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平成23年5月9日発売
小学館 通知
《検証レポート》
本誌が1年前にスクープした「鳩山腹案」潰しの全貌が判明!
ウィキリークスが暴いた普天間&北方領土問題の裏切り者
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この国の官僚も政治家も、「公僕」であるどころか「売国奴」であった。
うすうす感じてはいたが、他国の公僕によってそれを明言されると、目の前が真っ暗になる。しかも、それを許しているのが同じく売国奴の大メディアだということまで暴かれては、国民の怒りは収まりようがない。ウィキリークスが公開した米公電の怒髪天を衝く記述──。
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(写真)ウィキリークスは普天間移設の暗部を次々と暴いている(左は創設者のアサンジ氏)
菅政権と鳩山政権の違いは、この国の政治の本性を見事に体現しているといえるのかもしれない。 菅政権の特徴は、官僚や大メディアなど「既得権派」の利益を第一に考え、その指導≠ノ平身低頭、従う一方で、国民に対しては居丈高になる。原発事故では情報を隠して「安全だ」と騙し続け、マスコミを通じた世論操作で大増税路線を敷いた。暴君政治だ。
鳩山政権はどうだったかというと、褒められたものでなかったという点では菅政権といい勝負だが、なぜ何もできずに終わったかの理由は正反対だった。
つまり、官僚や大メディアのいうことを聞かなかったために、猛烈なサボタージュとバッシングを受け、機能不全になって倒れたのだ。政権崩壊の原因となった普天間問題では、「県外移設」という国民が喝采した政策を掲げたまではよかったが、「既得権派」の側に立つ官僚や閣僚に裏切ら●れ、最後は汚名を着ることになったのである。
どちらがより無能か、など論じても何の役にも立たない。が、この国の「黒幕」が誰であり、政治には、それに抗(あらが)う能力が全くないことは、この2つの無能政権がはっきりと教えている。
ウィキリークスが朝日新聞に提供したアメリカ政府の公電(※)により明らかにされたのは、日本の外交権が官僚機構によって壟断され、政治家はそれを追記し、さらに大メディアまで官僚によって「教育」されているという、この国の惨状だったのである。
以下、普天間問題を中心に、米公電が明らかにした日本政治の暗部を検証する(〈〉内はすべてアサヒ・ドットコムより)。
「県外移設を漬して」懇願
「普天間飛行場の移設先は最低でも沖縄県外」と宣言して政権交代を成し遂げた鳩山由紀夫・首相は、実は政権発足当初から、獅子身中の虫を抱えていた。
政権発足直後の09年10月12日に行なわれた、キャンベル米国務次官補と長島昭久・防衛政務官(当時)、外務・防衛高官との会談内容をまとめた公電には、驚くべきことに鳩山首相の方針を次々と否定する高官たちの姿が記録されている。
〈長島副大臣(ママ)は、普天間移設についての防衛省の分析は、米国政府が導いた結論に近いと説明した。北沢防衛相については、移設問題の再検討に関わっている閣僚の中では、現行案を最も強く支持している「現実的な人間」だとも付け加えた。)
長島氏は、前原誠司・沖縄担当相(当時)らとともに、民主党内では親米タカ派として知られる。安倍晋三氏ら自民党のタカ派議員とも親密だ。アメリカのネオコン派が嫌う「県外移設」を推進することは望み難い人物だったのである。
防衛省幹部にいたっては、米側に「日本の県外移設派を説得し、辺野古沖に移転する現行案がいいといって、くれ」と懇顧している。
〈高見沢将林防衛政策局長は、米国が日本政府の高官や政治家に、今なお現行案が有効性を保っていることを説明する際には、米軍の軍事能力や戦争計画、緊密化している米軍と自衛隊との連携(中略)も織り込んでほしいと提案した。彼はまた、日本国民に対して再編関連の問題を説明する際に、米国政府が日本政府と協力してほしいとも促した。)
一体、この人物はどの国の公僕で、どの国の国益を担っているのか。さらには(高見沢は、民主党政権が気に入るような形に再前案の「パッケージ」を修正することについて、米国側は拙速に柔軟な態度を示してしまわないよう警告した。)
ともあり、なんと交渉相手に「妥協しないでほしい」とお願いしているのだ。
さらに同席した外務省高官は、閣内にいる隠れ親米派≠フ名を伝え、政権分断のヒントを与えていた。
〈外務省の梅本和義北米局長は、民主党政権はまだ再編に関わる政策決定の仕組みを細かく決めてはおらず、岡田外相、前原沖縄担当相、平野官房長官はそれぞれ違う視点に着目していると指摘した。〉
もっとも米側はそんなことは先刻承知で、09年7月21日付の公電では、〈岡田は、(中略)普天間移転や地域協定見直し、不朽の自由作戦に貢献する給油など、(中略)全争点を一度に進めるつもりはない。〉と見透かされていた。
ただし、すべてが「身中の虫」だったわけではない。
防衛省の井上源三・地方協力局長は米側に対して、〈米海兵隊のグアム駐留だけで、東アジア地域での抑止力に対する信用性を維持し、台湾を巡る不測の事態にも対応することができるのではないか〉〈伊江島や下地島の滑走路が嘉手納の二つの滑走路を十分に補うのではないか、その結果、キャンプ・シュワプヘの移設の必要性はなくなるのではないか〉
などと、辺野古(キャンプ・シュワプ)に海兵隊を移す「現行案」に疑問を投げかけていた。しかし、他の日本側メンバーがそろって「現行案がいい」という態度なので、孤立無援のなかあっさりと米側に「それではダメだ」と否定されてしまった。
後述するように、この当時、鳩山首相は「腹案」を練っていた。その全貌は、政権末期の10年5月に本誌がスクープして世に知られることになるが、井上氏は「現行案」でなければならない理由はないと疑問を投げかけることで、首相の「腹案」の実現性を探っていたのかもしれない。政府内部
※情報サイト「ウィキリークス」は、企業や国家の内部資料を公開する手法で世界中の権力者、為政者を怯えさせている。
朝旧新聞は同サイトから日本に関する米公電の提供を受け、5月4日以降、順次その内容を公表、報道している。
にも、首相に協力するグループが確かにあったことがうかがえる。
ただし、政権内が「親米ポチ」に支配されると、「腹案」も「改革官僚」も葬り去られてしまう。政権崩壊直前の本誌(10年6月11日号)は、防衛省幹部の証言を、こう報じている。
「『腹案』には、現役の防衛省局長級幹部が複数、協力してきた。彼らは自民党とネオコンの利権にのめり込んでしまった守屋武昌・元防衛事務次官(収賄罪などで服役中)と距離を置くグループだったが、5月になって省内で彼らを普天間問題から外す体制変更がなされた」
「嘘の合意」を望んだ日本
昨年、本誌(5月21日号)がスクープした「鳩山腹案」を記した極秘文書(別掲)には、3つの柱からなる驚くべき提案が書かれていた。
@普天間の代替滑走路は、九州の新田原、鹿屋のいずれかの自衛隊基地を利用。
A海兵隊は九州に移転し、それにともなって九州の自衛隊も再編する。
B普天間は日本に返還されるが、基地機能は維持し、有事には海兵隊が使用できる。海兵隊の一部は、即時対応のためにローテーションで沖縄に常駐する。
防衛省の井上局長がいったように、もし沖縄でなくても海兵隊の機能が維持できる、あるいは滑走路は辺野古でなくてもよい、ということになれば、「腹案」は見事に問題を解決する。
ところが、話はそう簡単ではなかった。なぜなら、「現行案」は政権交代前に自民党政権が駆け込みでアメリカに約束したものであり、それを知る新政権内部の「親米ポチ派」にとっても、絶対に変更できない内容だったからだ。
麻生内閣の支持率が急落し、にわかに政権交代が現実味を帯びていた08年12月19目付の公電は、普天間問題を含む米軍のグアム移転に関する日米合意が、「駆け込み」「嘘の産物」だったことを証明した。
〈総選挙がある可能性を踏まえ、日本側は、移転協定の国会審議を加速させるようすでに決定した。(中略)
この日程表に合わせるため、外務省は米国に対し、移転協定に2月9日または16日の週にワシントンか東京で署名できるように準備を整えるよう求めた。〉
実際に協定は2月17日に署名された。しかも、合意の中には日本国民を欺くための嘘が盛り込まれていたことも公電は記す。
〈米国はこうした既存文書の中で触れられてきた2つの具体的分野について、この前文の中で明瞭にするよう求めた。第1に、(中略)移転する8000人の海兵隊員の「約9000人の家族」という表現について「関蓮する家族」という表現を導入するよう要求した。(中略)第2は、約10億ドルをかけたグアムでの軍用道路への言及を削除してほしいという米側の要求である。
この軍用道路は、(中略)コスト見積もり(つまり分母)を増やし、それによって日本側が負担するコストの比率を減らすために含まれることになった。〉
どういうことかというと、小泉政権時代に進められた下交渉において、「米軍の引っ越しなのに、日本の負担率が高すぎる」という批判をかわすために、移転と関係ない費用まで含めて総額を大きく見せ、負担率をごまかしていたのである。
また、家族の人数を水増ししたことは、「移転が大規模」と思い込ませるためのトリックである。公電では別の箇所でもっと直截に〈8000人も9000人の数字も日本での政治的価値を最大化するため意図的に大きく見積もられたが、双方ともこうした数字は実際に沖縄に駐留する海兵隊員の数やその家族たちの数とは大幅に異なる)と書かれているのである。
情けないのは、米側がこの嘘を「正式な合意文書では事実に即して記述してほしい」といっているのに、日本側がそれを拒否し、嘘が嘘のまま文書になった経緯まで公電に書かれていたことである。 政権交代後も、「現行案」を支持する者たちは、ずっと「1万7000人をグアムに移し、嘉手納飛行場以南の返還で全体の基地負担を軽減する」(前原氏)などと、「水増し数字」で国民を騙し続けている。
公電発覚後、岡田克也・民主党幹事長は、「自民党(政権)時代も含めて、『これは実数ではなく定数だ』とはっきり申してきているので、それと矛盾する中身ではない」(沖縄タイムス5月7日付)と、政府を代表する立場でもないのに、自民党政権まで庇う姿勢を見せている。やはり「現行案」支持派は一蓮托生の関係ということなのか。
テレビの解説者を「教育」
ところが、こういうデタラメな外交を監視するはずの大メディアは、自らが「既得権派」であるため、最初から批判する気はない。
本誌が「腹案」をスクープした際には黙殺した。本誌はさらに、米国にとって「辺野古」は絶対譲れない条件ではないこと、むしろ日本の「辺野古利権派」が県外移設を阻んでいること、さらに前章で述べたように、「既得権派」が「腹案派」をパージしていることまで報じたが、大メディアは追随しようとしなかった。
その後、本誌報道の裏付けが次々と判明した。首相を退いた鳩山氏は沖縄タイムスのインタビュー(11年2月18日付)で、「私と一緒に普天間の移設問題を考えるべき防衛省、外務省が、実は米国との間でできていたベースというものを大事にしたかった」
「この人たち(官僚)と情報の共有はできないじゃない、かと思った」
などと、「身中の虫」の裏切りを暴露した。
また、公電発覚直後に訪米した国民新党の下地幹部・幹事長は、ジョーンズ前大統領補佐官が「辺野古移設が実現できるなんて思っていなかった。嘉手納統合案が最良だ」、メア前国務省日本部長が「辺野古移設は難しい」、レビン上院軍事委員長が「辺野古の美しい海を見て移設は難しいと感じた」と、それぞれ語ったことを公表した。実際にレビン氏は5月11日、国防総省に「嘉手納統合案を検討せよ」と要請した。
これも本誌はすでに報じたが、もともと米国は「嘉手納統合案」を提案していた。むしろ当時の小泉政権が「それでは移設事業でうまみがない」と考え、地元の土建業者が望む「現行案」をひねり出したのである。
当時も本誌取材に応えて「辺野古の嘘」を指摘した軍事評論家の田岡俊次氏は公電を踏まえてこう語る。
「官僚との対決姿勢を鮮明にしていた鳩山政権を攻撃するために、霞が関は米国に協力を求めた。外交交渉を、国益ではなく自らの保身や権力のために利用していたことは重大問題です」
同じく、辺野古移設に疑問を呈していた元駐レバノン大便の天木直人氏は、
「歪んだ外交姿勢を追及せず、対米従属一辺倒だった親米メディアの責任も問われるべきでしょう」 と指摘する。
大メディアが既得権派の手先であることについて、09年12月30日付の公電が見事に暴いている。薮中三十二・外務事務次官(当時)とルース駐日大便の昼食会の報告である。
〈薮中は、岡田外相は就任以来、安全保障問題への理解を深めているとして、日米同盟の重要性について民主党の政策決定者を教育することに楽観的だとした。
(中略)新聞の論説委員や財界は問題をかなりよく理解しているが、テレビのコメンテーターや政治家たちは、安全保障問題をしっかりと把握していない。彼らを教育することには価値があるかもしれないと、薮中は付け加えた。特に、薮中は、手を伸ばせばうまく応じてくれることが予想される、影響力も人気もあるテレビのコメンテーターの何人かについて言及した。〉
いうまでもないが、「薮中」がいう「岡田外相」や「論説委員」の「理解」とは、自分たちに従うことであり、そうでない者たちは「教育」するというのである。言及されたコメンテーターとは誰か、公電は記さないが想像をたくましくさせる。
親米ポチ一辺倒の菅政権に、いまさら「県外移設」を望めるはずはないが、少なくとも決意と能力のある政治家がいれば、それは可能だったことがはっきlりした。「鳩山腹案」は実現できたのである。 公電はさらに、北方領土交渉で日本があまりに無能であると暴露している。 公電を報じた朝日新聞の姿勢は高く評価したいが、その大メディアの在り方を含め、「既得権派」が改革をことごとく潰していくこの国の宿痾を取り除かない限り、日本が「国際社会において、名誉ある地位を占め」る(憲法前文)日は、きっと来ないのだろう。
〈日本には、北方領土返還交渉のための計画も、計画を策定して最後までやり遂げる指導者も欠けている〉(09年4月付)
そして民主党は 〈政策の真空状態〉で、外務省にいたっては、ロシア政府のごり押しによって日本企業が同国内のガス田の権益を無理やり奪われたことが〈北方領土交渉を推進すると信じている。驚くべきことだ〉と呆れている。
(写真)北方領土交渉はロシアの一方的ペース(国後島を訪問したメドページェフ大統領)
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