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6月2日の民主党代議士会は、直前に菅首相と鳩山前首相が辞任を軸に協議し、その「確認事項」に基づく鳩山発言で流れが変わり、議員の多くが野党不信任案を否決した。
その後、鳩山は、同覚書が辞任に触れていないと言う岡田を嘘つき、一定のめどを年明けの冷温安定達成と語る菅をペテン師と呼び、現首相と前首相が前代未聞の醜態を繰り広げた。
マスコミも、不信任案の否決を受け、国民に菅首相の辞任を報道した。この辞任劇は、政治的な詐欺と言うしかない。そして、だました方は、「確認事項」を拠り所に、だまされた方に責任を転嫁している。
こうした事態は、鳩山を始め与野党やマスコミを含め、内外からの批判を招いた。4日、枝野官房長官は、辞任時期が早まるだろうと釈明し、菅政権は政治詐欺で、自壊を早めたのである。
だが多くの国民は、未曾有の国難に直面しているのに、政権争奪が続く政治の不毛を怒り嘆いている。そこには、原発収束と被災者救援を始め、日本が抱える課題に政治が機能していないことがある。
事故初動の誤り、絵に描いた餅の工程表、ホットスポットなど放射能汚染の拡大と放置。中でも、事故の加害責任を負う東電と政府が、これに対応する仕組みが、不問のまま是正されていない。
「確認事項」記載の▽民主党を壊さないこと、▽自民党政権に逆戻りさせないことは、政権交代後の政治の軌跡を問うものだ。また▽大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと、〈1〉復興基本法案の成立、〈2〉第2次補正予算の早期編成のめどをつけることは、国主導の従来型復旧体制である。
これを変える国の舵取りこそが、政治の役割ではないだろうか。その基軸は、トップダウンの集権体制から、ボトムアップの地域主権への変革だ。失われた20年、リーマンショック、閉塞した日本。被災地支援に、出来ることは何かを考え、立ち上がった日本人は、維新や敗戦に並ぶ歴史の転機を感じ始めている。
だがフクシマの事故で、ドイツのエネルギー政策転換は速かった。そこにはメルケル首相の舵取りと共に、設置された「倫理委員会」に、脱原発に賛否両方の専門家が呼ばれ、10時間の論議が行われて、国民の視聴者は150万人に及んだという。国民的な論議、国民参加の民主主義だ。
政治は、国の舵取り。政治主導は、国民主導と地域主権で、維新以来の集権体制の変革なしには実現できない。菅首相辞任後、原発震災の収束と被災者支援に限定し、時期を区切った超党派の挙国内閣を樹立できないだろうか。
その上で、脱原発を始め日本が抱える内外の課題に、国民的な論議を行い、総選挙で選択を問うべきではないだろうか。日本が歩む道筋の見えないことが、政治と国民を分断し、不信を生み出しているのである。
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