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問題だらけ…菅&孫が血道あげる「再エネ法」の大ウソ ★ジャーナリスト・町田徹氏が暴く
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110702/plt1107021528001-n1.htm
2011.07.02 夕刊フジ
いまや国家的な大事のように喧伝されているのが電力会社に自然エネルギー買い取りを義務付ける「再生可能エネルギー特別措置法案」だ。菅直人首相が退陣の条件の1つに掲げ、いつの間にか“盟友”となったソフトバンクの孫正義社長も煽りに煽る。しかし、実のところ、この法案で太陽光発電や風力発電を電源の大黒柱に据えるのは難しく、「国民や一般企業、地方自治体に負担を強いて、一部の経営者に浮利を与えるのが関の山」だというのだ。問題だらけの法案の正体を、ジャーナリストの町田徹氏が暴く。
菅首相は6月27日の記者会見で、自らの辞任の時期に触れ、再生エネルギー法案を第2次補正予算や公債特例法と並ぶ重要法案と位置づけ、これら3法案の成立が退陣の「1つのメド」と言い放った。大合唱に抗して首相の座に居座らなければならないほど、この法案が重要だというのである。
他にも、この法案を支持する政治家は多い。自民党の谷垣禎一総裁は26日の講演で「反対ではない」と述べ、同党の河野太郎衆院議員、社民党の阿部知子政審会長ら、与野党の国会議員200人あまりが名を連ねるエネルギーシフト勉強会も賛意を示している。
しかし、それほど大事な法案で、多くの政治家が支持しているのなら、なぜ、閣議決定から3カ月近くも塩漬けにされたのだろうか。
謎解きは、法案の生い立ち抜きに進まない。実は、この法案は地球温暖化対策のための妥協の産物だ。端緒は、鳩山由紀夫前首相が就任直後の2009年9月、ニューヨークの国連本部で開かれた気候変動首脳会合で、「日本の温室効果ガス排出量を20年までに1990年比で25%削減する」と表明した「国際公約」である。
すったもんだの末、政府は昨年7月、化石燃料を大量に燃やす火力発電への依存度を引き下げるエネルギー基本計画を決定した。ただし、その主役は原子力発電で、再生可能エネルギーは脇役に過ぎなかった。目標では、発電に占める原子力の割合を2030年に5割(現状は2割)、再生可能エネルギーを同2割(同9%)、火力を同3割弱(同7割弱)にそれぞれシフトすることになっていた。
東日本大震災直前の3月11日午前に、菅政権が法案を閣議決定した時点でも、再生可能エネルギーは脇役のままだった。しかも、法案に盛り込まれた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」という特別措置も振興の一助が狙いだった。つまり、はじめから、再生可能エネルギーを国の主軸に据える戦略は存在しなかったのだ。それゆえ、東日本大震災の直撃を受けて東京電力の福島第1原子力発電所が世界最悪レベルの事故を起こした後でさえ、取るに足らないものとみなされていた。
■「月500円では不十分。月5000円は必要」
政治家の顔付きが変わり始めたのは、5月初旬ごろだ。ソフトバンクの孫正義社長が頻繁に政治的会合に顔を出したり、首相との会食を始めたのもこの頃である。その後、菅首相は経済開発協力機構(OECD)総会や8カ国首脳会議(G8サミット)の場で再生可能エネルギー振興を国際公約とし、この法案を辞任条件の1つに掲げるようになった。
一方、孫社長は、法案にある固定価格買取制度をさらに拡充し、自治体から安く土地の提供を受ければ、メガソーラー(大規模太陽光発電)事業で採算が採れると参入意欲満々だ。肝心の一般国民に転嫁されるコストについても、孫社長は「(1世帯当たり)月500円の上乗せで安全・安心が買える」といい、原発の全廃まで可能だと請け負っている。
しかし、月500円というコストは、産業界や電力会社が法案策定過程で容認した「月150円」を上回る。しかも、専門家の間には、孫社長の言う原発全廃には「月500円では不十分。月5000円は必要だ」(秋元圭吾東京大学客員教授)といった指摘もある。
古証文のような法案に固執して一部の経営者に利益を誘導するのは政治家にあるまじき行為だ。むしろ、原発の将来像の見直しや、再生可能エネルギーに経済性を与える技術革新を進めることこそ、使命のはずである。
■まちだ・てつ 1960年、大阪府出身。日本経済新聞社で証券部、経済部、ワシントン支局などに在籍。退社後、雑誌「選択」を経て2003年に独立。日興コーディアル証券の粉飾決算のスクープで06年度「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞受賞。著書に『日本郵政 解き放たれた「巨人」』など。
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