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埼玉県産農産物の風評被害に対する賠償請求について―関係省庁に対し、風評被害の賠償を行うよう強く求めています―
text by
小泉龍司2011.06.14
(1)福島原発事故に伴う放射性物質による汚染の危険性を懸念しての「風評被害」については、原子力損害賠償法に基づく「原子力損害賠償紛争審査会」が二度にわたり指針を示しています。
○第1次指針=4月28日 ○第2次指針=5月31日
(2)これらの指針によれば、農産物の出荷制限指示や出荷自粛要請が行われた県については、すべての農産物に関する経済損失について賠償を行う旨が明記されています。
一方、埼玉県においては、近隣の県と同様に、原発事故以降、農産物価格の大幅な低下が生じているにもかかわらず、政府等による出荷制限指示等が出されていないため、これまでの指針では、賠償が行われるか否か必ずしも明示されていない、と一般に受け止められてきました。
しかしながら、第2次指針の13ページから14ページには風評被害の賠償に関する「一般的基準」が示されており、これによれば埼玉県産農産物の風評被害についても、当然、損害賠償請求を行うことができると考えられます。
(3)第2次指針の該当箇所(13〜14ページ)は以下のとおりです。
――「東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針」からの抜粋――
『第5 いわゆる風評被害
1 一般的基準
(指針)
T ) いわゆる風評被害については確立した定義はないものの、この指針で「風評被害」とは、報道等により広く知らされた事実によって、商品又はサービスに関する放射性物質による汚染の危険性を懸念し、消費者又は取引先が当該商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた被害を意味するものとする。
U ) 「風評被害」についても、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償の対象とする。その一般的な基準としては、消費者又は取引先が、商品又はサービスについて、本件事故による放射性物質による汚染の危険性を懸念し、敬遠したくなる心理が、平均的・一般的な人を基準として合理性を有していると認められる場合とする。
V ) 具体的にどのような「風評被害」が本件事故と相当因果関係のある損害と認められるかは、業種毎の特徴等を踏まえ、営業や品目の内容、地域、損害項目等により類型化した上で、次のように考えるものとする。
@ 一定の範囲の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害(W)に相当する被害をいう。以下同じ。)は、原則として本件事故との相当因果関係が認められるものとする。
A @以外の類型については、本件事故以降に現実に生じた買い控え等による被害を個別に検証し、U)の一般的な基準に照らして、本件事故との相当因果関係を判断するものとする。その判断の際に考慮すべき事項については、この指針又は今後作成される指針において示すこととする。
W ) 損害項目としては、消費者又は取引先が商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた次のものとする。
@ 営業損害
取引数量の減少又は取引価格の低下による減収分及び合理的な範囲の追加的費用(商品の返品費用、廃棄費用等)
(4)埼玉県及びJA埼玉県中央会は、埼玉県産農産物の風評被害について、国の指針は未だ明示されていないと受け止めており、この点について私から上記の点をよく説明し、損害賠償請求に向けての動きを強く促しているところです。
また、政府に対しても、先に3月25日付「動く」に掲載したとおり、損害賠償を強く求めてきたところですが、重ねて、所管の文科省及び農水省に対して損害賠償を認めるよう、粘り強く交渉しているところです。
地元市町の校庭園庭での放射線量測定結果について
text by
小泉龍司2011.06.20
(1)6月9日のホームページ「動く」に掲載しましたように、地元の首長さん方に、校庭や園庭での放射線量の測定をお願いしました。各自治体でも、早急な取り組みを行って頂き、各郡市の代表として、秩父市、本庄市、深谷市、寄居町において、放射線量の測定と公表が相次いで行われました(各自治体のホームページを参照)。
(2)その結果をどのように評価すべきかという点については、次のように考えられます。
@ 国際放射線防護委員会から、日本に対して行われた勧告は、事故収束後の退去時の基準値を1〜20_シーベルト/年間としており、平時には1_シーベルト/年間に戻すことを勧告している。
A 文部科学省では、この事故収束後の基準値(1〜20_シーベルト/年間)を、学校等の校舎校庭等の利用制限の暫定的な目安(夏休みが終わる8月31日まで)とし、今後できる限り受ける線量を減らしていく、としている。この基準については、当然のことながら、非常に甘いとの批判があり、私もそう考えているが、現時点では変更されていない。
B 文部科学省はこの年間基準値を1時間当たりの数値に直すに当たり、次の前提を置いている。
〇屋内(木造)での被曝は屋外の40%。
〇一日16時間を屋内(木造)で過ごし、8時間を屋外で過ごす。
C この前提で換算すると、20_シーベルト/年間=3.8マイクロシーベルト/時間。1_シーベルト=0.19マイクロシーベルト/時間、となる。
(3)この数値と今回の計測値を比べることにより明らかであるが、今回の各市町での計測結果は、いずれも、(事故収束後の基準はもとより)平常時の基準、年間で1_シーベルトを超える計測値もほとんどなく、超えるケースもその幅はわずかです。ほぼ平常時の基準の近辺にあると考えてよいと思います。
(4)3月14〜15日の水素爆発の後、大量の放射性物質が放出され、それが風により運ばれ、雨によって地表に降下しました。
風向きと雨の降り方によっては、放射線量が非常に高い地点(ホットスポット)が、原発との距離とは無関係に存在していることがわかってきて、その対応が課題になっていますが、今回の測定により、校庭や園庭にはホットスポットは見つかりませんでした。
なお、今後注意深く計測地点を増やしたり(公園や子供達の遊び場)、継続調査を行うことも非常に重要であり、各自治体によくお願いを致します。
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