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不信任案否決!あと出し「一定のめど」と「通年国会」で年内続投を図った菅首相の“お見事”な戦略
2011年6月3日 ダイヤモンドオンライン 週刊上杉 隆
http://diamond.jp/articles/-/12553
内閣不信任案が否決された。一国会一度しか提出できない不信任案が否決されたことで、菅首相の当面の続投が決まった。
だが、きのう(2日)の午前中までは、永田町はまったく違う情勢下にあった。与党・民主党内からですら、内閣不信任案に賛成する声も聞かれたのだ。
2日朝までには、小沢グループを中心とした70名を超える議員が、不信任案に同調する意向を示していた。確かに成立は微妙だったかもしれない。だが、それは、菅政権に打撃を与えるには十分な数であった。朝日新聞もこう書いている。
〈自民、公明両党が一両日中にも衆院に提出する方針の菅政権への内閣不信任決議案に対し、民主党の小沢一郎元代表に近い50人超の衆院議員が賛成する意向を固めた。朝日新聞の取材でわかった。小沢氏系議員らは中間派議員にも同調を求める一方、党執行部は締め付けを強めている。菅直人首相も31日夜、鳩山由紀夫前首相と約2時間会談し、不信任案否決に理解を求めた〉
http://www.asahi.com/politics/update/0601/TKY201105310753.html
衆院本会議直前。
流れを変えた“あの人”
ところが、本会議直前の代議士会で流れが変わる。不信任案可決が濃厚になりはじめた昼前、ある人物の力によって一瞬にして空気が変わった。鳩山由紀夫前首相である。
前夜にも首相と会った鳩山前首相は、2日午前にも菅首相と会談する。そこで運命の「覚書」を交わしたのだった。
1、民主党を壊さないこと
2、自民党政権に逆戻りさせないこと
3、大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと
〈1〉復興基本法案の成立
〈2〉第2次補正予算の早期編成のめどをつけること
これを受けて、菅首相は代議士会で一定のめどがついた段階での退陣を表明し、党内の不信任決議案への賛成の声を消滅させたのだった。
「意味がわからないんだけど」
代議士会の最中、国会の廊下ですれ違った鳩山側近議員の一人は明らかに狼狽していた。さらに別の議員もこう嘆いた。
「ハシゴを外された。意味がわからない。どうしてあの人(鳩山氏)はいつもこうなんだ。もう絶対に信用できない」
さらに小沢側近議員のひとりも筆者に電話してきて、こう語気を強めた。
「終わりだ。完全な不信任案つぶしだろ。こんな簡単な戦略にひっかかるなんて。覚書だと。なんであの家は同じ過ちを繰り返すんだ。信じられない」
この議員の言うとおり、確かに鳩山家には前科がある。
歴史は繰り返す!?
鳩山家と覚書の“因縁”
鳩山前首相の祖父、鳩山一郎首相はGHQから公職追放された際、盟友の外交官である吉田茂氏に首相の座を禅譲した。その際、二人の間にはひとつの「約束」が交わされていた。
鳩山一郎首相が残した覚書によれば、「政界パージが解けたら、すぐに鳩山に政権を譲り渡す」とある。
だが、吉田氏はそれを否定、首相の座から降りることを拒み続けた。最終的には鳩山首相は誕生するが、権力闘争の厳しさから浮遊したような鳩山首相は、結果、自らの政治生命を縮めることになった。
話を戻そう。菅首相は2日午後10時過ぎから開かれた記者会見で、繰り返し、早期の辞任を否定した。ニコニコ動画の七尾功記者の一定の目処についての質問についてはこう答えている。
「一定のめど」は
いつなのか
「まず、工程表で言いますと、ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが私はこの原子力事故のまさに一定のめどだとこのように思っております。ただ、期間の問題は必ずしもその時点ですべてが方向性が決まるかどうか、これはいろいろとモニタリングをしたり、 あるいは除染をしたりということも含めてですね、もう少し時間がかかる可能性は十分あると思っています」
ステップ2完了までは6ヵ月から9ヵ月かかるとされている。だが、東京電力による作業はまったく進んでいない。むしろ、日々、状況は悪化している。
すなわち、原子炉の冷温措置が完了するまで菅首相は辞めないということである。4つの原子炉を冷温できる時期は神のみしか知らない。つまり、事実上、辞めないということになる。
「今回のこの大震災という状況の中で、国民の皆さんからやはり国会で必要なことは、いつでも議論できるようにしてほしいと。そういうご意見をいただいています。それに答えるとすれば、事実上の通年国会。12月のある時期までということになろうかと思います」
さらに菅首相は年末までの国会の延長を明言した。冒頭触れたように不信任案は一国会一度しか提出できない。となると、今年、菅首相を辞めさせる術はなくなったということになる。
まったくもって見事な戦略である。スピンコントロールとしては完璧だ。
できたら、菅首相は、こうした素晴らしい戦略を、復興や原発事故対策に使ってほしいものだ。
いずれにしろ、菅政権は当分の間、続くことになった。
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