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2011年6月 5日 (日)
菅首相退陣偽装騒動・鳩山氏言動をどう評価するか
「天網恢恢疎にして漏らさず」
である。
ペテン師の菅直人氏も、ペテンが白日の下にさらされてしまった以上、これ以上、ペテンを持続することができなくなった。
結果から評価して、鳩山由紀夫前首相の努力が功を奏するということになる。
「功を奏した」ではなく、「功を奏する」としたのは、まだ、問題は着地してはいない。この世界、最後の最後まで見届けることが大切だ。
息の根を止める場合には、完全に息が途絶えたかを確認しないといけない。息が途絶えたと早とちりして、敵がゾンビのように蘇るということは決して少なくないのである。
震災と原発事故で国難に直面するなかで、菅首相に対する退陣圧力が一気に高まったのには、正当な理由があった。
繰り返しになるが、
@菅直人氏が原発事故情報を隠ぺいし、国民の生命と健康を守るための最大限の努力を注がなかったこと。
A震災および原発事故で国難に直面する国民を支援するには、本格的な総合経済対策が不可欠だが、菅直人氏が政策立案に背を向け、大増税を提案していたこと。
B今回の原発事故を「異常に巨大な天災地変」によるものと認定していないにも関わらず、原発事故の東電損害賠償負担を一般国民に転嫁するスキームを示したこと。
の三つが直近の問題であり、
C政治資金規正法違反容疑が明らかになったこと。
D2009年8月総選挙マニフェストが民主党と主権者国民との契約であるにもかかわらず、これを軽視し、踏みにじってきたこと。同時に、主権者国民が支持した民主党内小沢−鳩山ラインを攻撃し続けたこと。
E菅直人氏が菅内閣に対する信任投票であると位置づけた2010年7月参院選で大敗し、すでに国民によって不信任決議案を可決されていること。
の三つが震災以前の問題である。
菅直人政権を存続させることは、被災地の国民だけでなく、すべての日本国民にとって害悪であることが明白になったから、原発対応が一段落した時点で、菅直人首相退陣圧力が急激に噴出したのである。
内閣不信任決議案提出をめぐる動きから、菅直人氏の辞意表明、不信任決議案否決、菅直人氏の続投意向表明、鳩山前首相の憤りまでの経過について、多くの言論人が、さまざまな見解を示してきた。
とりわけ評価が分かれたのは、鳩山由紀夫前首相の行動についてだ。
一部には、鳩山氏が菅−仙谷サイドに立って行動し、小沢一郎氏が騙されたとの見解も登場した。
私は、一貫して、鳩山由紀夫氏の行動を評価する立場で推移を見守った。そもそも、鳩山由紀夫氏が不信任決議案に賛成の意向を表明していなければ、菅直人氏退陣の可能性は極めて低かった。ここで菅直人氏が延命すれば、少なくとも2012年秋の民主党代表任期満了、あるいは2013年秋の衆議院任期満了まで菅政権が持続する可能性さえ生じていた。
そうなれば、日本政治は完全に米国と霞が関の思うままに支配されることになっただろう。消費税大増税が強行実施され、沖縄は引き続き、米軍支配下に置かれ続けることになったはずだ。
鳩山前首相が熟慮の末、内閣不信任決議案に賛成の意向を示したからこそ、政局の急展開が生まれうる土壌が整ったのである。
しかし、大きな問題がひとつあった。それは、菅直人氏が狂気の解散総選挙に突き進む可能性が存在したことだ。被災地、そして被災者の立場を考えれば、あり得ない選択であるが、菅直人氏は民主党執行部に解散総選挙の可能性を強く示し、枝野幸男氏や安住淳氏などは解散総選挙を進言すると公言していた。
現局面で総選挙を行えば、民主党が大敗することは明白だ。結果的に自民党が議席数を激増させるはずだ。日本政治は、完全に2009年8月以前に戻ってしまう。政権交代を実現した意味が水泡に帰する。
ここは、解散をせず、首相を交代して、民主党がもう一度、2009年8月の政権交代出発時の原点に戻ることが何よりも重要なのである。
民主党内で主義主張の完全に異なる二つの勢力は、いずれ、袂を分かつ必要があるだろう。しかし、いまこのタイミングでの解散総選挙は、日本政治の時計の針を大きく逆戻りさせることになるのである。
そこで、鳩山由紀夫氏は、内閣不信任決議案によらない菅直人氏退陣の道筋をつける方策を模索したのである。菅直人氏の自発的辞任である。
そして、結果的には、その方向で事態が大きく動き出した。
しかし、だからと言って、日本政治が直ちに米・官・業の支配から抜け出せるというわけではない。主権者国民勢力と悪徳ペンタゴンとの死闘を乗り越えなければ、主権者国民による日本政治支配は確立しない。
菅直人氏が再び辞意を表明するまでの間、大きな紆余曲折があったのは事実である。その直接の原因は、鳩山前首相の菅−鳩合意にあいまいな部分を残す方式が用いられたことである。菅直人氏サイドでにとって、この曖昧さは意識の上のものであり、「謀略」の一部分を成したが、鳩山前首相サイドには、そのような意味は無かった。
「武士の情け」として、欧米流の厳格な契約書方式を取らなかっただけだ。
結果論ではあるが、この時点で、欧米流の厳格な契約書方式を用いていたとするなら、菅直人氏は取引に応じなかった可能性が高い。
内閣不信任決議案可決の道を進み、その上で、解散総選挙に踏み切った可能性が高い。
鳩山前首相はこの点を考えて、あえて、欧米流の厳格な契約書方式を選択しなかったのだと思われる。
小沢氏が激怒したとの一部報道があったが、事実は本人に確認しないと分からない。マスゴミの小沢氏報道は、まず疑う必要がある。菅−鳩会談が事前に連絡されていなかったことを小沢氏が不満に感じたことは十分考えられるが、鳩山氏が小沢氏を裏切ったと小沢氏が考えることはなかったと推察される。山崎行太郎氏が指摘するように、小沢氏や鳩山氏は基本的に「性善説」の人間なのだ。「正直村」の人間と言ってもよい。
ただ、代表選での経緯もあるだけに、「鳩山氏は詰めが甘い」との危惧を小沢氏が強く感じたことは想像に難くない。
しかし、天網恢恢疎にして漏らさず
である。菅−鳩会談に平野氏と岡田氏を同席させたことが幸いした。岡田氏は菅氏と共謀してうそをついたから、これで岡田氏の政治生命は終わった。岡田氏は絶対に総理大臣にはなれない、と私は思う。
「確認書」の文案作成にあたったのも、平野氏と北澤氏の二名だ。関係者がこれだけの多数になれば、うそをつき通すことはできない。
天・地・汝・我の四者が真実を知ることを「四知」と呼び、これだけでも、うそは覆い隠せないというのに、今回の事例では、「六知」や「七知」なのだ。
菅首相退陣論は必ず加速する。6月2日、菅直人氏が民主党代議士会で辞意表明をした直後、衆議院本会議での採決前に掲載した本ブログ記事
「辞意表明菅直人氏の即時退陣が日本復興の第一歩」
で指摘した通りだ。
菅首相退陣は絶対に6月中にするべきだ。
「確認書」では、
A第二次補正予算編成のメドが立った時点
とされたが、この第二次補正予算の審議、成立、執行を担うのは新政権になる。そうであるなら、新政権が責任を持って第二次補正予算を編成するべきだからだ。辞める首相が第二次補正予算を編成することは邪道である。正道に戻るべきだ。
これから、日本政治はまさに正念場に差し掛かる。
@誰を次期首相にするか。
A第二次補正予算編成の基本哲学をどこに置くか。
BAと関連するが消費税大増税構想をどう取り扱うか。
国の命運を分ける大選択である。
第二次補正予算の編成は迅速でなければならないが、次期首相を選び、新体制の下で第二次補正予算、消費税問題の取り扱いを決定するべきである。したがって、菅直人氏は速やかに辞任するべきである。
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