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【松本浩史の政界走り書き】
「しっかり者」ではなく「だめ人間」の菅首相、国民の心配は頂点
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110710/plc11071012000008-n1.htm
「だめをきわめれば、そこに聖性が出現する。もう、だめでだめでどうしようもない、あー、だめだ、もうほんとにだめだといった果てにたどりつくそれは、凡人の市民生活とはまったく無縁のものだ」
随分前、とある書店に立ち寄ったとき、関心が向いたから購入したのに、ついうっかり無精をしてしまい、いわゆる「積ん読」状態になっていた文庫本をめくっていたら、まるで菅直人首相の人となりを論じたのかと、つかのま慌てふためいてしまった。
引用したのは、劇作家、演出家、作家の宮沢章夫が著した「だめに向かって」という短編。「私は『だめ人間』に憧れる」と、読者の虚を突くような書き出しで始まる作品で、ことのほか、「だめをきわめれば、そこに聖性が出現する」とのくだりは、ただいまの首相のさまを皮肉交じりに言い当てているようで、胸にストンと落ちた。
東電福島第1原発事故の惨禍が二度とあってはならないと、海江田万里経済産業相が電力会社に緊急の安全対策を指示し、その取り組みをみて「大丈夫だ」とお墨付きを与えた。ことに、玄海原発をめぐっては、海江田氏自ら佐賀県など地元自治体に足を運んで再稼働をお願いし、実現は目前だった。
それなのに、首相がまたしても、たいして深い考えもなく、すべての原発でストレステスト(耐性検査)を実施する考えを表明し、すべてがご破算に。首相にしてみれば、延命策の一環くらいの認識しかないのは、容易に察することができ、それだけになおさら、我欲にまみれただめさ加減が浮き立つ。
これに限らず、昨年6月の政権発足後、消費税率引き上げをめぐる自身の不用意な発言が尾を引き民主党を惨敗させたのに、その責任なんぞお構いなしに首相ポストにしがみつく。民主党の小沢一郎元代表らに対し、あれほどまでに厳しい姿勢をとった「政治とカネ」問題で、似たり寄ったりの問題が己にも大っぴらになると逃げを決め込むずる賢さ。
ことほどさように、首相のだめさを数え上げれば枚挙にいとまなく、もはや政権運営に当たる適任者ではないのは誰の目にも明らかだろう。暗愚この上ない宰相をいただく国民の一人として、哀感の情を禁じ得ない。
ところがどうだ。自ら首相の座を退く考えを明言したのにふてぶてしく居座り、それどころかなおも生き残ろうと、あの手この手を繰り出す破廉恥極まる振る舞いを目の当たりにしていると、もはや「聖性」を帯びてきてしまい、その精神に考えが及ばなくなる。それこそ「凡人の市民生活とはまったく無縁」なのである。
宮沢は、こうも言う。
「人は多かれ少なかれ、誰でも一様に、『だめ人間的なるもの』を内包しているもので、『いや、おれは、しっかり者だよ』などと考えるのは勘違いもはなはだしい」
多くの人は、「だめ人間」と「しっかり者」の両面を併せ持っていて、折節の状況を冷静にみつめ生きている。どの政治家もたいがい常人よりも自尊心が強いものだが、首相ほど「しっかり者」だと思い違いをしている御仁はそういまい。そうした心根がつまるところ、「勘違いもはなはだしい」のだ。
それだから、政治環境を冷静に認識せず、独りよがりで自信過剰な発言を臆面もなく口にできる。6日の衆院予算委員会では、自身の進退問題について、「満身創(そう)痍(い)、刀折れ、矢尽きるまで、私の力の及ぶ限り、やるべきことをやっていきたい」とのたまった。
もう聞くに耐えない言いぶりである。首相でい続ければ、震災対策のみならず、外交・安保など万般にわたり停滞をもたらす元凶になるとの認識がまるでない。
またしても宮沢の作品からの引用なんだが、これなどはまさしく首相と、首相を取り巻く政界のにっちもさっちもいかない空気感が色濃く出ていて、なかなかの味わいである。
「なんか、やたら威勢がいいが、威勢がいいだけに、まだだめなんじゃないのかと人に心配させる響きが(略)ある。そのなんとも心配な雰囲気が、『だめ人間』のまた別の側面だ。『だめ人間』の奥は深い」
威勢よくやってくれるのはいいんだが、やればやるだけ「まだだめなんじゃないのか」と周りを落胆させ、「心配な雰囲気」を醸成している。首相は宮沢の手によるこの作品を一読し、自省してもらいたいものである。
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