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海江田経産相辞任も浮上した迷走政権 「原発再稼働」菅首相に振り回される 地元知事にはがっかりだ 国に責任転嫁して住民は守れるのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/11459
2011年07月08日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」:現代ビジネス
菅直人首相が原発の再稼働方針を覆した。
菅は浜岡原発の運転停止を求めた5月6日時点では、浜岡以外の原発について稼働を容認する構えだった。この方針に沿って、海江田万里経済産業相は6月18日に浜岡以外の運転停止中の原発について「安全上、支障がない」と宣言した。
菅は翌19日に「私もまったく同じ」と語り、海江田の安全宣言に同調している。これを受けて海江田は29日に佐賀県の玄海町を訪れ、町長に玄海原発の再稼働を要請した。ここまでは既定路線どおりである。
ところが、7月に入って様子がおかしくなる。
海江田が7月6日になって「追加の安全対策」と称して「ストレステスト(安全検査)」の実施を発表すると、菅は同日の衆院予算委員会で「国民が納得できるルールの下で検証していくことが必要だ」と答弁し、テスト前の再稼働に待ったをかけた。
菅は7日の参院予算委員会でも、慎重に明言を避けつつ、テスト前の再稼働を認めない方針を強く示唆した。はしごを外された海江田は「いずれ責任をとる」と辞任を示唆する騒ぎに発展している。
菅の行き当たりばったりは、おなじみの光景である。いまさら迷走を声高になじる気にもならないが、菅はなぜドタバタしているのか、そこは興味深い。
当初は、とりあえず浜岡原発を止めてみた。とはいえ原発をすべて止めるほど度胸もなく、問題点も詰めていなかった。あのときどういう状況だったかといえば、小沢一郎元代表が菅政権倒閣の決意を固めて、まさに倒閣の流れが盛り上がる直前だったのだ。
そこに意表を突くような夜7時からの停止要請会見で、菅内閣の支持率は急上昇した。断崖絶壁に追い込まれつつあった状況で、浜岡停止要請が流れを変える大きなきっかけになったのだ。
今回も同じである。「菅辞めろコール」が与野党に広がる中、ようやく格好をつけた内閣改造でひと息入れたかと思えば、予想外の松本龍復興相辞任劇で再び、政権の求心力に大きな疑問符がついた。
ここは原発再稼働路線を続けるよりは、国民受けする脱原発姿勢に舵を切り替えた方がいい。そんな判断に傾いたとみていいだろう。ようするに、人気取りで原発政策が行ったり来たりしているのである。
■延命のためなら退陣表明まででっちあげる男
こうなると次の展開も大方、予想がつく。
政権が苦境に追い込まれれば追い込まれるほど、菅は脱原発に傾く。逆に支持率低下が一段落すれば、脱原発を離れて現実路線=再稼働容認路線に戻る。支持率次第で重要な原発政策が左右されてしまうのである。
これからどうなるかといえば、菅内閣の支持率が劇的に改善する要素はほとんどない。むしろ内閣の亀裂状態が深まる中、支持率は低下する可能性が高い。となれば、菅は脱原発姿勢を次第に強めていくとみていい。
菅は市民運動出身の政治家として、国民受けする政策を見極める直感力と目の前に迫った危険を避ける逃げ足の速さだけは、かねて官僚の間でも定評がある。いま菅の手元にある「使える道具=政策」は脱原発だけだ。
菅は脱原発で突っ走るしか道はない、と思い定めつつあるのではないか。
菅は2次補正予算案と特例公債法案、再生可能エネルギー法案の成立を退陣の3条件に掲げている。このうち2次補正は成立するだろうが、残りの特例公債と再生可能エネルギーは見通しが立っていない。
延命最優先で考えれば、菅は特例公債も再生可能エネルギーも成立しないほうが望ましい。特例公債法案が成立しなければ政権は立ちゆかないが、秋までに衆院解散・総選挙で決着をつける腹づもりなら話は別である。ガラポンで出直しという戦略である。
財源と重要政策を人質にとる形で解散・総選挙とはひどい話だが、菅ならそれくらい、やりかねない。なにしろ延命のためなら、自分の退陣表明でさえでっち上げる首相なのだ。追い詰められれば、脱原発を大義名分に解散・総選挙に走る可能性はますます高まったのではないか。
■法律に規定がないのだから政治家の判断に任されている
今回の原発再稼働をめぐるドタバタ劇で政府と電力会社、地元自治体の無秩序な関係も浮き彫りになった。
そもそも再稼働を認める権限は原子炉規制法と経産省政省令で経産相にあると定められ(規制法第29条)、地元自治体や住民の同意は法律上、求められていない。
ただ福島第一原発事故を受けて、政府も電力会社も事実上、地元の同意がなければ再稼働できないとみて、同意取り付けに自主的に努力しているという話である。
佐賀県の古川康知事は海江田の再稼働要請を受けて、再稼働に同意する意向を表明していたが、菅の方針転換でこちらも再稼働見送りに傾いた。だが本来は、政府がどうあろうと地元自治体として判断すればいい話なのだ。
国が「安全」というから、それを信じて地元も再稼働に賛成するというなら、国に責任を転嫁しただけだ。それで地元住民の安全を守れるのだろうか。
もともと法律の規定がなく、政治家の判断に任されている世界の話であるのに、初めから国にゲタを預けたような姿勢では地域主権もなにもない。
フクシマの人々は首都圏の電力を賄うために原発を受け入れ、結果的に犠牲になった。「この原発で恩恵を受けるのはだれか。被害を受けるのはだれなのか」という議論はこれから高まりこそすれ、消えることはない。
原発で事故が起きれば被害に遭うのは地元住民だ。であれば、原発の再稼働は国の方針がどうあれ、地元が独立して考えるべき問題である。九州電力のやらせメールはたしかにひどい話だ。それ以上に、選挙で選ばれた地元の知事が菅の迷走に振り回されている構図にがっかりさせられる。
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