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恫喝? それとも瓢箪から駒? 不信任案をきっかけに「解散風」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110529/plc11052900320000-n1.htm
2011.5.29 00:30 産経新聞
内閣不信任決議案の可決が現実味を帯びる中、与野党で衆院解散・総選挙の可能性がささやかれ始めている。閣僚や民主党執行部はしきりと「解散風」を吹かせ、菅直人首相も28日、ベルギー・ブリュッセルでの同行記者団との懇談で可能性を否定しなかった。今のところ、不信任案採決での民主党議員の造反を封じるためのブラフとの見方が大勢だが、「瓢箪(ひょうたん)から駒」という事態も否定できない。
「被災地での衆院選実施は可能か」
最近、総務省には首相サイドからこんな問い合わせがあったという。
不信任案が可決した場合、憲法69条の規定で内閣総辞職か衆院解散となる。過去4回の可決例では、当時の首相はいずれも解散を選択している。
ただ、東日本大震災から間もない今回は、「首相は総辞職を選択する」との常識論が広まっていた。その常識を否定したのが枝野幸男官房長官だ。27日の記者会見で枝野氏は、震災時における首相の解散権の制約について「まったく影響しない」と断言した。
“常識外れ”の解散風。そのココロは、不信任案賛成や採決欠席を検討する議員に「選挙」という恐怖心を植え付けるためとみられる。党執行部も、不信任案に賛成なら除籍(除名)、欠席でも党員資格停止という処分をちらつかせて造反予備軍に圧力をかける。
不信任案の可決には、民主党から81人の造反が必要だ。小沢氏の側近議員による同調者の署名はすでに50人を超えたが、なお約30人足りない。鍵を握るのは支持基盤、政治資金ともに脆(ぜい)弱(じゃく)な1、2回生議員の動向。彼らにとって、党から処分を受けて選挙に突入するのは相当の覚悟が求められるからこその恫喝(どうかつ)だ。
岡田克也幹事長は28日、青森県弘前市で記者団に「党が一つにまとまって不信任案を全員で否決することは当然のことだ」と強調。首相に近い閣僚経験者も「不信任可決で解散なら小沢系の多くが永田町から消えるぞ」と牽制(けんせい)する。
しかし民主党ベテラン議員はこう漏らす。「平成17年の郵政解散の時も、まさか本当にそうなるとは思っていなかったが…」。
一方、自民、公明両党にとり選挙は望むところだ。
「今やれば100〜150議席増で民主党から第1党の座を奪うことは間違いない。破れかぶれ解散でも何でもやってくれていい」
自民党幹部の一人はこううそぶく。党で定期的に行っている独自調査でも同様の傾向が出たとされ、同党は震災後に一時停止していた衆院選候補予定者の公認作業を再開した。
公明党の山口那津男代表は28日、「来週はヤマ場だ」と、不信任案早期提出の構えを鮮明にした。同党は前回衆院選で小選挙区の元職全員が落選しただけに、別の幹部は「今、解散なら全員が帰って来られる。願ったりかなったりだ」と歓迎した。
不信任案をめぐる解散風は、造反に対する牽制球に終わるか、嵐への序曲となるのか。(加納宏幸、佐々木美恵)
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