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菅首相が言い出した「再生可能エネルギー法」。長年の想いだと言うのなら、なぜ、菅はもっと早くから、具体的には鳩山内閣の国家戦略担当相時代に、この問題について推進しなかったのだ。長年の想いとは後付けではないか。この原案は菅ではなく、鳩山内閣のCO2削減政策の一環だと言われている。
自然エネルギーは天候に左右される。風力発電の進んだ欧米では、騒音による健康被害やバードストライクによる野鳥の大量死が問題になっている。日本には風力発電に適した場所が、そう沢山ある訳でもない。観光立国だとするなら、観光地に近い場所では不可能である。また、地熱発電は天候に左右されないが、日本の地熱エネルギーの多くは国立公園の中に存在する。その所為もあって規模が小さい。
例えば、八幡平国立公園に隣接する大沼地熱発電所の発電規模は1万kWで、将来5万kWを目指すそうだが、既に操業開始から35年以上も経過している。この大沼地熱発電所は、東北電力に売電しているのだが、その売電価格は東北電力の売電価格よりは低く抑えられている。このような企業にとっては、売電価格が3倍近く上がることになるこの法案は有りがたいものになる。
仮に、八幡平国立公園の周辺に5万kW規模の発電所を10箇所建設しても、旧式の原発1基分の発電能力しかない。北海道から九州まで、地熱発電に適した場所が20箇所あると仮定して、1箇所で50万kW発電できるとしても、日本全体で1千万kWにしかならない。しかもそれは、観光立国との共存問題を無視しての話である。
再生可能エネルギーを太陽光発電に求めるのも、多くの問題がある。先ずは稼働率の問題である。夜だけではなく昼間でも雨天や曇りの日は発電できない。その為に、安定した電力供給源とはならない。太陽光と風力は周波数が変動し易く、安定した良質の電力を維持するには、全体の10%が限度だと言われている。電力の質を無視すれば、日本では超ハイテク産業の多くに悪影響を与える。
この法案の骨子は、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気について、国が定める価格で、一定の期間、電気事業者が買い取ることを義務付け、その買取りに要した費用を、電力消費者に負担させると云うものである。再生可能エネルギー発電事業に進出する企業は、当然のことながら利益を求める。つまり、「再生可能エネルギーで儲けたいという企業」のための法律でないと意味がないのである。
現在、一般家庭での太陽光発電による余剰電気については09年11月から、1キロワット時42円で電力会社が買い取っている。だが、一般家庭では、太陽光発電装置費用を自己負担している。その償却費を考えると、現行の売電価格では、決して採算が合っているとは言えない。逆に言うと、そのような小規模発電を対象にしている限り、大きな発電量は期待できないと云うことである。
この法律の前提となる再生可能エネルギーには、環境面と技術的なハードルがある。だから、ノーだとは言わない。それより問題は、アパート・マンション居住者とか、太陽光発電を出来ない家屋の居住者が、高い電力を買わされることだ。この法律は三方一両損ではなく、「再生可能エネルギーで一儲けしたいという企業」のための法律になるのではないかと、危惧するのだ。何も孫正義氏を指しているのではない。
調べてみると、震災当日の3月11日午前の閣議で、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」を決定し、4月5日に国会に提出されていた。強い思い入れがあるのなら、3月11日は無理だったにしても、4月5日に法案を国会に提出する時に、その決意を菅が述べていなければおかしい。この法案が店晒しになっているのに気がついて、お得意の「抱きつき」をしたのだろう。
鳩山氏は、地球温暖化防止対策という理念を持っていた。だが、菅にはそれはない。菅がこれを持ち出したのは、脱原発と云う風に乗って、何とか一日でも政権の座に居座りたいからだろう。筆者だけではなく、世の多くの人がそう見ている。この法案の国会審議が始まると、理念の無い菅は【ボロ】を出す。それが怖いから、「顔を見たくないなら早く通せ」の暴言になったのだろう。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=110360
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