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鳩山由紀夫・元首相に「一緒に菅を倒そうよ!」と言われた……。実弟の鳩山邦夫・元総務相が21日の会見で、今月初頭の内閣不信任案騒動の裏側を明かした。鳩山由紀夫氏は不信任案に賛成する意向だったが、約20人いる鳩山グループで由紀夫氏に従う人はわずか3人。ある人物の根回しが原因で、由紀夫氏は孤立していたという。
邦夫氏の会見は、東京・原宿のニコニコ本社で開かれた。主催は自由報道協会で、多くの雑誌記者やフリージャーナリストが詰め掛けた。司会進行が、かつての公設秘書、上杉隆氏ということもあり、鳩山氏もリラックスムード。会場から「得意な料理は何ですか?」という質問が飛ぶと「焼き鳥を家で焼くと本当に美味いんだよ!」と上機嫌で答えるなど、ユニークな記者会見となった。【取材・構成・写真 安藤健二(BLOGOS編集部)】
「一緒に菅を倒そうよ」と兄に言われた
―菅首相は一度辞任するようなことを言っていたのに、現在は自然エネルギー法案の成立に意欲を見せており、全く矛盾しています。菅さんは一体何を考えてるのでしょうか?
鳩山邦夫氏(以下、鳩山):それは私には分かるわけないですが、兄が騙されたことは間違いないんです。私は今は無所属という立場で、非常に自由です。民主党の創立メンバーの一人ということもある。
私は民主党の若手の相談に乗ることが多かったんです。「こんなひどい党とは思わなかった。このままだと自分が何のために政治家になったのか分からない。次の選挙は通るか分からないけど、どうすればいいか」と彼らは言うわけです。これまで合わせて35人くらいいるんですが、中からそういう人材を引き抜いてやろうと思って、やってきたんですね。そこで内閣不信任案の話になった。「いざとなったら、あなたがたの身柄は私が引き受けてもいいぞ」と彼らに言ってたんです。「皆さんは、民主党と心中してはいけない。小沢さんと心中するのも良くないぞ。私は自民党の隣に住んでいるようなものだけど、自民党の親戚に私と一緒にならないか」と言ってたんです。
それで不信任案が通りそうだって言うんで、毎晩のように安い居酒屋を取って「みんな飲みにおいでよ」と言って、けしかけておいた。(本来であれば)何とか可決まで行ったんでしょう。だから、(6月2日の)不信任案の採決の日はものすごく緊張して「今日はどうなるかなぁ」と思っていた。そしたら、まあ(兄が)騙されたわけですよ。
異変は感じ取ったんです。NHKから前日にメールが来たんです。(民主党の)若手を集めて「明日は勝負だぞ」と言ってるときに。そのメールには「鳩山グループで由紀夫さんについていくのは3人だけだ。川内博史さん、牧義夫さん、松野頼久さん。この3人以外は慎重派です」って書かれてあったんです。
「おかしいな?」と。中山義活さんは、私が都知事選に出馬したときに、台東区議で「この選挙区は後は頼むよ」ということで、衆院議員になった人です。私の直系で、今は兄の直系なんですが、兄は「中山君は『命預けます』と言ってくれてるから、きっと賛成してくれるだろう」と言ってたんですが、それも違った。中山さんも「不信任否決の方がいいんじゃないか」という話になっていた。
兄も困ったわけですね。(側近の)平野博文・元官房長官がサーッと根回ししてたのが原因なんです。それで直系の人間はみんな兄貴に同調しないってことになってしまった。翌日の読売の朝刊には「鳩山グループ、由紀夫氏孤立」なんて書かれてましたね。そこにうまくつけこんで、菅さんは「辞める」とは書いてないけど、辞めそうな文章を書いてシャアシャアとやった。それを知って私は「畜生!」と思ってたんです。
昼の両院議員総会を経て、衆院本会議が30分遅れて午後1時半から始まったんです。開会したときに、与野党の議員の演説が始まりました。まだ採決が始まる前です。私は、一発文句を言ってやろうと思って、兄貴の後ろから「おーい、おーい」って言ったんです。そしたら、憮然としとったわけですよ。文句を言うつもりだったけど(様子が変だから)「何、どうしたの?」と聞いたんです。「一緒に菅を倒そうじゃないか」と言われたんです。「居座るらしいから、一緒に倒そうよ」と、兄はそのとき言いましたよ。
要するに本会議が始まったころには「騙された」ということを知っとったんですな。だから、不信任案が否決されたときには、兄は拍手をしてないです。憮然としていて。その後も「どうすんの?どうすんの?」で(兄と)何回か会ってますが、どういう第二幕があるか楽しみにしてるんですけどね。
総理を辞めさせるのは至難の業
―鳩山さんから今の菅さんをご覧になって、何か変だな?というのは感じますか?
鳩山:とにかく一日でも居座ろうという個人的な欲がもろに表面に出てきますよね。元からそうだったという話はありますよね。「一日でも長くやる少なくとも鳩山由紀夫よりは長くやれば俺の勝ちだ」と言っていたという話は漏れ伝わってきたけど。今は震災もあったから「なぜ俺が今変わらなきゃいけないんだ」と思っているんでしょう。そうなると原子炉の冷温停止が頭にあるんでしょうね。だから、その間のツナギとして再生可能エネルギーの買い取り法案とか、二次補正と言っていたのが、三次補正の話まで持ち出してきたし、しぶといですよね。総理大臣っていうのは力はあるんですよ。「辞めない」っていう人を辞めさせるのは至難の業ですね。本当に来年までやっちゃうんじゃないかってことも考えてます。
この他にもポスト菅について質問が出たが、「民主党政権である限り、首相は誰がやっても同じ」と述べるに留まり、大連立にも否定的だった。自民党→新進党→民主党→自民党といくつもの政党を渡り歩いてきた邦夫氏。今は無所属だが、政界再編の起爆剤になるのだろうか。兄の由紀夫氏とはまた違った意味で独特なキャラクターの政治家として、注目が集まっている。
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