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野田も仙谷も自民党も迫力不足 土俵際で菅政権が生き残り、政界再編も大連立も消えた
残る焦点は「大増税」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/8939
2011年06月17日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」:現代ビジネス
与野党を巻き込んで展開された「菅降ろし」の策謀は、ひとまず失敗に終わったようだ。肝心の菅直人首相が驚異の粘り腰を見せる一方、攻める側が土壇場で腰が引けてしまい、攻めきれないでいるからだ。
このままなら2011年度2次補正どころか、秋から本格化する12年度予算編成さえも菅の手に委ねかねない展開である。
菅は6月15日夜、亀井静香国民新党代表と会談し、亀井から内閣改造の進言を受けた。おそらく菅は改造をめざすだろう。政権が窮地に陥ったとき、内閣を改造して求心力を取り戻そうとするのは常套手段である。
「次は、あんたが大臣だ」とささやかれれば、たいていの政治家はとたんに腰砕けになって、忠誠を誓ってしまう。菅は攻撃に回ると強い。「どうせ、オレと本気になって刺し違える覚悟のある奴はいない」と見切って、相手の弱みにつけこんでくるはずだ。
逆に菅降ろしをめざす側は、これがラストチャンスになる。
菅が一本釣りで狙った議員に声をかけても、だれもが次々と「総理、もうお辞めください。潮時です」と拒否できれば、菅は内閣改造もできない政権であることが明々白々になって、再びピンチに陥る。
そうなれば、内閣にとどまっているほうがみっともない。閣僚の中から「私は菅政権についていけない。辞任する」という動きが相次いでもおかしくない。
仮に閣僚が総辞職しても総理がすべて兼任できなくもないが、そこまで行けば、さすがに政権は立ちゆかない。そんな度胸のある政治家が民主党に何人いるのか。
野田佳彦財務相が特例公債法案を可決成立させられるなら、自分の首を差し出す意向を表明した背景には、そんな思惑もあっただろう。だが、菅にしてみれば、タイミングが早すぎて、かえって好都合だったのではないか。
もしも政局が緊迫して、のるかそるかという局面で劇的な「野田辞任」ともなれば、菅に打撃となったはずだが、これでは「なんだ、野田は早くもポスト菅に色気を見せたのか」と政争劇を見る側はシラけてしまう。
仙谷由人官房副長官が周辺に辞意を漏らしたという話も同じである。
仙谷の揺さぶり作戦であることが、みえみえなのだ。逆に手詰まり感すら印象づけた。もともと「仙谷と野田は菅降ろしで連動している」とみられてきた。仙谷の暗躍については、与党内でも「菅政権の官房長官、官房副長官と日の当るポストに就いていながら、なんだ」という反発がある。
そんな2人が辞めたところで、菅には痛くも痒くもないだろう。仙谷が政権中枢から消えて行くのはかえって好都合くらいに見ているのではないか。
■「仙谷の関係者がいつも同席していた」
菅は土俵際一杯まで攻めこまれていたのに、どうしてこうなってしまったのか。
元をただせば、鳩山由紀夫元首相が民主党を分裂させたくない一心で、内閣不信任案に反対する姿勢に転じたところで勝負が決まった。
もしも鳩山と小沢一郎元代表の連携が最後まで崩れずにいたら、おそらく不信任案は可決成立し、民主党は分裂、政界は一挙に再編へとなだれ込んでいた可能性が高い。だが、いまとなっては後の祭りである。鳩山が菅をペテン師とののしっても、半分、そうと知ったうえでの騙されたふりに違いないから、ばかばかしいだけだ。
鳩山が心変わりする理由になった退陣表明の筋書きを書いたのは、北沢俊美防衛相と鳩山側近の平野博文元官房長官である。だが、ある閣僚経験者は「平野と北沢の会合には、仙谷の関係者が常に同席していた」と私に語った。
つまり、いま菅降ろしの急先鋒に見える仙谷も退陣表明が玉虫色であるのを初めから承知しながら、菅の自発的退陣に期待していたのだ。このあたりに降ろす側に、詰めと覚悟の甘さがあった。
■他力本願だった自民党
あらためて整理すれば、菅を降ろすために、本当に党を割る覚悟で戦おうとしたのはだれだったか。小沢一郎である。その小沢も最後に逃げてしまい、不信任案に賛成したのは結局、松木謙公議員と離党を表明していた横粂勝仁議員の2人だけだ。
仙谷も野田も、もとはといえば菅支持なのだ。ここを間違ってはいけない。
仙谷たち実権派は敵対する小沢グループの「力を借りて」菅を降ろし、あわよくば次の政権のイニシアティブを握ろうとしていたにすぎない。最初から自分が政治生命を賭けて戦ったのではない。
他力本願の政局で失敗し、その後、菅を降ろすために泥縄式に辞意をほのめかして巻き返そうとしても、うまくいくはずがないのだ。迫力負けである。
自民党はといえば、こちらも他力本願だった。
小沢の反逆で菅政権が崩壊し、あわよくば民主党が分裂すれば、残った実権派と増税大連立へという戦略である。だが小沢グループは大部分が党に残り、民主党は自前で衆院の過半数を維持しているのだから、いまや自民党とどうしても連立を組まねばならない理由はない。
したがって、もはや大連立はなくなった。
自民党は国会会期の延長に反対してきたが、自力で達成できない「菅退陣」の約束違反を理由に会期延長に反対しても、むなしい。むしろ「大震災なのに国会議員は夏休みか」と批判されれば、反論できないだろう。
かくて菅政権は生き残り、政界再編はなく、大連立の目も消えた。
このうえ自民党が残る最後の武器である特例公債法案にも賛成してしまえば、菅政権は完全に息を吹き返す。菅降ろしに加勢していた西岡武夫参院議長にしても、与野党が賛成しているなら、本会議の開会ベルを押さないわけにはいかなくなる。
そうなれば、次の政策課題はただ一つ。復興に名を借りた、どさくさ紛れの大増税である。増税に賛成するか、反対するかが政局の焦点になってきた。
(文中敬称略)
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