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2011-06-15
「逝きし世の面影」からの部分抜粋です。
■地震で原子炉損傷と外部電源喪失、津波で全電源喪失、メルトダウン開始
今度の原発事故での一番大事な最重要な話は、地震の直撃で壊れて冷却水が漏水した原子炉配管の問題点でしょう。
これが隠蔽されていた。
2番目は原発の全電源喪失(ブラックアウト)である。
全電源喪失の一番の原因は、地震直後の大事な原子力発電所の受送電鉄塔の倒壊であるが、これも地震の直撃が原因だった。
しかし、これも長い間隠蔽されていた。
3番目は、全電源喪失後の空焚きでメルトダウンした後での水素爆発であり、これで原発施設が回復不能の致命的な損傷を受けた。
この水素爆発の最大原因では、東電が政府の早期実施の指示に逆らってベントを半日近くもさぼった人災であることが明らかになっている
今国会などで大問題になった海水の注入中断の話は、メルトダウンと水素爆発で原発が完璧に損傷してから後であり、大事な事は大事だが『あとの祭り』的な話である。
■海水注入
そして、原発への海水注入ですが、行なったのは前代未聞。
我が福島第一原発の例が『世界で初めて』の、それこそ『想定外』の出来事であった。
海水には3%以上もの塩分が有るのですから、崩壊熱の高温で蒸発したら水1トン当たり30キロもの大量の『塩』が出来るが、毎日数百トンも海水を注水していれば福島第一発電所は巨大な製塩所(塩田?)だったことになる。
1ヶ月以上もの間、大量の海水を入れた原子炉内は本来なら塩の塊になっていても不思議ではないのですが、その様な報道が無い。
事実は、原子炉の損傷は致命的で圧力容器の底が抜けたダダ漏れ状態だったのでしょう。
■ベントと管直人首相
5/8 WSJ記事(抜粋)
地震発生後24時間において、これまで考えられていたよりもはるかに急速に状況が悪化していた。
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夕暮れが迫る中、彼らは付近の家屋から懐中電灯を探し出すことを余儀なくされた。
正常に機能していない原子炉計器を必死に復旧させようと、津波で押し流されずに済んだ自動車を見つけ、バッテリーを取り出した。
原発の完全な電源喪失により、危険なほど過熱していた原子炉内の圧力を下げる蒸気放出作業(ベント)ができず、作業員は手動でバルブを開けなければならなかった。
そのとき重大な判断ミスが発生していた。
作業員は当初、発電所の非常用電源がほとんど機能していないことに気付いておらず、復旧の時間はもっとあると勘違いしていたことが調査で明らかになった。
その結果、これまで想定していたよりも数時間早く核燃料の溶融が始まっていた。
東京電力は今週、福島第1原発の6基ある原子炉のうちの1基で地震当日に相当なメルトダウン(炉心溶融)が発生していたことを認めた。
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東電幹部は、危機の深刻さを当初認識していなかったことを認めた。
ベントを決断したときには、既に建屋内の放射線レベルはかなり高まっていた。
自ら志願して手作業で安全弁開放を行った作業員は、わずか数分間で日常生活時の1年間の被ばく量の100倍もの放射線を浴びることになった。
政府自身も、菅首相自らが直接関与していたにもかかわらず、統一された早期対応策を示すことができなかった。
当局者が楽観的過ぎる状況判断に足をすくわれたこともあるが、緊急対策室が置かれたビル自体も停電し、電話回線がつながらなかったことも一因だ。
政府・東京電力統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は 「それぞれの組織が自分のチャンネルを使って情報を発信し統一性がなかった」と述べている。
マグニチュード(M)9.0の地震が発生した3月11日午後2時46分、福島第1原発の幹部の多くは発電所の会議室で監督当局と会議を行っていた。
地面が揺れたのは、ちょうど会議を終えようとしていたときだった、と原子力安全・保安院の横田一磨・統括原子力保安検査官は話す。ファイルが倒れ、壁や床はひび割れ、細かい白いほこりが辺りに舞った。
そして電気が消えた。
横田氏は神経質な笑みを浮かべながら当時を振り返って、『いやーひどいね』と誰かが言ったと述べた。
だが、事態は統制されているように見えた。
福島第1原発の稼働中の3つの原子炉は緊急停止した。予備のディーゼル発電機が作動するとともに非常灯が点灯し、警報器が鳴った。
それからちょうど1時間後、約15メートルの津波が到達し、非常用電源が停止した。
午後3時37分、東電本社の事故対策本部に福島第1原発から『全交流電源喪失』との通報が入った。
これは発電所で交流電源を供給できなくなる状態を示す用語で、日本最大の原発の1つで完全な停電が発生したことを意味していた。
当時事故対策本部にいた原子力設備管理部の小林照明課長は、そのとき『なんでブラックアウトしたのか』と思ったと述べた。
完全停電は災害対策で想定していた最悪の事態だった。
だが小林氏は、本当に深刻な事態に発展するまで、電源を復旧させる時間はまだ8時間あると考えていた。
原子炉の燃料棒の冷却や主計器の電源となる予備電源は8時間持つと想定されていたためだ。
予備電源は、発電所の最後の頼みの綱だった。
16日に公開された文書によると、東電作業員は、全部ではないとしても、ほとんどの予備電源が津波で機能不全に陥ったと今は考えている。
だが、当時はそれが分からなかった。彼らは予備電源は依然機能しており、8時間の猶予があると考えていた。
午後3時42分、菅首相率いる政府の震災緊急対策本部に交流電源喪失の通知が届いた。
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午後9時21分には危険なサインを発見した。
1号機の水位が急激に下がっており、燃料棒がいまにも露出しそうだった。
冷却装置がなければ水は沸騰し、炉内の圧力が高まる。
沸騰した水の量が増えれば、燃料棒は溶け出し、空気に触れて反応する。
そして、放射性物質を放出し、爆発を引き起こす危険がある水素ガスができる。
午後11時頃、最初の発電用トラックが到着した。東京の首相官邸では歓声が上がった。
だが、喜ぶのはまだ早かった。
発電所の損傷したメインスイッチに、発電機をつなぐことができなかったのだ。
ケーブルの一部が短すぎて、発電所の別の部分まで届かなかった。
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真夜中には、1号機の格納容器内の圧力が、設計時に想定された最大レベルをすでに50%超えていた。
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菅首相と海江田万里経済産業相は、午前1時半頃、公式に蒸気放出を認めた。
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午前6時50分、海江田経済産業相は蒸気放出を命じた。
だが、実行はされなかった。
東電が今週公表したところによると、3月12日朝のこの時点では、1号機の核燃料はすでに溶け落ち、容器の底に積み重なっていたと思われるという。
政府関係者らはいま明かす。
東電で蒸気放出を決定するのに長い時間がかかったのは、放射性物質を放出すれば事故の重大さが急激に高まると考えられたからだと。
東電はなお、蒸気放出をせずに事故を収束させたいと考えていた。
なぜなら、大気中に放射性物質を放出すれば、福島の事故は世界最悪のものとなり、チェルノブイリと並んでしまうためだ。
これに続く記者会見と国会証言で、東京電力の清水社長は、時間がかかったのは周辺住民の避難への懸念と技術的な問題のためだと述べた。
この件に関して、清水社長からはコメントは得られなかった。
3月12日の朝が近づくと、東電の役員を自らせっくために、菅首相は福島第1原発に飛んだ。
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菅首相は、このミーティングの後すぐに福島第1原発を離れた。
午前8時18分、発電所の技術者が最初に菅首相らに、1号機から蒸気を排出したいと伝えてから7時間後、東電は 首相官邸にあと1時間ほどでバルブを開けると伝えた。
■ WSJの5/27 「小沢一郎氏インタビュー」から原発関係の抜粋
Q:東日本大震災と福島第1原発事故以降の政府の対応について、全般的にどう評価しているか。
A:もう2カ月以上、70日になる。原子炉がコントロールできない状況に置かれている。
私は客観的な見方をする学者の先生から、この状況は燃料の熔融や炉が破損して、非常に危険な状況だということを聞いていた。
非常に心配していたら、今になって、仕様がなくなってポツポツ認めている。
対応が遅く、放射能汚染に対する認識が甘い、というより、まったくないといってもいいくらいの菅内閣の対応だ。
一般自然災害への対応も、私の県も被災県の1つだが、単なる旧来の取り組みと同じだ。
役所の積み上げと、査定に任せきりで、民主党が目指した国民主導・政治主導という政治の在り方とは程遠い実態になっている。
私もそうだが、ほとんどの人たちが、不安と不満を募らせているというのが現状だ。
やはりその最大の原因は、民主党が掲げてきた、政治家が自ら決断して政策を実行するということが行われていないためだ。
決断とは、イコール責任だ。責任を取るのが嫌だとなると、誰も決断しなくなる。
Q:原発事故で事態をここまで悪くしないようにするために、政府がすべきであった決定や政策はどんなものがあったか。
A:こういう状況になると、東京電力の責任に転嫁したって意味がない。
東京電力が悪い、あいつが悪い、こいつが悪いということを言っている。
どうでもいいことならそれでいいが、原発の放射能汚染の問題は、ここまで来ると、東電に責任を転嫁しても意味がない。
政府が先頭に立って、政府が対応の主体とならねばいかんというのが、私の議論だ。
東電はもう、現実何もできないだろう。
だから、日一日と悲劇に向かっている。
Q:菅首相は統合本部を数日後に設立し、東電に踏み込んだ。あれは十分ではなかったのか。
A:十分も何も、パフォーマンスはどうだっていい。そういうことを気にすべきではない。
事態は分かっているのだ。
何が起きているかってことは、ほぼ。東電が分かっているのだ。
東電が分かっていることは、政府も分かっているのに決まっている。
だから、私が言ったように、他人に責任をなすりつける話ではない。
政府が主体となって対応策を、どんな対応策かは専門家を集めなければ分からない。
それは衆智を集めて、こうだと決まったら政府が責任を取るからやってくれと、そういうのが政治主導だ。
それがまったくみられないから、国民はいらいらして不満を募らせ、民主党はだめだとなっている。
Q:小沢氏が指揮を執っていれば、最初の段階でメルトダウンが起きて危ないということは国民に大きな声で言っていたか。
A:言うだろう。隠していたらどうしようもない。それを前提にして、対応策を考えねばならない。
当面は福島の人だが、福島だけではない、このままでは。汚染はどんどん広がるだろう。
だから、不安・不満がどんどん高まってきている。
もうそこには住めないのだから。ちょっと行って帰ってくる分には大丈夫だが。
日本の領土はあの分減ってしまった。
あれは黙っていたら、どんどん広がる。
東京もアウトになる。
ウラン燃料が膨大な量あるのだ。チェルノブイリどころではない。あれの何百倍ものウランがあるのだ。
みんなノホホンとしているが、大変な事態なのだ。
それは、政府が本当のことを言わないから、皆大丈夫だと思っているのだ。私はそう思っている。
Q:なぜ、このタイミングで出てきたのか。
A:隠しようがなくなったからだろう。知らないが。政府に聞いてみるべきだ。
Q:菅首相はアドバイザーを集めて意見を聞いている。聞き方がまずいのか。
A:何を聞いているのだか知らない。集めただけではしようがない。
結論を出して何かやらないと。
だいたい、原発で食っている連中をいくら集めてもだめだ。
皆、原発のマフィアだから。
あなた方もテレビを見ていただろう。委員だの何だの学者が出てきて、ずっと今まで、大したことありません、健康には何も被害はありません、とかそんなことばかり言っていた。
原子力で食っている人々だから、いくら言ったってだめなんだ。
日本人もマスコミもそれが分からないのだ。
日本のマスコミはどうしようもない。
Q:いろいろ聞いてやってみて、だめだったら辞めてもらうということだが、どこまでいったら辞めてもらうのか。どの辺が判断の基準になるのか。
A:どこまでということはない、何もしていないのだから。
このまま、ダラダラしていたら、本当に悲劇になってしまう。海も使えなくなる。
Q:原子力エネルギーをどう考えるか。
A:しょせん、過渡的エネルギーとしてはある程度、大口電力供給のためにも仕方がない。
だが、高レベルの廃棄物を処理できないからいずれ、新しいエネルギーを見出さなければいけない。そのように私は言ってきた。
まさに今、こういう自然災害のなかで、原発の事故まで起きて、これを食い止めると同時に、長期的なエネルギー政策をしっかりと考える必要がある。
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