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2011年6月3日(金)10:00
(フィナンシャル・タイムズ 2011年6月2日初出 翻訳gooニュース)
菅直人が日本の総理大臣となった時、強くて決断力のあるリーダーシップを約束した。最近の出来事を見ていると、首相が自らの理想にいかに程遠いところにいるかは明らかだ。
2日に行われた内閣不信任決議案の採決で菅氏が勝利したことで、日本にぜひとも必要な政治的安定がしばらく訪れるかもしれないという期待は、露と消えたようだ。同僚議員たちの支持を取り付けようとして(中には首相を追い出そうとする議員たちもいた)、首相はいつになるか定かでない未来のとある時点で職を去るだろうという意向を示した。この表明は党内の亀裂を癒すどころか悪化させただけで、菅氏はレームダック(訳注・実質的な力のない指導者)のようなものになってしまった。
菅氏が首相として続けられるか、あるいは続けるべきかという問いは無意味だ。今の日本が直面する多くの深刻な課題に取り組むため、弱体化した今の菅氏が、野党はおろか自分の党内の反対勢力にどうやったら手を差し伸べられるのかなど、実に考えにくい。
2009年に政権をとって以来、民主党はずっと諍いと内輪もめに引っ掻きまわされてきた。その内輪もめに終わりはないようだと、悲しいほどはっきりした。津波と原発事故を受けて必要とされる復興や救援努力に自分たちの政治的エネルギーを集中させるどころか、日本の政治家たちは今後もさらに自分のことしか考えない闘争を繰り広げるつもりらしい。
責任の一端は民主党にあると言わざるを得ない。自民党が半世紀以上も権力の座にいられたのは官僚制度のおかげだが、これを取り除いて日本の政治をより良いものにするチャンスを、民主党は権力を掌握してからというもの、みすみす無駄にしてきた。民主党が公約した責任の明確な政治制度づくりも、ほとんど進歩がない。代わりに民主党は、自民党を蝕み続けた派閥主義のようものに陥ってしまった。菅氏は昨年も代表の座への挑戦を受けたし、前任者の鳩山由紀夫氏は数カ月しかもたなかった。改革は後回しにされてしまっている。
しかし国民への責務を果たしていないのは、民主党だけではない。政界全体も責めを負わなくてはならない。2万4000人もの人が亡くなるか行方不明となった3月11日の悲劇を機に、議員たちは新たに一致団結し、志を新たにするかと期待されていた。そしてそれによって、20年の長きにわたる日本の沈滞が終わるかと。自分のことは後回しにした国民の献身的でストイックな反応は、本当に感動的だった。
悲しいことに国民のこの心意気は、国会の石の壁の内側には届かなかったようだ。国会内では今でも政治家たちが、みせかけの地位や役職をめぐって果てしないケンカや足の引っ張り合いを続けている。これが変わらない限り、日本の政治的膠着にはいつまでたっても終わりが見えない。
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(翻訳・加藤祐子)
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