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http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/06/post_783.html
菅直人首相が民主党執行部からさえもほとんど見放された格好で、政局論の常識からすれば「見苦しい」とか「異常な権力執着」とか言われるのも当然だが、彼はそんなことは百も承知で、28日の民主党両院議員総会でも「皆さんからすればなぜここまで頑張るのかという見方もあるのかもしれないが、私自身は私のことだけで言っているのではなく、(次期首相に)安定的に引き継ぐということで、私個人が何かを得たいとかいうことではない」と言い放った。何を次に引き継ぎたいのかと言えば、同じ席での発言・・・
▼第2次補正予算案、特別公債法案、再生エネルギー法案の成立が退陣の条件だ。
▼エネルギー政策をどのような方向に持って行くかは次期国政選挙でも最大の争点になる。
▼残された期間で原子力行政に禍根を残さない方向性を示したい。時間の許される中で方向性を打ち出すところまでやらせてほしいという意味だ。
2次補正と特別公債法案は、誰であってもすぐやらなければならないことで、中身はともかくそれを早期成立させることについては議論の余地はない。真の争点は、再生エネ法案を菅政権の置き土産とするのかどうかで、菅はそれによって「脱原発」への方向性を確かなものにして辞めようと思っているのに対して、そうはさせじとという勢力が自民党から民主党内に跨がって強固に存在していて、1日も早い菅退陣を策している。私は、菅政権が続くことを願っているわけではないし、実際に続かないだろうとも思うけれども、事ここに至っては、彼があらゆる永田町的な政局論に逆らって図々しく開き直り、再生エネルギー法案を何としても押し通した上で、花と散って欲しいと思う。それがせめてもの罪滅ぼしということだろう。
●自然エネルギーへのこだわり
菅の自然エネルギーへのこだわりは昨日今日の話ではない。6月27日付朝日新聞1面トップ「電力の選択」シリーズ第1回が書いているように、彼は1980年に社民連から初当選して間もなく、三宅島に東電が試験的に建てた100kW級風力発電2基を視察し、82年の初めての質問で自然エネルギーを「未来永劫、無限に再利用できる」と訴えている。民主党に移ってからも、03年総選挙で党代表として自然エネルギーの買い取り制度を公約に掲げ、それは09年総選挙での公約にも一応、引き継がれている。
と言っても、民主党の原発政策は右往左往の連続で、98年の民主党再結成以来、原子力を「代替エネルギー確立までの過渡的エネルギー」と位置づけていたが、06年に小沢一郎が代表に就いて以後、日立労組出身の大畠章弘(現国交相)を中心に「エネルギー安全保障上、欠かせない恒久的エネルギーとして積極的に推進する」という方向で政策転換しようとする動きが活発となり、しかし旧社会党出身者を中心にそれへの反発があって、07年マニフェストではむしろ「再生エネルギー導入の強力な推進」が強く謳われた。それを09年マニフェストは買い取り制度にまでもう一歩、踏み込んだわけである。
このあたりのせめぎ合いに菅がどう具体的に絡んできたのかは詳らかでないが、前掲朝日によると、フクシマ後、「菅は『電力改革のチャンスだ』と周辺に力ん」で、5月以降、浜岡停止要請、2050年に原発50%とした鳩山時代の政府エネルギー計画の白紙化、電力会社から送電部門を切り離す「発送電分離」、G8サミットでの太陽光パネル1000万戸構想、と踏み込みを続け、その直後から自民党を震源地とした「『菅降ろし』は勢いを増す」のである。民主党内で鳩山由紀夫前首相と小沢グループがそれに呼応して、菅は結局"辞任表明"に追い込まれるが、そこには「浜岡停止の要請後、東電・経産省連合の巻き返しは凄まじかった」と菅が漏らすような闇の力が働いていた。
●菅さん頑張れと投書
菅の辞任表明をもたらしたこのアホくさい政局の主因は、菅自身の政治的無能と人格的欠損にあることは言うまでもないが、その底流にもう1つ副因として、彼の脱原発&自然エネルギー志向を再生エネルギー法案として実体化しようとする意思と、それを何としても阻止してその前に彼を辞任に追い込もうとする旧体制の覚悟とのせめぎ合いがあることは疑いがない。
前掲朝日の記事の見出しは「自然エネルギー、阻む政官業/『電力権益』構造脈々」である。菅の主観では恐らく、自身の脱原発=自然エネ志向が「菅降ろし」の主因であると映っていて、それに屈して辞めたのでは成仏のしようもないという思いが強まっているのではないか。
私も、一般論としては、男(女でもそうだが)は引き際が大事で潔くすべきだとは思うけれども、そこに脱原発の流れを阻止しようとする自民から民主内部、経産省、電力とその身内の経団連等々、政官業癒着の旧体制による策謀が働いているのだとすれば、少なくとも再生エネルギー法案の成立までは「菅、頑張れ」とエールを送りたい。
朝日新聞も、そういうつもりで27日付の記事を掲げたのだろうし、さらに翌日の「声」欄トップに「再生エネ法案成立まで政権守れ」という茨城県つくば市の鍼灸師69歳の投書を持ってきて、社説では言い切れないことを言わせたのだろう。その全文は次の通り。
▼菅直人首相は、党内外からの圧力にもかかわらず、少なくとも、自然エネルギーの全量固定価格買い取り制度実施を目指す再生可能エネルギー特別措置法の成立までは辞任しない考えのようだ。この点に限って私は、菅さん頑張れと言いたい。
▼本紙の世論調査では、原発を段階的に減らして将来はやめることに74%が賛成と答えた。しかし、代替となる自然エネルギーの発電コストは、かなり割高なので、政策による支援なしには、普及が期待できない。従って、電力会社に買い取らせるという、一種の大胆な「補助金」を投入する制度が欠かせない。
▼ドイツ、スイス、イタリアでは明確な「脱原発」の民意が示された。日本では、電力網がつながっている欧州各国と違って、電力を輸入するわけにはいかない、などの理由を並べて、脱原発や再生エネ法に反対する勢力が頑として存在している。
▼本当は、福島第一原発事故はいまだ解決の見通しが立たず、地震国なのに全国に54基もの原発を抱えている日本こそ、世界に先駆けて脱原発をめざすべきである。日本国民の固い意志と団結、そして高い技術力をもってすれば、必ず可能であると信じている。
ネットで話題になっている、巨匠=宮崎駿の「自然エネルギー法案をぜひ通して下さい」という「菅直人へのメッセージ」や、作家=矢作俊彦のツイッター発言「鼻をつまんで菅を支持する」も、同様の趣旨である。矢作は言う。「王様と臣や敵軍にはただ一点、違うところがある。原発に対するスタンスである。彼だけが再生可能エネルギーへの転換と原発の(段階的)廃止を主張している。そして――ここが肝心だ。彼がそれを言いだしたとき、家臣と敵軍は王様を玉座から下ろそうとし始めた」と。
★宮崎駿:http://ameblo.jp/toseinin-tora/entry-10929896363.html
★矢作俊彦:http://togetter.com/li/153442
賛成である。このまま「菅降ろし」のグチャグチャの流れの中で次期政権が生まれれば、そもそも新首相が菅とは違って何が出来るのかという問題はさておくとしても、脱原発志向でない政権になるのは恐らく確実で、それを防ぐには、菅が何としても再生エネルギー法案までやり遂げて、この方向性を堅持することを次期政権に託すと言って辞めるようにして頂きたい。
ここに日本再生と東北復興の鍵がある。そこを抜きにした政局与太話はもういい加減に止めて貰いたい。▲
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