◎再生エネ法案、政局がらみで風前のともしび
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-07-15
2011-07-15 07:29 永田町幹竹割り

　「これでは突撃したはいいが菅君は玉砕だ」と民主党長老が漏らしている。確かに首相・菅直人が華々しく「脱原発」の大転換を打ち出したものの、政界、財界は言うに及ばず、労働界までが総スカンだ。首相発言はある意味でフクシマ以来の脱原発論の堀の深さを測る側面があったが、計った結果意外に浅いと分かり、少なくとも原発再稼働に向けてプラスに作用した。菅はやぶをつついて蛇を出したことになる。菅が退陣の条件とした再生可能エネルギー特別措置法案の審議が１４日始まったが、これにも脱原発発言による逆効果が生じている。自民党には成立させる前に菅が自壊するとの見方が台頭してきているのだ。同法案は自民党の解散戦略とも絡み始めた。

　菅の脱原発を擁護していた官房長官・枝野幸男が、新聞論調の厳しさを知るや、１４日にはまたまた新幹線より速く「脱菅」だ。首相発言を「遠い将来の個人の思い」と宣うた。幹事長・岡田克也にいたっては「実現を現首相の下か、新首相の下で行うかは政府が決めることだ」と露骨に皮肉った。ましてや野党が「論評するにも値しない」（自民党総裁・谷垣禎一）と切り捨てるのは当然だ。財界の批判はかねてから「これほど社会主義的な産業政策はないと思う。企業は蹴飛ばされて海外に出ざるを得ない」（経団連会長・米倉弘昌）としてきただけに、予想されたところだが、連合会長の古賀伸明までが「民主党内や閣内で議論しておらず、具体化する道筋や方法論もほとんど触れていない」と批判した。要するに総スカンなのである。

　しかし首相は政府の最高責任者。枝野の言うように「個人の思い」で政治をやられては国民の方がたまったものではない。パフォーマンスにいちいちつき合ってはいられないのだ。菅にしてみれば支持率低迷で最後の巻き返しを狙ったつもりであろうが、これほどの逆風が吹くとは思っていなかったに違いない。すべてが「死に体」首相の人徳に起因するのだ。この朝野を挙げての「菅の手による脱原発批判」が意味するものは、原発の危険性は熟知しながらも、当面過渡期的には原発に頼らざるを得ないという苦渋の選択を国民がしていることを意味する。自然エネルギーはあくまで将来の課題としてとらえる冷静さが主流となりつつあるのだ。

　そこで国会の焦点は菅の「私の顔をもう見たくないのなら、この法案を早く通した方がいい」との“妄言”が象徴する再生エネ法案の行方だ。菅が退陣の条件としているものだが、通信大手ソフトバンク社長・孫正義への露骨な利益誘導が指摘されており、法案の行方は混沌としている。孫はあきらかにフクシマ以降の状況を「太陽光ブーム」の前兆と見立てており、政界、地方自治体に大きな網をかけた勝負に出ている。その最大のポイントが再生エネ法案なのだ。固定価格買い取りで、買い取り価格は、太陽光は現在原発の発電単価の４倍のキロワット時４２円だ。孫は新法成立後も４２円で買い取られればペイすると踏んでいるようだ。菅は恐らく孫にその辺の約束をしているに違いないが、孫の思惑通りに固定価格買い取りが実現するかどうかは微妙だ。よく太陽光利用で欧州の例が挙げられるが、大々的に買い取り制度を進めてきたスペインの場合は「太陽光バブル」が弾けて、同発電は壊滅状態だ。リーマンショックで補助金が出せなくなった結果だ。

　そこで国会がどう動くかだが、自民、公明両党は極めて慎重だ。自民党は企業や家庭の電気料金に跳ね返ることを懸念している。標準家庭で月１５０〜２００円の値上げになる。原発の停止で料金値上げが言われている中で、料金のさらなる上積みは避けたいのだ。経産相・海江田万里も１５０円以内の値上げにとどめる意向のようだ。

　しかし問題は菅が法案を退陣の条件に挙げていることだ。こじらせれば菅がますます居座るが、それでいいのかということだ。注目すべきは最近自民党首脳の間で「居座らせて年末にも解散させた方がいい」という見方が生じ始めたことだ。時事通信の最新調査で支持率１２．５％、不支持率７１．２％という事態では、菅の手による解散の方が間違いなく有利だからだ。谷垣も同法案の処理への明言を避けている。これには２つの理由がある。１つはこの絶好の「菅の手解散論」。他の１つは、民主党内の「菅降ろし」が佳境に入る兆候を見せているからだ。捨てておいても自壊すると言う見方が出てきているのだ。自壊の動きを見極めてからでも遅くはないというわけだ。菅の言うなりに問題のある再生エネ法案を処理しない方が、政局は野党に有利に動く可能性があるのだ。もともと大震災を想定していない法案だけに、国会で大幅修正するか、いったん廃案にして政府が原発論争が落ち着いてから状況に見合ったものに修正して出し直すことを考えた方が得策かも知れない。
　

コメント
01. 2011年7月15日 08:54:11: fKgxpjvpDg 今までネガキャンばかりしていた「永田町幹竹割り」のせいだ。 お望み通りになってよかったですね。原発プロ推進派さん。
02. 【タヌキ腹組“ぽんぽこ”】 2011年7月15日 09:17:33: SM2DPWDDuBDzg : AdKaaFvNBE ★菅が総スカンされ、引いては脱原発運動を、政略的に利用させて胡散臭くし、 分断・混乱するのが原発推進派霞が関・財界の目的です。 　菅の利用価値がなくなれば＝原発再稼働の見通しがつけば、ゴミ箱行きでしょう？！ 　菅の次の一手は、海江田、枝野、細野を解任し、本気度をUPするしかありません！ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■細野原発相「チェック後には再稼働認めるべきだ」　　 2011.7.14 11:20　サンケイ http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110714/plc11071411210010-n1.htm 　細野豪志原発事故担当相は１４日、参院内閣委員会で、原発の再稼働について「安全性を確保した上で、しっかりチェックが入った再稼働は認めるべきだ」と述べ、国内の全原発５４基が動かなくなることにはならないとの認識を示した。 　再稼働は、政府が実施を決めた安全評価によって見極めたいとした。最終的に菅直人首相、枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相を含めた「４人の重い判断になる」とした。 　植松恵美子議員（民主）の質問への答弁。
03. 2011年7月15日 09:22:02: PnyaF4Dxko >>01 こういうやつが脱原発はバカがすることと流布される原因なんだろうな。 原発プロ推進派って何？決め付けもいいですが。少数派では何も 解決できません。実行力がないと何も出来ません。 脱原発派まだ少数派です。 脱原発を本当に実現したいなら、原発推進派の方も手を組まないと実現なんて 無理です。 結局、あなた方は原発推進派とを怒らせるだけで、知識もないくせに、脱原発！ 脱原発！だけを言って具体案を明示できない。まるで在特会。 脱原発を遅らせている最大の原因は思考停止したあなた方です。
04. 2011年7月15日 09:35:18: FUviF2HWlS 再生可能エネルギーを、エネルギーの安全保障の観点で見てみよう。 日本国内で生産できる再生可能エネルギーは、エネルギーの輸送経路に掛かる防衛費を削減できる。 国内の再生可能エネルギーの伸び次第では、防衛費を削減して電力料金の補助に当てても、税金投入に見合う安全保障の向上が得られる。
05. 2011年7月15日 09:41:38: Z14d9R4rpU >>03 >原発推進派の方も手を組まないと実現なんて無理 >>01さんではないですが‥。 「原発プロ推進派」とは、利権に浸かった原発推進派のことでしょう。 そして原発推進派は利権どっぷりがほとんど。 そんな連中と手を組むことは不可能。 反原発という目標が国民の多数意見となれば、原発プロ推進派を追い詰めることができる。 目標達成の手段もものずと出てくる。 現に東電の新社長も、反原発の声に押されて東電圏の余剰電力を他の地域に回すと言いだす始末。 要は、郵政民営化のときと同じです。 国民の後押しがあれば、必ず達成できます。
06. 2011年7月15日 09:48:14: eJcwQUA9aU 原発推進国は、アメリカ、フランス、中国、ロシア、イギリスです。 脱原発国は、イタリア、ドイツで、日本が追っかけています。 戦勝国と敗戦国と分かれているのはどうしてでしょうね？
07. 2011年7月15日 10:00:58: PnyaF4Dxko >>05 だから、原発推進する人たちを使わないでどうやって脱原発をするつもりですか？ たとえば今主張されている全ての原子炉を廃炉にしろということでも、脱原発派に廃炉にできる技術者がいるんですか？いないでしょ。だからこそまずは原発推進してき方々に協力させるような体制に持っていかなければ脱原発もできないと思いますが？ >>現に東電の新社長も、反原発の声に押されて東電圏の余剰電力を他の地域に回すと言いだす始末。 反原発の声に押されて・・・・って、それはただのあなたの主観的な事実なだけでは？反原発に押されてという客観的な事実をお示しください。
08. 2011年7月15日 11:37:25: O4thjpzdOA 　０７ 　０７＞ 　あんたも、馬鹿だな。 そんな実績持った疑似通者（似非技術者）、国内に居るのかい？？？ 　廃炉になったのは、原子力船むつだけだぞ。 後は、ホッタラカシ。 　安定冷却までとほざくが、真相は闇の中。 むつの原子炉だって、メディア排除で覆いの中で工事した。 　何やってたか分かったもんじゃない。 俺も、途中までは関わったからな。 　ところで、東海１は停止後どうなったんだい。 廃炉とも聞かないが！ 　汚染水処理を仏・米に頼った時点で、日本の技術者（？？？）総崩れ。 ハイ御苦労さん。 　真正工作員殿。 俺も技術屋のはしくれだがな。 　あ〜〜っはははは
09. 2011年7月15日 11:41:30: Z14d9R4rpU >>07 原発利権者が利権を容易に捨てることはありません。 廃炉については、東電も技術者も国が廃止と決定し、命令すれば従わざるを得ない。 つまり、原発推進者の意向などどうでもいいのです。 国民の声が原発廃止なら、国はその声を受けて廃止にすればいい。 利権に浸かった原発推進者の意向など何も慮る必要はありません。 彼らはただの歯車であり、国が廃炉と決定すればそれに従わざるを得ません。
10. 2011年7月15日 13:00:31: FQuprmjf0A 原発がコストが安いとは、とんでもないウソだが、原発廃止い伴う月150円ほどの負担増のために、自分が住んでいる地域が放射能に汚染されていいと選択をする人など皆無だろう。 浜岡が事故になればその影響は首都圏から名古屋圏まで及ぶ、大動脈の東海道も通れない。 若狭湾の原発が事故になれば、琵琶湖は汚染され関西全体が汚染されたに等しい。 月150円のためにリスクを負うバカがどこにいる。 この杉浦ほどのアホはそうそういない。

11. おっさんZ 2011年7月15日 13:28:01: vf1pLsPn/FgHY : G5q49oTzcE >>07 原発推進をする愚か者と手を組むなど不可能（笑）。 原発は有るだけでも放射性物質を漏らして子供達を癌に追い込む死の施設ですよ、それを推進する愚か者に何を説くというので？。 ましてや、ひとたび原発にトラブルが有ればこの始末です、発電所のクセに外部から電源を貰わないとメルトダウンするのです、ちょっと電線が切れただけでメルトダウン、こんな不安定な物を信用出来ますか？。 チェルノブイリは２５年たっても人がまともに住める所ではありません。 たった１度の故障で２５年経っても尚汚染に苦しむ、これが原発です。 推進派を排除してでも原発を止めるのがまともな神経の持ち主ってもんですよ。
12. 2011年7月15日 16:48:46: Gi37t5t3zE こういうのを読むと「菅は気の毒だ」と思う。菅も至らない所が山ほどある人間だとは思うが。

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