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TPPや消費税増税と同じ「食言政治」。 「解散」までちらつかせても菅直人の 「脱原発」は口先だけの延命策
東電にも経産省にも逆らえない男
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/12131
2011年07月14日(木) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」 :現代ビジネス
菅直人首相が脱原発を争点に内閣の大幅改造、あるいは解散総選挙を狙う公算が一段と強まってきた。
菅は7月12日の衆院復興特別委員会で、原発について「事故のリスクの大きさを考えると、民間企業という形が担いうるのか」と語り、国有化を示唆した。続いて13日には、記者会見でも脱原発依存の考えを強調した。
唐突にストレステストの実施を原発再稼働の条件に持ち出したのに続いて、今度は原発国有化である。浜岡原発に限って運転停止を求めていた5月初めごろと比べると、原発に対する距離感は雲泥の差だ。
安全が確認されれば再稼働を容認するどころか、原発事業そのものを電力会社から切り離し、国の管理に置いてしまおうとしている。党内外から袖を引っ張られるのを振り切るように、菅はしゃにむに脱原発で突っ走ろうとしているようだ。
■苦境に追い込まれるほど脱原発に傾く
なにが、これほど菅を突き動かしているのか。
もちろん政権の延命である。
まず内閣支持率が急落している。NHKの7月世論調査では、菅政権の内閣支持率は前回より9ポイント下がって16%に急落した。加えて、岡田克也幹事長が8月上旬の代表選実施を言い出して、党内では菅降ろしの動きも激しくなってきた。
強まる逆風に抗して延命しようとすれば、国民を味方に付ける以外にない。そこで大胆に脱原発路線に舵を切ってきたとみて間違いない。原発国有化という今回のアドバルーンで支持率が上昇するのを確認すれば、さらにもう一歩踏み込んでくるのではないか。
先週のコラムで「政権が苦境に追い込まれれば追い込まれるほど、菅は脱原発に傾く」と書いたとおりだ。
菅が攻勢に転じた一方、岡田や仙谷由人官房副長官、安住淳国対委員長ら菅降ろしをもくろむ勢力は有効な攻め手を欠いている。断崖絶壁に追い込まれていたはず菅が一転して、息を吹き返してきたのである。
こうなったのは、先々週のコラムで書いたように結局のところ、岡田や仙谷たちは「なぜ菅降ろしなのか」という国民に訴える大義を掲げられないからだ。
「菅の政策が悪い」というなら、そういう政権の政策を担ってきた自分たちにも責任がある。「政策はいいけれど、実行のスピード感がない」というなら、それもやはり自分たちに責任がある。
菅の悪いところを列挙しようとすると結局、投げた矢はブーメランのように自分に戻ってきてしまうのである。
■岡田や仙谷が菅首相に勝てない理由
本来なら「菅の政策はプランAだったが、自分たちはプランBでいく」という話がなければ倒閣の大義名分にならない。そんなプランBはもともと岡田や仙谷たちにないばかりか、プランAがだめとさえ言えない。
しかも倒閣に行き詰ってしまったというのに、プランAのど真ん中にいる自分たちが「さっさと辞めよう」という動きにもなっていない。
これでは、菅に足元を見透かされるのも当然だ。
そこで菅のほうが先んじて、従来のプランAを捨て脱原発というプランBに切り替えてきた。このあたりは、さすがに元市民運動の活動家である。なにが人気につながるか、という点では感受性に優れていると認めよう。
このままいけば、プランBの脱原発で内閣大幅改造、あるいは改造が党内の抵抗に遭ってできないなら解散・総選挙に動くとみるのが妥当である。
政治は希望的観測で動くわけではない。生きるか死ぬかの戦いだ。とりわけ倒閣となると、鍵を握るのは野党ではなく与党内の権力闘争である。
戦いの渦中で「死んでもいい」と腹を決めて、大義の旗を立てたものが政局のイニシアティブを握る。こういうメカニズムは自民党政権だろうが民主党政権だろうが変わらない。
私は菅政権を支持していないが、与党内の権力闘争を観察すると、残念ながら、いま「腹を決めて、政策の旗を立てる」という主導権確保の二大条件を満たしているのは岡田や仙谷たちではない。菅の側だ。だから、菅が攻勢に転じているのである。
■アドバルーンなど誰も信用しない
では、菅が掲げた旗は国民の支持を得られるだろうか。本当に見極めなければならないのはここだ。私は支持は得られないと思う。
たしかに「脱原発」という言葉は魅力的だ。フクシマの惨状を考えれば、いくら電力事情が厳しいといっても、もはや原発依存でいいとはだれも思っていない。だいたい電力不足という政府や東京電力の宣伝を多くの人々が疑っている。
菅はそういう国民の気分も敏感に察して、民間企業が融通できる自家発電能力=埋蔵電力がどれほどあるか調べるように海江田万里経産相らに指示している。
いずれ東電の地域独占廃止や発送電分離も言い出すかもしれない。いまは、これまでのアドバルーン効果を見定めて、タイミングを図っている段階なのだろう。
なぜ菅の脱原発がだめかといえば、文字通りアドバルーンにすぎず、中身が空っぽだからだ。
それは東電の賠償スキームを決めた機構法案に示されている。これは東電存続を大前提にして、将来の電力料金値上げで賠償負担を国民に転嫁するための法案だ。こんな法案を通そうとしながら、自然エネルギーの促進や脱原発を唱えても、実際には実現しない。
東電と後ろ盾の経済産業省が徹底的に妨害するからだ。
もしも東電の地域独占廃止や発送電分離を言ったとしても、それなら賠償機構法案を引っ込めるのが先である。そんな大技が菅にできるか。これまでの政策運営が口先だけだったのをみれば、とても無理だろう。
そもそも支持率が示すように、多くの人々が菅に辞めてほしいと思っている。アドバルーンだけでは、もうだれも信用しない。
原発以外の重要政策はどうか。消費税引き上げには熱心で、公務員制度改革には後ろ向きという点で、菅は仙谷や岡田たちとまったく同じである。
プランBをつくるのは大変だが、プランAを清算するのも大変なのだ。
先日のサンデーフロントライン(テレビ朝日系列)で改革派官僚として知られる経産省の古賀茂明さんと同席した際、私は「菅総理が古賀さんを活用すれば、支持率は上がるだろう」と話した。
半ば冗談だったが、いっそ経産省で肩たたきに遭っている古賀さんを官邸の重要ポストで起用するくらいの荒業をやって、プランAを清算したらどうか。そこまでやれば、文字通り「刀折れ矢尽きる」感がある。それで倒れるなら、私はそれなりにきちんと評価する。
(文中敬称略)
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