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菅直人内閣総理大臣殿
昼夜を分かたぬご心労、推察致します。
ご苦労さまです。
私は、国権の最高機関を代表する一人として、
この一文で敢えて率直なことを申し上げます。
菅首相、貴方は、即刻、首相を辞任すべきです。
いま、東日本大震災の被災者の方々、
東京電力福島第一原子力発電所事故により
避難を余儀なくされておられる皆さん、
多くの国民の皆さん、野党各党、また、
与党の国会議員の中にも、私と同じ考えの方は
多いと思われます。また、地方自治体の長、議員の皆さんも、
菅首相に対する不信と不安を持っておられると思います。
それでも、「菅首相、お辞めなさい」という声が
なかなか表面化しないのは、理由があるようです。
国政に限らず重大な間題が生じた時、そうして事柄が
進行中に、最高責任者を代えるのは、
余程のことだ、という考えが一般的だからです。
しかし、3月11日の震災発生以来、菅直人氏は、
首相としての責務を放棄し続けてこられました。
これこそが、余程のことなのです。
実は、昨年、尖閣諸島沖の中国漁船衝突問題の時も、
首相としての責任を放棄されたのですから、貴方は、
首相の国務に関しての債務に自覚をお持ちでないのでしょう。
こうした私の菅首相への「怒り」に、反論する格好の言葉が、
日本にはあります。
日く、「急流で馬を乗り換えるな」。
この言葉は、私も賛成です。しかし、それは、馬に、
急流を何とか乗り切ろうと、必死になって激流に立ち
向かっている雄々しい姿があってのことです。
けれど、菅首相には、その必死さも、決意も、
術(すべ)もなく、急流で乗り換える危険よりも、
現状の危険が大きいと判断します。
今、菅首相がお辞めにならなけれぱ、
東日本の被災者の皆さんの課題のみならず、
この時点でも、空中に、地中に放射能・放射線を出し続け、
汚染水は海に流されているという、原発事故がもたらす
事後の重大な課題も解決できません。
ここで、3月11日以来、なぜ菅首相がやらなかったのか、
やる気がなかったのか、私が疑間を持ち続けている
ことについて触れてみたい、と思います。
その一。
首相は、なぜ、3月11日以降、直ちに「緊急事態法」をまとめ、
立法化を図らなかったのか。
多くの会議を作り、指揮命令系統を敢えて混乱させてきました。
これは、首相の責任を暖昧にして、決断を延ぱすための手法です。
震災では、県市町村の長、職員、地元の消防団、消防署
、警察官、東京消防庁、地域の民生委員、自衛隊の
皆さんに並々ならぬご苦労をかけています。
看過できないのは、首相が、10万人もの自衛隊員に出動を
命じるのに、安全保障会議を開かなかったことです。
安全保障会議は、「国防と共に、重大緊急事態への
対処に関する重要事項を審議する機関」です。
首相は法律を無視しているのです。
その二。
原発事故は、国際社会の重大な関心事です。首相が初動段階で、
米軍の協力の申し出を断ったことが大きな判断の誤りです。
現時点でも、事故の収束について、
首相には、なんの展望もないのです。
その三。
首相が、被災された東日本の皆さんのために、今の時点で、
緊急になすべき事は、「8月上旬」などと言わず、
避難所から仮設住宅、公営住宅の空き部屋、賃貸住宅、
とあらゆる手段を動員し、被災された方々に用意することです。
さらに、資金の手当て、医療体制の整備が急務です。
その四。
また、首相の債務は、災害による破損物の処理です。
この分別は予想以上に大変で、梅雨入りを迎えて緊急の課題です。
さらに、新たな国土計画、都市計画、農林、水産業、
中小零細企業再建の青写真、新たな教育環境の創造等々、
期限を切って方向性をまず明示すべきでした。
その五。
居住の場所から避難を強いられておられる方々は勿論、
原発事故の収束に向かう状況について、固唾を呑んで
見守っておられる日本全国の皆さんに、
正確で真実の情報を知らせるべきでした。
原発が、案の定、炉心溶融(メルトダウン)を
起こしていたではありませんか。
私は、この事実を、東電も首相も、知っていたのではないか
という疑いを持っています。
その六。
首相の政治手法は、すべてを先送りする、ということです。
この国難に当たっても、前段で指摘した課題のほとんどは
、期限を明示しませんでした。
批判が高まって、慌てて新たな工程表を5月17日に
発表しましたが、予算の裏付けはありません。
大震災に対する施策も、原発事故の処理費用も
、新たな電力政策も、それらに要する財源は明らかでは
ないのです。もし、それらが、政権担当能力を超えた
難題なら、自ら首相の座を去るべきです。
このままでは、政権の座に居続けようとするための
手法と受け取られても弁明できないでしょう。
あたかも、それは、
「自分の傷口を他人の血で洗う」
仕草ではありませんか。
我が国は、山積する外交問題、年金間題を始めとする
困難な内政問題等、多くの難題を現に抱えています。
私は、菅直人首相には、それを処理する能力はない、と考えます。
すべてが後手後手にならないうちに、一刻も早く、
首相の職を辞されることを重ねて強く求めます。
野党が多数の参院で間賛決議案を司決しても、
貴方は居座るかも知れません。もしお辞めにならないのであれば、
26、27両日の主要8か国(G8)首脳会議前に、野党が衆院に
内閣不信任決議案を出す以外に道はないのです。
私は、いま、己の長い政治経験と、菅政権を誕生させた
責任を感じ、断腸の思いです。
放射能・放射線のために、自分の生まれた土地を
後にしたことも知らない幼児、母校を離れて勉強している
子どもたちの澄んだ瞳を、私は真っ直ぐ見つめら
れるだろうか、と自間自答しています。
国会議員が党派を超え、この大震災と原発事故が、
少なくとも、子どもたちの未来に影を落とすことのないよう、
身命を賭して取り組まなければなりません。
覚悟のできない首相。
人の痛みが分からない首相。
「虚栄心」という執着から離れられない首相。
パフォーマンスだけでは、
けっしてこの国難は乗り越えられません。
もう浜岡原発停止のような手法は
できないでしょう。
これだけ政治家として、
その人の本質を問われている時期は
ないでしょう。
2009年総選挙での国民との約束を
ことごとく反故にし、
さらに一党独裁の自民党の対抗する為、
政治勢力を結集させた民主党は
今、崩壊状態。
そして、さらにこの国難に対して
覚悟もできず、ただ先送りするだけ。
福島原発もふたを開けてみたら
メルトダウン。
情報隠蔽、ただひたすら責任回避。
政治家の皆さん、
本当にこれでよいのでしょうか。
後世の歴史において、
皆さんはどのように評価されるのでしょうか。
よくよく考えてください。
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