http://www.asyura2.com/11/senkyo115/msg/495.html
Tweet |
<3・11から日本を問う>内部被ばくに向き合え/医師・被爆者 肥田 舜太郎さん
「しんぶん赤旗」 2011年6月22日付 9面 「文化・学問」欄
福島第1原発の事故は、「原発は安全だ」という神話を振りまいてきた歴代の日本政府と電力会社の責任をあらためて問うています。放射能被害の恐ろしさに目を向けず、まともな対策をとってこなかった罪は重い。
被爆者と共に/66年間生きて
私自身被爆者であり、医師でもあります。この66年間、被爆者とともに生きてきました。広島に原爆が投下された時は、軍医でした。あの朝、たまたま往診に出ていた広島市郊外の村で強烈な閃光と、それに続くきのこ雲を目の当たりにしました。
大勢の人を治療するなかで不思議なことに気付きました。原爆の閃光も爆風も浴びていないのに、下痢や鼻血が出て、高熱に苦しんだあげく亡くなる人が次々と現れたのです。原爆投下の後、救援や家族捜しのため広島市内に入った人たちでした。
その症状は内部被ばくによるものだということが30年後にわかりました。放射線を体外から浴びるのが外部被ばくで、空中や水中に放出された放射性物質を口や鼻、皮膚から体内に取り入れた場合が内部被ばくです。
内部被ばくは、どんなに微量でも体内に入った放射性物質が長時間、放射線を出し続け、外部被ばくと全く違うやり方で細胞を傷つけ、がん、白血病などを引き起こします。生殖細胞が傷つくと遺伝障害が起きます。
占領直後、アメリカは「内部被ばくは放射線が微量だから人体には無害」と根拠ない主張を押しつけました。「原爆の被害も軍事機密だから」と被爆者に沈黙を命じ、医師が症状を聞いても患者が口をきかなかったという笑えない話が残っています。家族や住む家を失い、自身も傷ついた被爆者は、原因不明の病気に苦しみ、就職、結婚で差別され、人生は地獄でした。
日本政府が長い間、被爆者の支援に背を向けてきたことが、被爆者をいっそう苦しませます。アメリカに追随した政府は、内部被ばくの実態を見ようとさえしません。2003年から大勢の被爆者は、原爆による被ばくが自分の病気の原因だと政府に認めさせようと裁判に立ちあがりました。そして各地で勝利判決を勝ち取っています。ところが、政府は今も大勢の被爆者の病気を原爆症と認めず、切り捨てています。
核兵器の恐ろしさは、戦争が終わっても簡単には消えない放射線によって人間を殺し続けることです。製造の段階でも放射能被害が続出しているのが実態です。
人工的放射線/人類には未知
今、その放射線が福島第1原発の事故によって放出され続けています。自然界にも放射線はありますが、これには長い年月をかけて、人類は適応することができました。しかし、原発や核兵器から人工的につくりだされる放射線は、人類にとって未知のものです。体内に取り込まれた放射性物質は濃縮され、細胞の新陳代謝を混乱させます。そのエネルギーは、酸素や水素分子などによる化学反応と比べ、100万倍以上もあるとされます。長い時間をかけて人体にどんな影響をもたらすのか。広範に広がる放射能被害を、これから注視していかなければなりません。
私から見ると、政府が内部被ばくの問題を軽視していることと、安全神話を振りまいて原発をつくり続けたことは同じ根っこから出ていると思えてならないのです。
核エネルギーは今回の事故のようにいったん暴れ出すと制御できないことが明らかになりました。地震国でもある日本から原発をなくしていかなければなりません。核兵器廃絶の運動と同じくらいの熱意が必要になっていると思います。 (聞き手 隅田哲)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK115掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。