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近聞遠見:新首相は「民主以外」から=岩見隆夫
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毎日新聞 2011年6月11日 東京朝刊
批判する、というのはそう心地いいものではない。当コラムは、いいことはいいと書く、を基本としてきた。
菅直人首相の誕生から1年、この間、コラムは48回に及んだ。改めて読み返してみると、3割の15回が菅首相への批判で占められていることに驚かされる。
スタートは89年9月で、海部俊樹から菅まで14人の歴代首相を俎上(そじょう)にあげてきたが、首相批判の回数がこんなに多いのは初めてだった。政治はきわどい橋を渡りつつあるような気がする。
菅首相の退陣時期が関心のマトだが、<夏まで>を前提に政界が激しく動き出した。民主党の次期代表の選出と、そのあとの仕組みづくりである。
後者の方がより重要だ。菅への不信が強く、菅のもとでは党派を超えた救国・挙国の態勢ができないから、というのが<菅降ろし>の大義だった。3・11大震災の本格的な復旧・復興に向け、早急に仕組みを整えなければならない。
ここで心すべきは、各政党と所属議員が、非常事態を乗り越えるために虚心になることではないか。党利優先主義では何もまとまらない。
民主、自民両党の幹事長による大連立論が先行し、それに対する異論もでて、議論が定まらないのが現状だが、いずれ結論がでるだろう。期間限定の大連立政権がわかりやすく効率的と思われるが、さて、どうなるか。
かりに大連立構想を実現しようとする場合、成否のカギは新首相をだれが務めるかだ。民主党の岡田克也幹事長は、
「首相は第1党からが基本だ」
と言い、前原誠司前外相は、
「硬直的に考えるべきでない。民主党以外からも選択肢の一つ」
と述べた。前原の考え方に賛成だ。
理由は二つ。複数党が連携する時、第1党が主導権を握ろうとすると、まとまるものもまとまりにくい。もう一つ、民主党は鳩山、菅両政権の約2年にわたる政治混乱を反省し、謙虚に控えめに、支える側に回ったほうがいい。
第1党が遠慮したことによる成功例がある。93年8月の細川護熙首相誕生だ。8党派が連立を組んだが、第1党は社会党、細川の日本新党は新生、公明両党に次いで第4党だった。当時、束ね役をした小沢一郎新生党代表幹事は、のちに、
「あの時は、みんな2番手の新生党の羽田孜さん(同党党首)が首相候補だと思っていた。社会党首班では他の党がまとまりっこないのは常識としてわかっていたからだ。だけど、ぼくは羽田さんでも全部の党がまとまるのは難しいと思った」
と述懐している。
また、94年6月、村山富市社会党委員長が自民・社会・さきがけ3党連立の首相に就いた時も、第1党の自民党が推したのだった。当時、河野洋平総裁は、首相選出前の同党両院議員総会で、
「耐えがたきを耐え、第1党としての責任を果たすために、第2党の村山さんを首相候補とすることを決断した。党の命運、総裁の責任をかけて決断した」
と述べている。
いま、第1党の民主党は似た立場に立たされた。違うのは、この2例とも政権奪取のための権力闘争だったのに対し、今回は大地震・大津波・原発事故に見舞われた国難との闘争だ。政争ではない。政争にしてはいけない。
永田町からは、夜ごと、リーダー批判、他党攻撃の声ばかり聞こえてくる。それもわからないではないが、非常事態下、議論のレベルアップをお願いしたい。(敬称略)=毎週土曜日掲載
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