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首相退陣時期 政治不信の根源を早期に断て(6月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110603-OYT1T01088.htm
2011年6月4日01時19分 読売新聞
お粗末としか言いようのない政治の姿である。これでは国民の不信感が深まるばかりだ。
菅首相が内閣不信任決議案の採決前に退陣の意向を表明しながら、否決された後は、なお長期間、政権を維持する意欲を示している。
菅首相に退陣を求めて直談判した鳩山前首相は、約束が違うと猛反発し、首相を「ペテン師まがい」と、非難した。
およそ一国の首相と前首相の言動とは思えない。
そもそも鳩山氏が首相とかわした確認文書に退陣時期は明示されず、「第2次補正予算の早期編成のめどをつけること」とあるだけだ。玉虫色の合意だった。
それ以上に、菅首相の不誠実な態度が問題である。
3日の参院予算委員会では、退陣時期に関する質問に対し、首相は退陣さえ否定するような答弁に終始した。鳩山氏との会談でも、退陣については、「約束には全くなっていない」と語った。
これでは、首相の「退陣表明」が不信任を切り抜け、自らの延命を図るための方便と受け止められても仕方あるまい。
首相は、不信任案に反対するよう民主党議員に要請した際、「党を壊さないこと」も理由に挙げた。だが、自らの進退に関する発言すらあいまいにしたことが、党内対立を再燃させる結果となった。
野党側も、態度を硬化させている。谷垣自民党総裁は、復興基本法案の成立には協力するとした上で、「死に体政権に、それ以上の協力は出来ない」と言明した。
依然として、菅首相の存在が、与野党の連携を妨げている。首相が辞任時期を明確にしないまま政権に居座ることになれば、国政は停滞し、国益を損なうだろう。
今月中にも想定されている復興基本法案の成立が、退陣する潮時ではないか。
日本が直面する課題は震災対策以外にも社会保障、外交・安保など山積している。不確かな「一定のめど」を掲げるだけで、スピード感を欠き、無責任な菅首相に政権を委ねるわけにいかない。
経済界も事態を憂慮する。日本経団連の米倉弘昌会長は、復興に取り組むには与野党結束しての大連立しかないと述べている。
政治体制を根本から立て直さなければ、日本を覆う閉塞感を打破し、国民の政治不信を解消することはできない。
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