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http://opinion.infoseek.co.jp/article/1221
2011年03月21日 23時00分 ( 「Infoseek 内憂外患」より転載 )
震災復旧、日本再生に向けての、これからの政治の取り組みが被災者のみならず日本人に生きる希望を与えることになる。本番はこれからだ。
地震発生と同時に知事、市町村長は救援の最前線に立った。官民一体となり、地域の総力を結集して大災害と戦った。自治体職員、警察官、消防団は家族の安否を確かめるどころか、命がけで奮闘した。官僚の中にも、上からの指示がなければ、規則に違反し、規制を無視してでも自分の責任で判断し、行動する豪傑もいた。放射能の被ばくの危険も顧みず原子炉に放水し続けた自衛隊員、東京消防庁職員の勇敢な行動に世界は驚嘆と絶賛の声を上げた。
被災者は飢えと寒さに苦しめられながら、お互いに励まし合い、助け合って秩序整然として乗り切ろうとしている。いち早く、近隣の市町村から宿泊施設が提供され、今では全都道府県が救援の手を差しのべている。医師会は救急救命医薬品を空輸した。無名の庶民もすばやかった。余震の恐怖をものともせず、食糧や救援物資を車に満載して、被災地に直行した。私の友人は10名の仲間とともに、トラック3台に炊き出し用の大釜と食材、救援物資を満載して、舞鶴港から小樽港、函館、青森経由で岩手県入りした。私は心の底から、日本人であることに誇りを持ったのである。
これから先は政治の仕事だ。災害発生後、もっともダメなのが政治だと言い換えてもいい。今回の大震災は、阪神淡路大震災とは比べものにならない巨大・巨額の被害をもたらした。マグニチュードは阪神大震災の7.3に対し9.0。死者・行方不明は6,436に対し21千人(3月20日現在)を超える大被害である。家屋、道路、鉄道、医療機関などの被害は比べようもない。仕事を失った人も数知れない。しかも、「阪神淡路」と全く違うのは原発災害という人災ともいうべき新たな難題も重なっているのだ。
「阪神淡路」では平成6年度第二次補正予算 10,223億円。平成7年度第一次補正 14,293億円 平成7年度第二次補正 7,782億円 計33,800億円だった。今回は、当座は予備費で賄うとしても、23年度には本格的な超大型補正を組む必要がある。額は、少なくても初年度で10兆円、場合によっては15兆円規模が必要になるだろう。気絶しそうなくらいびっくりするのは「財政健全化=緊縮財政・消費税論者」の菅総理、野田財務相、仙谷由人、岡田幹事長など菅執行部と財務官僚だろう。
日本人の最も悪いパターンの一つが「物を小出しにする兵力の逐次投入」である。橋本龍太郎内閣のとき、景気対策として予算をチビチビ出し、効果が見えないので、さらに小型の補正予算を追加し、結局、6回も補正予算を組みながら景気対策は失敗して、残ったのは財政赤字という借金だけという教訓がある。最大限(注:最小ではない)の補正予算を組み、あわせて、本予算を政策の優先順位に従って総組み換えし、特別会計削減に大胆に切り込むべきだ。
岡田幹事長は「不要不急の予算を削減して財源を生み出す」と言っている。そのことを否定はしないが、そんなチマチマした「逐次投入」の発想で、「国難」を克服できるはずがない。財源は国債か増税しかないのだ。谷垣自民党総裁は「震災税」を提唱している。消費税に2%上乗せすれば5兆円の増収になるとそろばんをはじいている。菅政権、民主党内にも内心では同調者がいるようだが、これほど、国民生活の基盤を破壊する苛政はない。
復旧、復興の財源は、大震災の直接、間接の被害で苦しむ国民から税金として巻き上げるのではなく、こんなときこそ無利子国債など、国が借金して賄うべきだ。場合によっては、アメリカは半狂乱になって「アメリカを潰す気か。世界恐慌になるぞ」怒り狂うだろうが、アメリカの国債を売却して財源をねん出してもいいではないか。「財政健全化至上論者」は目を剥くだろうが、一般庶民を塗炭の苦しみに落とし込む「財政健全化」に意味があるのか。「国滅びて、健全財政残る」は悪い冗談だ。
また、テレビ各社は国民の財産である電波を、マスコミ好みの市場原理通りにオークションにかければ400億円以上もする電波使用料を38億円という不当に安い料金しか払っていない。この際、電波使用料を市場価格並みに引き上げるのは、公平の観点からだけでなく「財政健全化のためにも当然のことだ。
予算も大半を、地方主権の予行練習の意味も含めてひも付き補助金ではなく「一括交付金」として地方に交付する。復旧事業、生活基盤整備、中小企業、農漁業を中心とする経済の立て直し、雇用、コミュニティーの再構築など地域の実情を知り尽くしているのは県、市町村だ。今回の大災害で責任を全身で受け止めた地方自治体の底力は凄かった。中央官庁が異口同音に懸念を示す「地方には専門知識を持った人材が少ない]ことは問題点の一つであることは間違いではないが、それならば、中央の専門知識を持った官僚が、腰掛けではなく「骨を埋める覚悟で天下って」地方に行けばいいのだ。災害復旧は地方主権への千載一遇のチャンスでもある。もっとも、中央官庁には、法律の附則などに「交付金の使用に際して、関係官庁と相談することが出来る」趣旨の文言を、こっそりと、目立たぬように挿入して実体的にはひも付き補助金にする裏ワザを持っていることは留意したほうがいい。
菅総理は大震災対策を大義名分に、考えられない行動を取った。谷垣自民党総裁を、政策のすりあわせもせず、副総理として連立を組もうとしたことである。具体的な救援・復旧対策に自民党は協力することを表明している。
とすれば菅の目論みは、一つには財源として「震災税の導入」であり二つには自分が全責任を取る勇気も気持ちもないので、責任の一端を自民党に押し付ける責任分散であり、すなわち菅延命である。
こんな悪知恵を思い付く実力者は仙谷以外にいない。官房副長官としての仕事は震災対策ではなく、どさくさにまぎれての、「菅自連立」である。
菅はどうにもならなくなって、19日、震災発生後9日も経って、小沢一郎、鳩山由紀夫、前原誠司元代表と会談した。小沢は党員資格をはく奪された「一兵卒」である。
前原元代表は刺身のツマに過ぎない。「小沢を活用すべきだ」と進言していたのは笹森元連合会長だが、菅、枝野は拒否していたという。本腰を入れて大震災対策に臨むのであれば、小沢を副総理兼党幹事長に任命して全権を委任し、亀井静香、鳩山という実力者を財務相など最重要閣僚にすべきである。菅がそこまでの覚悟を見せれば、野党も全面協力するだろう。
宇沢弘文東大名誉教授は「社会的共通資本」という概念を主張し続けている。彼は「第一は山、森、川、海、水、土、大気などの自然環境で、国、地域の人たちが聖なるものとして大事に守り、次代につたえつづけてきたもの。第二に、道、橋、鉄道、港、上下水道、電力、ガス、郵便、通信などのインフラ、そして第三に、教育、医療、金融、司法、行政、出版・ジャーナリズム、文化などの制度資本。それらが有効に機能することで、一人ひとりの人間的尊厳が保たれ、魂の自立を守り、市民的権利を全ての人が最大限に享受することができる」と述べている。「国民の生活が第一」と共通、共有する点の多い概念だ。
しかし、彼は、それもTPPなどアメリカ市場原理主義に侵害され、破壊されつつあるという。私は数十兆円を投じて行われる復旧、復興、日本再生事業は市場原理主義ではなく、「国民の生活が第一」という「共生社会」の理念に則ったものであるべきだと考えている。
この拙文を書き終えたとき友人から切迫したメールが来た。「放射性物質が雨となって降ってくる。直ちに健康を損なわないにしても、放射性の毒素は身体に蓄積されるものであり、汚染された土壌、水などで子どもたちの健康をジワジワと損なう恐れがある。東京以東の子ども、妊婦、乳幼児、母親を疎開させるべきだ」という。政府はこの素朴だが原初的な訴えにどう答えるのだろうか。
大災害は想定を超えた事象が起こるから発生する。今回の大惨事は世界最強の防波堤を征服し、破壊する想像を絶する大津波が襲ったからだ。静岡の浜岡原発は大丈夫か?全原発を直ちに総点検せよ。原発建設計画も見直す必要がある。時間はかかるが「脱原発社会」に舵を切らなければならないのだ。
私は、この10日間、ガソリンがないので、もっぱら、自転車、徒歩、路線バスを愛用した。始めはゆっくりペースに慣れなかったが、いまでは、ついこの前までの生活が、せせっこましく、ただ、忙しいだけで、中身の薄いものだと実感している。不夜城のようなネオンが消え、美しい星空が戻ってきた。私たちは便利さだけを追い求めてきたライフスタイルを転換しなければならない局面に立たされているのではないだろうか。
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