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もはや崖っぷちの日本共産党、延命策は党員の切り捨てか?
2011.07.01(Fri) 代々木 小夜
政治
前回、日本共産党中央委員会が破綻を前にしながら、何の対策も取っていないことを書いた。今回は、地方組織の実態について書いていこう。
日本共産党は中央委員会の下に都道府県委員会があり、その下にいくつかの「地区委員会」があり、その下に支部がある。共産党は個人単位の後援会を持たないため、政治団体としては地区委員会が最小単位となる。
党員に対して財政の健全化を訴えるビラ
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ここに、日本でも有数の規模と強さを持つ日本共産党地区委員会の出したビラがある。この地区委員会は、共産党が比較的強い都市部にあり、しかも管轄地域に大規模団地を持つ。大規模団地は、日本共産党にとって大票田だった地域だ。
集団就職などで地方から出てきた者たちが入居していた団地は、地域のしがらみがなかったため、自分たちの街を自分たちでつくっていく機運が高かった。そうした入居者たちに共産党は受け入れられやすかった(宗教では創価学会が強かったため、よく対立した)。現在ではそうした団地の空気は一変しているが、それでも支持者は他地域よりも多い。
そんな大票田を持つ地区委員会が、1年ほど前、全党員に対し財政健全化を訴えるビラを配布した。
普通はここまで詳細な財務データを出した資料が一般党員に配られることはない。しかし、党勢減退とは別の「事情」(その部分は黒塗りしてある)で、さらに財務が悪化するため、党員に危機感の共有をしてもらおうとしたのであろう。
党費、赤旗以外に、募金の山で生命維持
このビラと、同地区委員会の政治資金収支報告書を見ながら分析していこう(この政治資金収支報告書は公開されており、黒塗りしても地域を特定できてしまうため掲載しない)。共産党の財務は以下のような状況にあることが読み取れる。
(1)党費収入が落ちている。しかも党費の未払いが多い。「党費納入額は実収入の1%」を守るように書いてあるのは、規定の党費を払っていない者がいることを意味する。ちなみに共産党全体では党費納入率は60%ほどである。3人に1人は党費を払ってない。
党費を払っていない党員には、生活苦などで払えない党員がいないこともない。しかし多くは党籍がありながら活動に一切参加していない「実態のない党員」、すなわち幽霊党員だ。
幽霊党員の中には40年以上前から放置されてきた人もおり、今はどこに住んでいるのかも分からない行方不明者も多い。しかし、党員数が減ったことを党本部に知らせると地区委員会の成績に響くので、放置されてきたのが実態だ。
もっとも、2010年9月末に行われた二中総(第2回中央委員会総会=党大会の間に年2〜3回開催される意思決定機関=)で、志位和夫委員長は「実態のない党員」の整理を提起し、現在、整理が進められている。これも外部に公表するのが怖いのか、どれだけ整理が進んだかは今のところ明らかにされていない。
(2)党費は年収の1%であるがゆえ、定年時の退職金の1%も党費として納入しなければならないが、納入していない人が多いのだろう。
(3)夏期・年末一時金募金とは、専従党員のボーナスの原資である。ボーナスは党員の寄附によって集められるのだ。しかし、今回は地区委員会の財政が悪いため、ボーナスは出ていない可能性が高い。給料が出ていない可能性もある。
給料の遅配、欠配など専従党員にとって珍しくも何ともない。そのため多くの専従党員は配偶者に安定した給与が出る公務員や手に職を持つ看護師などを選ぶ。宮本百合子を伴侶にした宮本顕治以来の伝統だ。
(4)赤旗の部数も減少しているが、未収金も多い。未収金には、集金に行けない、行っても「金がない。来月に払う」と言われるような場合と、購読者が赤旗代を払わずに転勤などでどこに行ったか分からなくなっている場合がある。前者はまだ取れる見込みがあるが、後者はない。
(5)そしてなんといっても、募金の多さ。挙げられているだけでも4つある。党組織の維持はもちろん、選挙費用や供託金、赤旗配達時に発生する事故などの救援など、多くの党活動が募金なしには立ちゆかない。もっともこれは日本共産党にとって誇りでもあるのだが、安定収入ではない寄附に多くを依存するのは、財政的な弱点だ。
実際、この地区委員会の政治資金収支報告書を見ると、党費の約3.5倍の金額を寄附で集めている。今は東日本大震災のため、震災募金と、被災地の党組織復興募金が加わるため、募金額はさらに膨れ上がっているだろう。
熱心な共産党支持者は、こうした多くの募金活動に対してもできるだけ協力してきた。中には存命中、あるいは死後、共産党に資産を寄附する人も多かった。地方党組織の土地建物には、そうした寄附で得られたものも少なくない。
2008年に総務省が行った政治団体の土地所有調査で、土地を所有する政治団体324団体のうち243団体が日本共産党の地方組織であった。それには、こうした経緯があるのだ。現在の党本部敷地も建物も、全て支持者の寄附で得たものである。とはいえ、支持者の財布は打ち出の小づちではない。限度がある。
消失する高単価の「職場支部」
次にビラの裏面を見てみよう。
ビラの裏面
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まずは「党費納入数」の16年間の変化である。「居住支部」とは、地域各所に存在する支部に属する党員で構成される支部で、「職場支部」とは、企業内にある支部のことをさす。
職場支部は企業内にあるため、党員は現役の社員であり、所得も高い。そのため党費も多く徴収できる。
居住支部は勤めていた会社を定年になった人や主婦などが所属することが多いため、徴収できる党費は当然少ない。16年間で党費が徴収できる支部と取れない支部の比率がほぼ逆転している。その結果、1人あたり党費が約3分の2になっている。
党費の「納入口数」の減少も深刻だ。日本共産党は、以前は簡単に党員になれなかった。試用期間があり、3カ月、半年程度の試用期間の活動実績が芳しくなければ入党を断られたのだ。しかし、党員拡大に力を入れだしてから審査は事実上なくなり、現在では事実上誰でも入党できる。そのため、党への忠誠心の欠けた党員も多くなってきている。
「退職金党費の納入者数」も気になる。年間で定年になる党員が何人いるのか不明だが、20人程度の数字が「少ない」を意味しているのは確かだろう。赤旗の販売部数の減少も当然大きく響いている。
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二中総で示された「専従切り」構想
繰り返すが、この地区委員会は、315ある日本共産党の地区委員会の中でも、財務的な体力がある部類に属する。それでも、早ければ今年、資金ショートを起こしそうだ。
しかし他の地区委員会でよく見られる、支持者などからの借金はない。資金ショートを起こしても、地区委員会の所有地を担保に入れたり、支持者から借金をすれば5年から10年程度はしのげるかもしれない。もちろん、5年後に党があることが前提で、なければ破たんする。
だが、余力のない地区委員会はどうすればいいのか。
2010年9月に行われた二中総(第2回中央委員会総会)の幹部会報告において、志位委員長は次のように述べている。
「地区委員会の常勤常任委員は、1997年と比較して、1376人から918人へと大きく減っています。常勤常任委員がいない地区が3地区から11地区に増え、常勤常任委員が3人未満の地区が46.3%にまで増えています。地区委員会の指導中核が弱まっていることは、『支部が主役』の活動を援助する上で困難をもたらしています。
(中略)
同時に、非常勤を含めると、現在、1万人を超える地区役員が活動していることは重要です。その年齢構成は、50代と60代前半で約6割を占め、試されずみの経験豊かで活力ある同志が多数となっています。65歳以上の年金生活に入った同志たちが地区役員として奮闘していることも、大きな力です。この1万人の地区役員に依拠して、『支部が主役』の活動の発展をどうつくりだしていくかは、新しい挑戦の課題です」
誰がどう読んでも、専従給与を払わなくてもいい「地区役員」、つまり他に仕事を持って所得を得ている者や、年金生活者に地方機関を運営させようとしているようにしか読めない。
革命を夢見て、あるいは国民の苦難の軽減に貢献をしたい。そんな考えで党に人生を懸けた、地方の専従党員たちを切り捨てていくことで日本共産党は延命を図ろうとしている。
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