http://www.asyura2.com/11/senkyo113/msg/620.html
Tweet |
ひょう吉の疑問 より
http://blog.goo.ne.jp/akiko_019/e/d00614b4ffd43e49e13bfa3cf4eb5229
Electronic Journal より
http://electronic-journal.seesaa.net/article/107347343.html
2008年09月30日
●「ストロスカーン発言を伝えない日本の新聞」(EJ第2420号)
昨日のEJで、今年の1月のダボス会議において、IMFのストロスカーン専務理事が「世界各国が財政出動すべきである」と発言したことを取り上げましたが、これは日本をのぞく世界中に大きな波紋を広げたのです。
なぜ、世界中が驚いたかでありますが、IMFの今までの考え方からいうと、IMFがそのような発言をするとは、とうてい考えられなかったからです。
その驚きの度合いは、ストロスカーン専務理事が発言した翌日の「フィナンシャル・タイムズ」もこの発言を「180度変わったIMF」という見出しをつけて、専務理事の写真まで付けて報道しているのみてもわかることです。
IMFは、どこかの国の財務省のように、どんなときでも「財政再建」を唱えてきたところなのです。
そのため、IMFの3文字は、次のことばの省略語であるといわれるほどです。
―――――――――――――――――――――――――――――
IMF=It's mostly fiscal./常に財政再建
―――――――――――――――――――――――――――――
つまり、今までのIMFはどのような問題が持ち上がっても、「財政再建を・・・」といってきたのです。
1997年の日本に対してもIMFは「財政再建をやれ!」と言い続けて、日本経済を5期連続のマイナス成長という事態に落し入れたのです。
そういうIMFが今までの主張と正反対の「財政出動」を口にしたのですから、世界は驚いたのです。
逆にそれだけ今回の金融危機が深刻なものであることをストロスカーン専務理事は既に1月の時点で見抜いていたものと思われます。
ストロスカーン専務理事は、正確にいうと「余裕のある国は財政出動をやれ」といっているのです。
余裕のある国というのは、「インフレ率の低い国」を意味しています。
そうなると、まだデフレ経済から脱却していない日本は、もっとも適合している国ということになります。
ストロスカーン専務理事は、福田首相が会場にきていることを知っていて、あえて日本を意識して発言したのではないかと思われます。
しかし、日本国内は相変わらず「財政再建」一色です。
これは日本の財務省が小泉政権の5年間間をかけて、一貫して「国の借金を増やしてはならない」と言い続けてきた結果です。
いっていることはけっして間違っていないことですが、そのときの経済にとっては致命傷になることもあるのです。
しかし、小泉政権のときは実はあれほど力を入れたはずの財政再建は進んでおらず、少し進んだのは政権末期に景気が回復してからなのです。
この景気回復も小泉政権の政策の成果ではないのです。
景気が低迷しているときに財政再建をやると、景気の回復力を奪ってしまうのです。
日本経済はこれを繰り返して「失われた15年」を作ってきてしまったのです。
ところで、IMFは、なぜ「財政再建」を唱えるようになったのでしょうか。
それには、IMFが創設された時の経緯を知る必要があります。
IMF(国際通貨基金)という構想を考え出したのは、ジョン・メイナード・ケインズです。
大恐慌になって資産価格が暴落したとき、どこの国も財政赤字を出したくないので、通貨価値を切り下げて、輸出を増やそうとします。
つまり、そこで「通貨切り下げ競争」が起きるのです。
リチャード・クー理論によると、このとき各国はバランスシート不況に突入していたことになるのですが、ケインズはそこまでは気がついていなかったはずだとクー氏はいっています。
しかし、優れた経済学者であるケインズは、各国が一斉に輸出を増やして外需に頼ろうとすると、世界規模で「合成の誤謬」が起きることを懸念したのです。
そこでケインズは、IMFという構想を考え出したのです。
そのケインズの構想について、クー氏は次のようにいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
ケインズは世界が恐慌に見舞われそうになったら貿易赤字国も 貿易黒字国も同様に責任を持つべきであると主張した。
つまり 貿易黒字国は内需をどんどん増やす。
赤字国に内需拡大を期待するのは無理だから、黒字国にも荷物を背負ってもらおう、という案であった。
リチャード・クー著/『日本経済を襲う二つの波/サブプライム危機とグローバリゼーションの行方』/徳間書店刊より
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、この案は採択されなかったのです。
なぜなら、当時の英国と米国の国力の違いによって、ケインズ案は採択されなかったのです。
IMFについては、上記のケインズ案とホワイト案の2つが提案されたのです。
ケインズ案は合理的なものだったのですが、当時の黒字国は米国だけだったので、米国としてはそんな責任を負いたくない――
そこで、黒字国の責任は問わないが、その代りにIMFは赤字国に対して融資を行い、救済するという仕組みにしたのです。
米国はケインズ案を修正したホワイト案を強引に採択させ、このようにしてIMFは創設されたのです。
ケインズ案では、IMFの目的は「世界的な合成の誤謬を回避する」という世界的規模のものであったのに、
ホワイト案では貿易赤字を抱え、支払い不能に陥った国々の救済に追われて、
グローバルな観点から世界経済を見るという目的はほとんどなくなっているのです。
このように考えてくると、ストロスカーン専務理事の発言は、あのケインズが提唱したかつてのIMFの原点に還った発言であったといえるのです。
しかし、なぜか日本の新聞では、この発言はほとんど取り上げられることはなかったのです。
日本という国は、財務省の支配が行き届いており、「財政出動=悪」という考え方が国民にまで浸透しているのです。
加えて、財政出動を唱える学者や評論家はTVに出さないようコントロールしているようです。 ――[サブプライム不況と日本経済/32]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【私のコメント】
つまりストロスカーン氏はアメリカの意向に添わないことをやったわけだ。
それが今回の性的暴行容疑でアメリカ当局によって逮捕されるという事態になった。
ストロスカーン氏は、ギリシア危機に際して、アメリカがドルをジャブジャブとたれ流しているのと同じことを、EU諸国が欧州中央銀行を通じて行うことを支持した。
欧州中央銀行による国債の直接引き受けのことである。
これはアメリカが得ていた通貨発行益の独占を切り崩すことになる。
そのことをアメリカは苦々しく思っていたに違いない。
アメリカは基軸通貨国として通貨発行益独占の特権を他国に侵されたくないのである。
あれから一年経って、アメリカはすとロスカーン氏の失脚のチャンスを狙っていた。
それが今回の性的暴行容疑になり、ストロスカーン氏をIMFトップの座から引きずり落とすことに成功した。
これでEUはますます財政再建に向かうことになり、経済基盤の弱い国を切り捨てることになる。
同様に日本にとっても今の未曾有の危機のなかで財政出動を行わず、逆に財政再建に向かうという最悪の経済運営をしていくことを意味している。
菅政権が予算の二次補正を国会に出さず、国債の発行を渋っているのはそういうアメリカの意向と深く結びついているからだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK113掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。