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【調査】若宮健さんに聞いてみました
韓国が「パチンコ」を全廃したの?
昨年末に発刊された若宮健氏の著書『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社)が大きな反響を呼んでいる。日本では今も人気のパチンコを「全廃」とは穏やかじゃない。はたして、パチンコの何が問題なのか。この本を書いた若宮健氏に聞いてみた。
若宮健●わかみやけん 若宮健●わかみやけん
1940年、秋田県生まれ。自動車営業マンとして19年の勤務の後に独立。自動車販売会社、損保代理店経営、タクシードライバーなどを経て著述活動に。著書に『打ったらハマるパチンコの罠〈PART1〉〈PART2〉』(社会批評社)などがある。自身の公式サイトのトップページには「飼いならされた羊として百日生きるよりも、一日をライオンとして生きなさい」というヘミングウェイの言葉が引用されている。
公式サイト http://www.wakamiyaken.jp/
韓国の「パチンコ」事情とは?
2006年、韓国では法律が改正されてパチンコが全廃された。日本ではあまりマスコミに取り上げられることもなく、パチンコ全廃の経緯などを現地取材して日本で最初にレポートしたのは若宮氏だったという。
韓国のパチンコは日本のように玉を弾くのではなく、お金を入れると皿にメダルが出てきて、大当たりすると商品券が出る。日本の中古パチンコ台を輸入して改造したもので、韓国では「メダルチギ」と呼ばれていた。
当初はゲームセンターという位置づけで広がり始め、2002年頃から大流行。2005年前後の全盛期には、全国で認可を受けた店だけで約1万5000店に広がり、売上は日本円にして3兆円ほどもあったらしい。それが2006年になって韓国当局は賭博行為を取り締まる法律を適用して続々と摘発。ついに全廃となったのだ。はたして、韓国ではなぜ「メダルチギ」を廃止することになったのだろう。
若宮氏の見方直接のきっかけは、高配当が出るように改造した機械の許認可や、禁止されている換金行為に関連した贈収賄が発覚した「パダイヤギ」事件が起きたことです。この事件をマスコミが徹底的に糾弾したことから、警察当局が取り締まりを強化しました。そのあたりの経緯は私が書いた『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社)の中でも詳しく紹介しています。
当時の韓明淑(ハン・ミンスク)首相は「射幸性の高いゲーム機が全国に拡大して、庶民の生活と経済に深刻な被害をもたらしたことを深くお詫びする」という主旨の談話を発表しています。
私が韓国に取材に行った際、日本語ができる貸切タクシーを利用しました。そのドライバーの方も、一時はメダルチギにはまっていたそうです。韓国のマスコミがメダルチギを糾弾したのは、贈収賄という不正行為というだけの理由ではありませんでした。メダルチギ、つまり、パチンコ依存症で勤労意欲を失い、経済的に破綻していく人を生み出すことを問題にしたのです。実際、日本語タクシーのドライバーの方も、時には仕事をさぼって打ち続けるようなこともあったということで「国がメダルチギを全廃してくれて、本当に助かった」と告白してくれました。
「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」 『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社)
韓国で大流行して、往時には約1万5000店、売上3兆円に上ったメダルチギ(日本のパチンコ台を改造したコインゲーム)が全廃された背景を現地取材でレポート。韓国の状況を通じて、現在の日本社会に問題提起する一冊。2010年12月の刊行以来、版を重ねながら売れている。
●次のページは、「パチンコ依存症って、ただの怠慢じゃないの?」
パチンコ依存症で自殺者も!
韓国でパチンコが全廃された背景には、パチンコにハマって店に火を放つなどの犯罪が起こったり、借金苦による自殺者の問題があった。若宮氏はこの「パチンコ依存症」こそ、日本人も無視してはいけない問題だと強調する。そもそも、若宮氏がパチンコの問題に着目し、韓国のパチンコ全廃を取材したのも、友人がパチンコにハマって自殺してしまったことがきっかけという。
若宮氏の見方私が最も懸念しているのは「パチンコ依存症」の問題です。パチンコ依存症になって自殺してしまった私の友人は、パチンコを始めてわずか5年ほどで大きな借金を作って自ら命を絶ってしまいました。彼は、パチンコにハマリ始めるのと同じころ自宅を新築したばかりで、普通に幸せな生活をしていたのです。住宅ローンはあったでしょうが、奥さんも共働きで、パチンコにハマってさえいなければ、生活が困窮していたわけでもありません。
彼がパチンコにハマッたきっかけは、たまたま友人に誘われて入ったパチンコ店で、5万円ばかり勝ってしまったことだったようです。もともと真面目な男だったので、今までにあまりそういう遊びをしたことがなかったのでしょう。人のいい、真面目な人ほどパチンコ依存症になってしまいやすいといえるのではないでしょうか。
韓国が「パチンコ」を全廃したの?
でも、パチンコ依存症って本人の怠慢じゃないの?
チャージャー読者にも、パチンコで思わぬ大金をつかってしまって後悔した経験がある人は少なくないだろう。韓国の方は日本人に比べて熱くなりやすい民族性があるともいわれるので、負け続けるとカッとなって極端な行動に走ってしまう人が多かったのかも知れない。
若宮さんは「パチンコ依存症は韓国だけの問題じゃない」と強調する。とはいえ、人並みの理性や意思の力があれば、パチンコくらい止められるのではないだろうか。借金苦やまともに働かないことをパチンコのせいにするのは、苦しい「言い訳」にも思えるのだが……。
若宮氏の見方パチンコ依存症は「やる方が悪い」で済ませてはいけない問題です。本が売れて、私のホームページなどを通じて依存症で悩む人たちからの相談をいただくことも多くなりました。その中で、象徴的なエピソードをお話ししましょう。
先日相談をいただいたのは、ブラジル人のご主人と結婚しているという主婦の方でした。ところが、原発事故を理由にしてご主人が一人でブラジルに帰国してしまったそうです。今までも夫婦で時々パチンコで遊ぶことはあったようですが、孤独になって、パチンコ店に入り浸るようになってしまった。借金も増えて、このままでは大変なことになってしまうというSOSでした。
このように、パチンコ依存症になってしまうのは、孤独を抱えた人が多いのです。現実の生活でどうにもならない焦燥感や孤独感が、大当たりを引き当てた瞬間だけホッとして、救われたような気持ちになる。それが、パチンコ依存症になってしまう大きな理由でしょう。孤独に病んだ心が、パチンコに癒しを求めるのです。つまり、今の日本でパチンコが隆盛なのは、日本人全体が「病んでいる」ことの証しとも思えます。
●次のページは、「他人には理解されないパチンコ依存症」
パチンコ依存症を鼻で笑う精神科医
パチンコは孤独な遊びではある。「孤独に病んだ心が、パチンコに癒しを求める」という若宮氏の言葉に、ドキリとした人もいるのではないだろうか。さらに、若宮氏は寄せられた相談のエピソードを教えてくれた。
若宮氏の見方パチンコ依存症は病気です。ところが、別の女性からのメールで「不安になって病院に相談に行って『パチンコ依存症です』と打ち明けたら、医師に鼻で笑われた」という相談がありました。アルコール依存症や禁煙の相談は受け付けても、パチンコ依存症は理解されていないということです。知人の精神科医でパチンコ依存症の治療に取り組んでいる方もいらっしゃいますが、まだ全国的な動きにはなっていません。これは日本社会全体が、パチンコ依存症が蔓延することの深刻さにまだ気付いていないことの証しでしょう。
パチンコは、あっという間に数万円が消えていきます。依存症の人たちは、自身の破滅を予感しながらも止められない。戦前戦後、覚醒剤の一種であるヒロポンが、副作用が知られぬまま強壮剤として普及して、数十万人の中毒者を出す社会問題になりました。パチンコを廃止できない日本社会には、ヒロポンを許容していた時代と同じような、未成熟で危うい気配を感じます。
韓国が「パチンコ」を全廃したの?
外国人記者の「嘆き」とは?
日本ではパチンコは賭博行為ではなく、あくまでも「娯楽」とされている。パチンコ玉で交換できるのは「景品」で、現金ではないからだ。韓国でも、メダルチギで大当たりして得た商品券は、店の外にある場所で換金する方式を採っていたという。ちなみに、換金所の場所を店内で教えることはできなくて、建前としては「店の外でほかの客に聞いてくれ」といわれたというあたりも、日本のパチンコ店に酷似している。
韓国での出来事は、決して対岸の火事ではないということか。若宮氏が書いた『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』は、韓国のパチンコ全廃の状況をレポートしているが、翻って日本社会に警鐘を鳴らす内容になっている。
若宮氏の見方私自身、パチンコ廃止を訴えて何人かの政治家の方ともお会いしましたが、パチンコ依存症の蔓延が重大な問題であることには一定の理解を示しながらも、パチンコ廃止となると「あくまでも個人の趣味嗜好の問題なので」と途端に歯切れが悪くなります。一方で、年間で20兆円以上といわれる日本のパチンコマネーの一部が、北朝鮮に軍資金として流れているともいわれています。
パチンコは賭博ではないという建前には、私としては納得できないところがあります。知人の外国人記者は「長年日本に住んでいるけど、堂々と店内で一万円札が飛び交っているパチンコが、ギャンブルではなく娯楽だという理屈が全く理解できない」と嘆いています。
建前や利権に絡め取られて、物事をグレーのまま放置するのは、日本社会の悪癖といえるでしょう。大袈裟ではなく、このままパチンコを放置すると、日本は国そのものがおかしくなってしまうのではないかという危惧を抱いています。最近のパチンコ店に、主婦や年金生活者が増えているのも、社会的には大きな問題といえるのではないでしょうか。
●次のページは、「パチンコを廃止したメリットは?」
逞しく「衣替え」した韓国のパチンコ店
若宮氏がパチンコ廃止を主張する意図も理解できるが、節度をもって遊んでいればパチンコが手軽な息抜きであるのも事実。パチンコ店が潰れたら、大量の失業者だって溢れるだろう。韓国ではパチンコを廃止したことで、具体的にはどんなメリットがあったのだろうか。
韓国が「パチンコ」を全廃したの?
若宮氏の見方そもそも、額に汗して働くべき若者が、一日中パチンコで時間を潰している状態こそが国にとっては大きな損失です。たとえば日本で、売上が20兆円以上といわれるパチンコを廃止にしても、それを上回る経済効果が期待できます。実際、韓国の役人から「パチンコ全廃によって消費に好影響が出て、自動車などの高額商品の売上が伸びた」という話も聞きました。単純に考えても、今までパチンコにつかわれていたお金が一般消費に流れるのですから、経済効果は決して小さくないでしょう。
パチンコ全廃による失業者もとくに問題にはなっていません。韓国でも、パチンコ店は駅前などの一等地や、交通の便がよい場所にありますから、店主たちは早々に別の業種に衣替えをして、仕事に邁進しているのです。日本でも、もしパチンコ店がなくなれば、町の風景はずいぶんとスッキリするのではないでしょうか。
また、日本人の人生にとってもパチンコ廃止は大きな意義があるでしょう。私が相談に乗り、パチンコ依存症から脱出できた女性がいらっしゃいます。彼女は、相談がてら私が何度か美術館にお連れしたのがきっかけで絵が好きになり、パチンコをきっぱり止めて美術館巡りを楽しむようになっています。パチンコを止めると、国も人も、もっと豊かになれるということですね。
writer's VOICE
世の中の「常識」を疑う姿勢
月刊チャージャー2010年8月号の『業界別覆面座談会』で取材したパチンコ店の店長さんが「今や、ホールは完全に鵜飼いの鵜。お客さんからお金を吸い上げて、メーカーにお金を流してる状態だよね」とか、「なんたってホールの理想は、お客さんが絶対に怒らないで、絶対に負ける店」と話していたのが印象的だった。
社団法人日本遊技関連事業協会のデータによると、2000年には日本全国で約1万7,000軒あったパチンコ・パチスロ店は、2010年には約1万2,500軒へと激減。売上金額も、約28兆7,000億円(2000年)が、約21兆1,000億円に減少している。日本でも、パチンコそのものが「曲がり角」に差し掛かりつつあるようだ。台のリーチ演出などが派手になる一方で、日本のパチンコも「娯楽」としての魅力やあり方を見直すべき時期なのだろう。
それにしても、おそらく日本人のほとんどが「町のそこかしこにパチンコ店はあって当たり前」としか思っていなかったであろう状況の中、鋭く問題を提起する若宮氏の視点や行動力はサラリーマンとしても見倣うべき。パチンコに限らず、世の中の「常識」を改めて疑ってみる感性を忘れないようにしたいものだ。
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