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歴史に「もし」は無いと言われる。だが、「もし」福島第一原発の1号機での水素ガス爆発が無かったなら、原発事故のその後の様相が大きく違ったことは間違いない。爆発の原因となった水素ガスは、燃料被覆管のジルコンと水蒸気とが反応して発生した。化学的に言えば、水蒸気=水(H2O)の中の酸素がジルコンと反応(=酸化)し、水素が遊離しガス化したと言うことだ。そして、酸化の速さは温度によって異なる。
燃料被覆管の厚みは1mm。合金表面から0.2mmの部分が酸化されると問題が生じると仮定し、ジルコンの酸化がそこまで進む時間を計算する。水の温度が750℃では約20日かかるが、1000℃では6時間、1500℃では数分で到達する。通常運転の原子炉は70気圧で、水の沸騰温度は300℃程度であるが、格納容器の圧力でさえ許容量の2倍に達した。原子炉内は相当な高温高圧になったはずである。
原子炉の冷却水量が減少すると、水温が上がり水蒸気量が増え、原子炉内の圧力が上昇する。それに伴い水蒸気の温度が上昇し、ジルコンとの反応が促進され、水素ガスの発生量が増える。この悪循環を断つには、原子炉内の圧力を下げ水の沸騰温度=水蒸気温度を下げることだが、同時に水蒸気量も増える。これらの問題を一挙に解決するのがベントである。だが、ガス化した放射性物質も、同時に大気中に放出される。
前置きが長くなったが、要は、今回の事故は早い時期にベントを実行し、原子炉内の気圧を下げていれば、冷却水も供給され、水素ガス爆発は起きなかった可能性が高いという科学的根拠である。では、東電の技術者はどう動いたのか。当初、ベントを渋る東電に対し、経産相が説得したが東電が応じなかった。そこで、菅首相が現地に赴いて現場の所長に命令して、東電がベントに応じた。このように報道された。
19日の毎日朝刊に、東電が発表した事故発生直後の対応状況が掲載された。「ベント・注水の混乱」「安全対策機能せず」の活字が躍るが、その内容を詳しく見ると、意外な事実が浮かんで来た。地震発生当日の16時36分に緊急炉心冷却装置による原子炉への注水が出来なくなった直後、【ベントに必要な弁や位置を確認】とある。さらに、12日0時06分に吉田所長は【ベントの準備を指示】と書いてある。
次に1時半ごろ、【ベント実施を首相、経産相、保安院に申し入れ了承を得る】とある。東電本店からは「あらゆる方策でベントをして欲しい。午前3時にベント実施を発表する。発表後にベントすること」とある。だが、実際に吉田所長がベント実施を指示したのは12日8時3分。処が、8時27分に大熊町住民の避難が遅れていることにより作業中止。作業再開は9時4分。10時17分にベント開始となっている。
当初予定の12日午前3時からベント作業に掛かっていれば、12日午前5時頃にはベントが行われた。なぜ、午前3時からの作業を中止したか。それは午前2時半に、菅首相が福島原発を視察すると発表したことと無関係ではないだろう。即ち、1時半から2時半の1時間の間に、何かがあったのだ。それを隠蔽するために、「ベントを渋る東電。指示する首相」の【平成嘘物語】がマスコミに流されたのだ。
その何かの中に、ベント実施前に地元住民を避難させる時間の確保があったと信じたいが、それは違った。住民避難を半径3キロから10キロ圏内に拡大したのは、5時44分であった。避難終了までに1時間半掛かるとみると。7時過ぎにベントが開始されると官邸は予測していたことになる。そして、法律に基づく首相のベント命令は6時50分であった。ここから次のような計算があったと推測できる。
それは、菅が現地に到着し、ベントの命令を出す。その前に住民を避難させておく。放射性物質の大気中への放散はあるが、メルトダウンは避けられ、チェルノブイリの再来とはならない。そのタイムリミットを計算させた。その時の東電のデータでは、12日午前7時か8時がタイムリミットであった。それに合わせ首相命令は6時50分に発令され、首相の到着は7時となった。当に悪魔のパフォーマンスなのだ。
それを裏付けるのは、0時40分に報道機関に配布された官邸資料に、3時20分に「内部の圧力を放出する措置(=ベント)の開始」とあることだ。だが、震災の直前まで外国人献金問題で窮地に居た菅は、事の重大性より、これを支持率回復の絶好の機会だと捉え、最大のパフォーマンスを狙った。これは、業務上過失傷害或いは過失致死罪に該当するだろう。菅の即時退任を求める理由である。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=110217
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