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◎菅、「脱原発解散」情報で禁じ手の主導権狙い
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-06-20
2011-06-20 07:32 永田町幹竹割り
永田町ににわかに緊張感が走っている。「8月8日解散・同30日告示・9月11日投票」説だ。首相・菅直人が「脱原発」のシングルイシューに絞って勝負に出るというのだ。どこかで見た日程だと思ったら、やはり「郵政」一本に絞って解散を断行した小泉純一郎の「郵政選挙」そっくりそのままの日程だ。うまく出来すぎている話だ。しかし、自民党副総裁・大島理森が焦って18日のテレビで「パフォーマンス選挙をやらせることのないようあらゆる手段を講ずる」などとまともに取り上げたものだから、なおさら火がついた。政権に異常に執着する偏執的傾向を見せる菅でなければできない異常な選挙だが、まさか断行しきれないと思う。主導権狙いだ。しかし情報は観測気球的性格を持つだけに侮れぬ側面もある。万が一菅がとち狂ったように突入した場合には、野党はひるんではならない。究極の謀略解散を受けて立ち、国の存亡をかけた選挙をすれば良いと思う。
夕刊フジが17日報じたものだが、根も葉もない話しではあるまい。単なる作文ではなく、少なくとも「ソース」がある話しだ。火のないところに煙は立たぬ。おぼろげながら選択肢の一つとして菅周辺には浮かんではいるのだろう。夕刊フジによれば広島「原爆の日」の8月6日にも「脱原発」を内外に向けて宣言し、そのまま選挙になだれ込むという計画だという。側近が「小泉さんが『郵政民営化は是か非か』の1本で選挙をやった。あれと同じ。民主党内にも原発推進論者は結構いるが、菅首相の『脱原発』に反対するなら、郵政総選挙と同じように追い出して刺客を立てればいい」と述べているという。自民党副総裁が反応しているのに、大新聞がタブロイド紙を馬鹿にして、あえて無視しようとしていることの方がおかしい。産経のように囲み記事扱いくらいしても良い。
ただ一つ朝日編集委員の星浩が18日の紙面で「脱原発で虎の尾を踏み込め」と謎のような記事を書いているのが意味ありげだ。菅自身と周辺に強いパイプをもち菅擁護の論調を貫いている星は、まず菅が「これまで多くの非難や中傷を受けてきたが、浜岡原発の運転停止を求めて以降の私に対する攻撃は、経験したことのない異常な激しさだ」と漏らしていることを明らかにした。次いで「ここは、勝負どころだ。首相の座を去る前に、脱原発へ強いメッセージを出してはどうか。七転び八起きの「八起目」で、思い切り「虎の尾」を踏み込んでみるのも一つの決断だと思う」と最後の勝負を勧めている。明らかに星にも「脱原発解散」の情報が入っており、「虎の尾を踏め」と暗に解散を促しているのだろう。
「菅ならやりかねない」と自民党内には一時「戦慄」が走った。「浜岡停止」での国民の反応を見ているからだ。世論調査では7〜8割が賛成している。国民はその後各地の原発が再稼働できず、我が国がエネルギー危機に直面したことなどとても予見できる状態にはなかったのだ。その「浜岡」に菅は味を占めて「脱原発」で選挙をすれば自民党は壊滅的な敗北となると踏んでいるのかも知れない。しかし自民党は“戦慄”などしているときではあるまい。ここは菅が被災地の窮状も顧みず、また満足に投票権も行使できない地域があるのに解散に踏み切るなら堂々と受けて立つ時だ。
その場合、解散・総選挙は究極的には「正義」か「邪悪」かが争点になる。いったん辞めると言った首相が、延命そのものを狙って解散・総選挙に打って出れば「邪悪」なるものとの戦いそのものだろう。ほんの数か月前まではベトナムに原子炉を売り込み、トップセールスの成功に有頂天になっていた首相が、単なる「延命」のためにだけに変身して「脱原発」を唱える。野党は、まず菅の臆面もなきマキャベリズムを訴えれば良い。さらに民主党内は原発推進派が多い。原発推進のため、労使一体となって国民的な合意形成を目指してきた電力総連や電機連合のバックアップを受けている。連合は原発推進政策を凍結しているが、内部は推進論が潜行しており、とても「脱原発」に集約できる情勢にはない。企業がつぶれれば労組は存在し得ない。脱原発で解散となれば民主党は分裂の危機となりうる。
さらに8月上旬ともなれば7月の電力不足が継続しており、原発なくして日本の産業が成り立ち得ないことがようやく国民に浸透し始める時期でもある。大停電でもあれば菅の狙いなどいっぺんに吹き飛ぶ。加えて青森知事選挙を見ても原発推進派の三村申吾が大差で勝っている。統一地方選挙も北海道、福井、島根、佐賀の知事選で原発の是非が争点となったにもかかわらず、容認派の知事が再選している。原発を抱える現地の県議選でも推進派が圧勝している。新潟の柏崎刈羽郡選区、山口県上関原でも勝っている。必ずしもイタリアのように「集団ヒステリー」(自民党幹事長・石原伸晃)状態に至るとは限らないのだ。
しかし、選挙は「風」。吹きようでどうにでも転がる。瓢箪から駒で「狂気の解散」となれば、堂々と原発なくして日本は立ち行かないと主張して、敗れればそれは国民の選択であり致し方ないことだ。菅と共産党、社民党、河野太郎、孫正義らが謳歌する世の中になれば良い。この民度にしてこの政治ありであろう。日本は確定的に亡国の路線をたどるだけだ。それも国民の選択ならば仕方がない。一番悪いのは菅周辺の「脱原発解散の脅し」に乗って、怖じ気ついて気圧されたまま政治の主導権を握られることだ。逆手を取って「災害強化原発の是非」がテーマの解散を訴えるくらい元気なのが本来の政党の姿だ。「原発是非」は新党が成り立つほどの大テーマだ。近頃の自民党の政治家は草津温泉だ。湯(言う)ばかりで腹が据わっていない。
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