民主党と同社との契約は解除された――はずだったが、再び両者は、接近したようだ。朝日新聞(4月26日付)によると、
米国のPR会社「フライシュマン・ヒラード」の最高経営責任者(CEO)、デビッド・セネー氏は「情報発信で肝要なのは『一つの声』を持つことだ。政府と東電が違う場所で記者会見を開き、違う情報を発信し、国内外で困惑を生む要素になってきた」と指摘する。
以上の発言からも、今回の共同会見に同社が関与したことが窺い知れるだろう。本来、「ワンボイス(一つの声)の原則」とは、情報発信を1カ所に絞ることではない。複数の人間が一つのことを話すこと、意思を一つにすることだ。たとえば、「日米は、北朝鮮政策について『ワンボイス』で対応する」ことで、北朝鮮が(日本を飛び越えて)アメリカと直接交渉するメリットを奪うのだ。
官邸、保安院、東電の合同会見では、250人の記者が殺到し、質疑に延々と4時間近くもかかってしまった。事故対応の責任者を毎回長時間拘束しては、現場の対応に支障が出てしまう。
また、事業者である東京電力と、監督官庁である経済産業省の原子力安全・保安院は対立する立場にある組織だ。現状を把握し、対処に努めるべき東京電力に対して、保安院はその対処が間違っていないか監視するのが仕事である。「ワンボイス」はそういった東電への監視機能を奪い、情報の隠匿が横行してしまう。前号で指摘したとおり、会見は重複した内容を発表することが問題なのであり、分けて行われるべきだ。これでは細野豪志首相補佐官が、自分自身を国民に売り込むチャンスとみて同社の提案に安易に乗っかったという批判に答えることができないだろう。
危機をマニュアルだけで乗り切ることはできない。民主党政権の迷走が、外資系コンサルタントに国家中枢への関与を可能にしたのだろう。同社日本法人の社長が同社ホームページのコラムで、郵政選挙の大惨敗の原因について「小泉純一郎のメッセージはぶれない」と分析する一方で「小泉流メッセージ戦略は世界では通用しない」「小泉純一郎は救世主かヒットラーか」と断じ、さらにこうも述べている。
政治家としてのメッセージ性の高さということでは小泉純一郎と菅直人が東西の両横綱である。しかしながら2人のメッセージ性の高さを支える構造が違う。菅直人はひとつのメッセージを伝えるのに多くの“ネタ”を持っている。そしてそのネタが必要に応じて機関銃の如く連射される。ネタとは経験、事実、事象、情報などである。ひとつのメッセージの下に多くのネタが論理的に、体系的に整理された構造をもっており、それが必要に応じてメッセージを伝えるために引き出せる思考回路をもっている。これが菅直人のメッセージ性の高さを支えている。
さすが郵政選挙時に「日本をあきらめない」という有権者意識と離れたフレーズを編み出した同社である。もう少し国民のほうを向いて仕事をしてほしい。
とはいえ、この問題の元凶は、パフォーマンス先行で支持率回復にしか興味がない菅政権にある。菅政権はおいしそうに見えることは自分の手柄にし、どうでもいいことや負の部分は復興会議や国会に任せる方針であることが、いよいよ明白になった。
※すべて雑誌掲載当時
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プレジデント 2011年7.4号 飯島 勲 「リーダーの掟」 「すっから菅総理」のスタンドプレー
http://president.jp.reuters.com/article/2011/06/11/77BE92C8-9277-11E0-B097-061F3F99CD51.php
プレジデント 2011年4.18号 飯島 勲 「リーダーの掟」 大失態の危機管理!菅政権の罪、万死に値す
http://president.jp.reuters.com/article/2011/06/10/BCA0DB7A-8B43-11E0-8FE0-790F3F99CD51.php
上杉 隆 (著)
小泉の勝利 メディアの敗北
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