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【松本浩史の政界走り書き】小沢氏の逆襲、虎視眈々と狙う仕掛け
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110626/plc11062618010007-n1.htm
2011.6.26 18:00 産経新聞
公の場にその姿をみせない民主党の小沢一郎元代表は、果たして「次の一手」をどう思い描いているのであろうか。その政治手法や理念に対しては毀(き)誉(よ)褒(ほう)貶(へん)定まらずだが、退陣表明をしたくせに居座り続ける菅直人首相の破廉恥な振る舞いや、飽かず繰り広げられるであろう、延長国会での与野党の不毛な対立やらに思いを致すとき、この閉(へい)塞(そく)状況に風穴を開けられる民主党の政治家となれば、やはり小沢氏に行き着くのである。
民主党関係者によると、このところの小沢氏は、内閣不信任決議案の採決をめぐる攻防で、精根尽き果てたのか、「虚脱状態」だという。もうあと一歩のところまで首相を追い込みながら、延命を許す始末となったのだから、落胆の大きさも想像に難くない。
不信任案の際には、賛成に回った場合には離党して新党を結成するという戦略も、切り出せる有力カードとして懐に入れていたそうだ。国会にほど近いビルに新党向けの事務所を契約し、党名も「新党自由」などが取り沙汰されていたという。
「政治生命をかけて取り組む」。小沢氏は、不信任案の賛同者を得るため、党内の若手議員と懇親し、こう説いて回っていた。わざわざ本人が出向いて個別に説き伏せたケースもあった。
菅政権打倒にかける意気込みはそれほど熱く、それだけに事が成就しなかった失意も小さくないわけだ。そういう事情もあるのか、自身を支持する若手・中堅と夜な夜な会合を重ねても、一致結束を唱えるだけで、菅政権打倒に向けた秘策を打ち明けるようなこともないらしい。
そうはいっても、その動向を探ると、おぼろげながらも小沢氏の出方が占える。いつまでも「虚脱状態」であるはずがない。
首相の退陣時期がいつであれ、「ポスト菅」を争う次期代表選への対応が何にせよ大切である。小沢氏は早くも、出馬が有力視される野田佳彦財務相を支持するかどうか、水面下で動いている。野田氏のもとにとある若手議員を遣わし、財政再建に向け、どういう政策を打ち出すのか確認しているのだ。
別の関係者によれば、消費税率引き上げを含む増税路線に反対している小沢氏と、野田氏の考え方は相いれなかったようだ。
野田氏の有力対抗馬として浮上している鹿野道彦農林水産相に対しては、今月上旬の会合で小沢氏自ら「鹿野はダメだ」と漏らしたとされる。原口一博前総務相に至っては、不信任案への対応をめぐり、発言が二転三転したことでもはや小沢グループにさえ支援する空気はない。
「小沢氏にとって民主党なんかどうでもいいんだ。掲げる政策が実現できるなら、いつでも民主党を割るし、自民党と手を組んでもいいと考えている」
小沢氏に近い筋は、新党構想はくすぶり続けていると明言する。平成9年に旧新進党を解党し純化路線にひた走った、かつての政治行動を彷(ほう)彿(ふつ)とさせるシナリオだが、政治家が繰り出す政局カードとは、そうバラエティーに富んでいるわけではなく、似通った仕掛けになりがちだ。
ただし、立ち上げるとなれば、60人規模でなければ、政局の流れを引き寄せることはできない。民主党に所属する衆院議員は約300人なので、単独過半数を阻止する絶対条件なのである。この筋は「40人は確実に計算できるのだが、残りが読めない」と打ち明ける。
自他ともに民主党の「生みの親」として知られる鳩山由紀夫前首相も同調する公算が大きい。不信任案をきっかけとした党分裂を回避するため、退陣を示唆した「確認事項」を首相と交わしたにもかかわらず、煮え湯を飲まされたのだから、穏やかな人柄で知られる鳩山氏にしても、もはや我慢ならず、といったところか。実際、鳩山氏は、設立資金について周辺とやり取りをしている。
東日本大震災への対応を「免罪符」にして、延命を策するばかりの首相のクビに、民主党の誰もが鈴をつけられないでいる。そんなコップの中の争いでチマチマしているのなら、いっそ大がかりな政局でもって、首相をその座から引きずり降ろし、新たな政治体制への道筋をつけてほしいものである。
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