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ソースコードの段階で「ウィルス」扱いも!? 参院審議で改めて明らかになったコンピューター監視法の危険性(PJNews)2011年06月13日 12:37 JST
【PJニュース 2011年6月13日】● 多くの議員がメールなどを通じて、多くの懸念を認識 匿名掲示板のコメントにも言及
5月31日、衆議院を「スピード可決」した、「コンピューター監視法案」とも称される一連の刑法改正案だが、現在でも参議院での審議は続いている。多くの懸念や批判の声が噴出する事態となっており、その事に関しては、審議にあたっている与野党の議員も認識しているようだ。
6月9日に行われた参議院の法務委員会では、多くの議員が、電子メールで多くの懸念が寄せられていることを認識し、審議の中でも言及した。つまり、直接の意見送付などを通じて示された批判や懸念を、審議にあたっている議員たちはしっかりと知っているということになる。
●各党の議員から懸念噴出も、法案策定サイドの「火消し」的構図には変化なし
そのためか、9日の委員会でも、内閣と同じ党派である民主党の議員を含む各党の議員から、様々な形で答弁の確認や懸念が示された。
しかし、閣議決定した内閣の一員である江田法務大臣は、全体として「大丈夫だ」と言わば「火消し」のような答弁に終始したような印象があり、不安が明確な形で払拭されたとは言いがたい。
実際、衆議院での審議においても、法務大臣が「早く成立させるべき」と言いつつ「大丈夫だ」と言ってきたにも関わらず、各党の議員から、これだけ多くの懸念が出されていることからも、実際的な懸案事項が解消されていない現実がうかがえるのだが、9日の答弁においても、根本的な懸案解消には至らなかった。
これは、ある意味においては止むを得ないことではある。そもそも、議員が懸念を示すのは、法律の「プログラム」である法案の条文自体に問題があるからであって、条文が修正されなければ、どれだけ「大丈夫だ」と言われても、「だったら安心だ」ということにはならない。
また、条文を修正しない限りは示された懸念点に対しても「大丈夫だ」と、推進者側はごり押す以外にはないということになり、議論で懸案を解消することができなくなってしまう。もちろん、議会でどんなにごり押しして強行的に成立させたとしても、実際の問題点が解決されることはない。
●「ソフト」ではなく「ソースコード」の段階で「ウィルス作成」認定
さて、今回の法案のように、「ウィルス」を作成した段階で法的処罰の対象になるとなれば、一体どこまでを「ウィルス」と認識するのか、また、プログラムを作り始めて、どのあたりで「ウィルス」認定をするのかという部分は、非常に重要な点となる。
こうした部分についても、9日の審議では問われることとなったが、議員からの質問に対し、回答した法務省の担当者はソフトになった段階のみならず、「ウィルス」機能を持つ、「ソースコードが作成された段階」で、処罰の対象になると回答した。つまり、製品化されたものだけではなく、原始的なプログラムが羅列された時点で、条件に適合すれば「処罰の対象」となるというわけだ。
これは、ソフトを開発する事業者や個人、プログラムの勉強をしている人にとって、非常に深刻な「有罪判定」ともなり得る。
複雑なプログラムを組み合わせてソフトを構築するのは一筋縄ではいくことではなく、大抵の場合、何度もソースを書き直して完成に近付けていかねばならない。そんな中で「ソースを書いた」段階で有罪にされかねない、捜索をされたら有罪になり得るような規定が生まれたら、大多数のソフト作成者、ソフト制作企業は、一時的にであれ「犯罪者」になるリスクを負わなければならなくなるかも知れない。開発者が危険を避けた結果、業界、あるいはIT社会全体に萎縮が起きてしまう危険性は非常に大きいと言えるだろう。
また、今回の法案は、単に「作成」だけを罰するのではなく、「取得」や「保管(所持)」を罰する規定も存在している。つまり、ソースコードが存在した段階で有罪となると、「目的」があるかどうかという縛りは講じてあるとはいえ、問題点があるソフトやプログラムをDL、あるいは所持している段階で、有罪要件の半ばは達成されてしまうとも考えられ、この点も非常に大きな懸念点と考えることができる。
●「反社会的」な内容と判断されれば、ホップアッププログラムも処罰対象に?
また、「どんな」ソフトがウィルス扱いにされるかの部分だが、あるサイトにアクセス等した場合、企業広告やサイトとは関係のないイラストなどが自動的に表示される、いわゆる、「ホップアップ」と呼ばれるプログラムについてはどうなのかという議論がなされた。その中で、「一般的なホップアップはウィルス扱いしない」としながらも、「反社会的な」ホップアップについては「個々に判断」するとして、ホップアップが違法化され得るという内容の答弁が示されることになった。
今見ているサイトとは違う広告などの内容が自動的に表示されるホップアップは、今や非常にメジャーな広告手段の一つであり、普遍的な機能の一つでもある。そうしたものに対し、「反社会的」というような但し書きがあるとは言え、「ウィルス」の定義に加えられかねないという答弁がなされたことに関しては、広告活動、ひいては企業の経済活動全体を萎縮の懸念を拭うことはできない。
少なくとも、今まで当たり前のように行われてきた広告形態が、状況によってはアウトになる、という規制法の策定は、現在それを行っているかどうかに関わらず、企業にとっては「見えない圧力」となって機能してしまう危険性が考えられる。
●公布から施行の短さについても指摘 課題は山積の状況
審議の中では、法案の成立、公布から施行までの期間が非常に短いこと(二十日)も指摘されたが、この点についても江田法務大臣は説得力のある回答を行ったとは言い難かった。どれだけの予算と期間があっても、国民、市民全体に周知させるのがいかに難しいかという部分については、いわゆる「地デジ化」問題の際にも明らかにされた問題だが、今回の法案は、「地デジ」問題とは比較にならないほど周知期間は短い。
成立から一月もないという短期間では、満足な周知を行うだけの手立てを講ずることは現実的にはほぼ不可能と言って良く、しかも今回の法案は、IT関係業界だけではなく、プログラムの取得や保管、「わいせつ物」改定、令状なしの「保全要請」等々、国民・在留市民全体への何らかの影響があるものだ。
今になって新たな懸念点が見えてきていることなどを考えても、二十日という短い公布期間では、極めて大勢の人が法に対応できないだろうことは必至で、結果として法的処罰を受けるなどの不利益を被るケースも出てくるだろうと考えられる。
そもそも、立ち位置もバラバラの各党の議員から、内閣と同じ党の議員にまで、大量の問題点を指摘され、国民・市民からの多くの批判が認識されているにも関わらず、修正もなされずに可決されようとしている現状は明らかにまずいものがある。
「自分の党からも多くの疑問や懸念が出ています。国民からも色々な方面から批判されています。でも原案をねじ込みます」では、予め想定されていた様々な不具合を避けることも困難であり、「バグがあることを認識して出荷された」ソフトと同じような酷い結果を招くことにもなりかねない。
閣議決定されたからと言って、強行してねじ込むのは、とても合理的な法制定の形とは思えない。これだけ審議にあたる各党の議員からダメを出されたのだから、取りあえず一度法案は廃案として、問題点を修正するなり、法案の必要性そのものを再考するなり、冷静で慎重な判断が求められるのではないだろうか。【了】
http://www.pjnews.net/news/909/20110612_6
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