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エネルギーの神話と現実  孫正義氏の「穴のあいたエネルギー計画」  さらに貧しくなる未来
http://www.asyura2.com/11/senkyo113/msg/787.html
投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 28 日 19:42:19: 6WQSToHgoAVCQ
 

夢をもつことは悪いことではないが、
現実を無視した無責任な政策を短期的な人気取りのために採用すると
後世の人々が、大変な苦労することは間違いない

http://ikedanobuo.livedoor.biz/
2011年05月26日 21:50 
エネルギーの神話と現実
Energy Myths and Realities: Bringing Science to the Energy Policy Debate菅首相がG8で「再生可能エネルギーを2020年代に20%以上にする」と国際公約するそうだ。公約した当人が2020年どころか来年までいるかどうかわからないので、かつての「鳩山イニシアティブ」のような空手形だが、このように「ソフトエネルギー」に大きな期待がかけられるのは、今に始まったことではない。

本書もいうように、こうしたブームの最初の火付け役は、Amory Lovinsの1976年の論文"Energy Strategy: The Road Not Taken?"である。このあと彼の書いた『ソフト・エネルギー・パス』が世界的ベストセラーになり、彼が来日したとき、インタビューしたことがある。そのとき彼は「20世紀中にアメリカのエネルギーの1/3はソフトエネルギーになる」と予言した。

いまアメリカで(水力を除く)再生可能エネルギーのシェアは4%。この90%は廃材などの燃焼による「旧世代」の再生可能エネルギーなので、ソフトエネルギー(太陽光と風力)は0.5%である。アメリカではこの種の運動も消滅したが、欧州ではいまだにソフトエネルギーに補助金をばらまいている。おかげで欧州の電気料金は、アメリカの2倍だ。

ではアメリカの電気料金が安いのは原発のせいかというと、そうではない。アメリカではスリーマイル島事故から30年以上、原発は1基もできていない。その原因はNRC(原子力規制委員会)の審査が何年もかかることばかりではなく、電力の自由化が進んだことだ。多くの州で発電と送電が分離されたため、全米には約3000の電力会社がある。株主の圧力を受ける経営者にとっては、投資の回収に30年もかかる原発は魅力がないのだ。アメリカの電気料金が安くなったのは、石炭火力にシフトしたためである。

エネルギー産業の歴史は、こうした見込み違いの連続だった。その原因は、エネルギー問題が政治的な要因を強くもっているからだ。原子力は1940年に実験で証明されてから最初の商用原発ができるまで、25年という短期間で実用化した。それは軍事技術として莫大な予算が投じられたからだ。他方、再生可能エネルギー推進派も反核運動から転じた左翼が多く、論争は経済問題ではなくイデオロギー対立になってしまう。

著者の結論は「一種類のエネルギーがすべての解決になるという話は信じるな」ということだ。原子力がかつて考えられていたような「夢のエネルギー」でないことは明らかだが、同じ意味で「再生可能エネルギー100%」などというのもナンセンスだ。エネルギーには地政学的なリスクが大きく、ムーアの法則のような技術進歩で問題が解決することも期待できないので、多様なエネルギーのオプションをもつべきだというのが著者の助言である。


2011年05月24日 14:17
孫正義氏の「穴のあいたエネルギー計画」

きのう参議院行政監視委員会で、孫正義氏のプレゼンテーションが行なわれた。他の参考人のように原子力の専門家でも地震の専門家でもない彼が国会で意見を述べるのは奇妙だが、その内容には去年の「光の道」と同じく論理的な穴がある。

去年、私は孫氏とUstreamで議論した。彼は「アクセス回線会社」をつくって銅線をすべて強制的に光ファイバーに取り替えれば通信料金が下がると主張した。私は「その会社の株主は誰で、経営者は誰なのか。あなたの計算が間違っていたら、誰が赤字を補填するのか」と質問したが、彼はその質問に答えないまま延々と自説を展開した。その結果、総務省のタスクフォースでもソフトバンク案に賛成する委員は一人もいなかった。疑問に答えないで都合のいい数字だけ並べても(追っかけはともかく)専門家は説得できないのだ。

今回の彼のプレゼンテーションにも、大きな穴がある。それは彼のいう「自然エネルギー」のコストが火力や原子力より高いということだ。それを補填するための固定価格買取制度(FIT)を20年続けろと主張する一方で、彼が「脱原発によって電気代が下がる」というのは矛盾している。再生可能エネルギーのコストが他より安くなるのなら、なぜ補助金が必要なのか。かつてのインターネットのように、インフラを開放して自由に競争させれば安いエネルギーが勝つだろう。

sb1さすがに孫氏もこれは気になっているらしく、右のような図を示している。しかしこれは化石燃料の価格が以前より上がっていることを示しているだけで、それが再生可能エネルギーより高い証拠にはならない。絶対水準で同じ図にプロットしたら、太陽光のコストは石炭の10倍以上だから、この記事のタイトルぐらいの位置になるだろう。河野太郎氏も認めたように、脱原発によってエネルギー価格が上がることは避けられないのだ。

その差は何で埋めるのだろうか。あなたの払う電気代である。FITの買い取り価格(42円/kWh)と電気代(15円/kWh)の逆鞘は電力会社の赤字になるので、これは太陽光サーチャージなどとして利用者に転嫁することが認められている。もし今の単価で100%再生可能エネルギーにしたら、平均8000円/月の電気代は2万円以上になるだろう。値上げを避けるために政府が補助すると、スペインのように財政赤字がふくらむだけだ。

「自然エネルギーにしたら電気代が安くなる」などというのは、ありもしない「絶対安全」を宣伝した電力会社と同じデマゴギーである。安全性と経済性はトレードオフになっており、そのフロンティアのどこを選択するかが国民の選択なのだ。それをごまかして、論理的な穴のある政策をいくら派手に宣伝しても、去年の「光の道」と同じく政策担当者を説得することはできない。


2011年05月23日 00:00  
古典で読み解く現代経済
古典で読み解く現代経済 (PHPビジネス新書)アダム・スミスからフリードマンまで6人の経済学者のテキストで日本経済の問題を考える拙著が、PHPビジネス新書の5周年記念企画として、今週発売される。アゴラブックスからも同時に、電子書籍として発売する。例によってまえがきの一部を引用しておこう:

2011年3月11日に起こった大震災は、日本に大きな衝撃を与えました。ゆるやかに衰退の道をたどっていた日本の問題が、ここにきて一挙に表面化した感があります。意思決定のできない政治システム、硬直化した官僚機構、効率の悪い企業経営などの欠陥が、経済の急速な落ち込みをもたらしています。復興需要で一時的にGDP(国内総生産)は増えるかもしれないが、国富は20兆円以上失われ、電力不足はあと数年は続くと予想されています。

しかし日本経済が3・11以降に直面する問題は、本質的には新しいものではありません。かつて日本が力強く成長していた時期には、あり余る生産能力に対して不足する需要を追加することが重要でしたが、これから日本が直面するのは、減少する労働人口、増加する老齢人口、そして激化する新興国との競争などの供給制約です。そこにエネルギー問題が加わり、生産能力の効率化が必要です。

率直にいって、老齢化して負の遺産を抱え込み、意思決定能力を欠いた政治家と経営者が舵取りをする日本経済が、自己革新をなしとげてよみがえると期待することはできません。できるのは急速な衰退を避けてソフト・ランディングすることぐらいで、それだけでも、かなり骨の折れる仕事になりそうです。

本書は2011年1月から2月にかけて行なった「アゴラ連続セミナー」の記録に手を加えたものですが、自分の話に加筆していると、全体を通したテーマが「不確実性」だったことに気づきます。アダム・スミスやマルクスの時代から、資本主義は大きなリスクをはらんだシステムでした。

その肯定的な面をみるスミスやハイエクやフリードマンは自由主義を主張し、それを否定的にみるマルクスやケインズは国家の介入を求めましたが、彼らのみていた資本主義の特徴は一つだったように思います。それはよくも悪くも変わり続けることによってしか維持できないダイナミックなシステムであり、これが一方ではイノベーションを生み出すとともに他方では金融危機をもたらし、人々の欲望をかきたてるとともに不安にします。

それを「無縁社会」などと呼んで否定しようとする今の日本は、資本主義のダイナミズムにいささか疲れてきたのかもしれません。ここらで競争社会から降りて、エネルギーを使わないでのんびり過ごしたいという気持ちもわかりますが、そのコストは小さくありません。それを端的に示したのが、今回の計画停電でした。豊かな生活に慣れた人々が貧しい暮らしに順応することは、かなり苦痛をともなうでしょう。

特に若い世代にとっては、前の世代が過剰に消費したコストを負担させられ、さらに貧しくなる未来が待っています。民主党政権が錯覚していたように、あり余る富を貧しい人に再分配して「地球にやさしい生活」のためにコストをかける余裕など、実は日本経済はないのです。

これから必要なのは、縮んでゆく生産能力(資本・労働)を有効に利用するための制度改革と、限りある資源を世代間で公平に分配するための財政再建ですが、どちらにしても楽しい仕事ではなく、多くの人々にとって苦痛をともなうでしょう。そういう時代を生きるために、資本主義とはどういう経済システムなのか、という根本問題を古典に学ぶことも役立つかもしれません。

第1講 既得権を考える――『国富論』
第2講 金融危機を考える――『資本論』
第3講 イノベーションを考える――『リスク・不確実性・利潤』
第4講 大不況を考える――『雇用・利子および貨幣の一般理論』
第5講 自由主義を考える――『個人主義と経済秩序』
第6講 財政危機を考える――『資本主義と自由』  

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コメント
 
01. 2011年5月28日 19:48:53: rWmc8odQao
池田信夫氏…原子力村からおいくらで頼まれたのですか。
「コストが火力や原子力より高いということだ。」これはもうウソだと分かってます。原子力のコストは突出して高いです。まともに計算すれば。

02. 2011年5月28日 20:45:31: ruhzxxfJDI
なにバカなこといってるのだ。
原子力関係の天下り団体を廃止して、電源3法を改正。送電、発電を分離をして原子力発電の誘致の補助金を廃止して自然エネルギー発電の誘致に補助金を出すのだ。あと学校、公共施設、工場の屋根太陽パネル設置義務を課すのだ。電力会社は、家庭の屋根に太陽パネルを無料設置、発電電力に応じて電力料金の1部を設置家庭に還元するのだ。

03. 2011年5月28日 21:02:05: 6t3Z2XpZpc
あんた(池田のおっさん)に将来の原油価格、LNG価格がわかるのかね。
前提条件を変えればどんな結論でも導ける。原発の廃炉コストを加えれば原発が高いことは今回の事故でもう結論が出た。

電力の代替手段を増やせば、原油価格を下げるあるいは上昇を食い止めることにつながる。


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