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平成23年5月9日発売
小学館 通知
大新聞に政策を作らせ、自らは権力維持のために国家主権まで投げ捨てる──
菅官邸を牛耳る「オバマGHQ」の密使
怒りの追及
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焼け野原からの戦後復興に大震災の復興計画を重ね合わせる菅直人・首相は、屈辱の歴史までも真似ようとするのか。GHQ(連合国軍総司令部)に主権を奪われ、自主憲法さえ作れなかったあの時代は、65年が過ぎた今でも、この国の在り方に大きな禍根を残している。だが、菅政権はこの震災対応の中、国の主権を米国に売り払うことで、自らの権力を守り切ろうとしている──。
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「アドバイザー」の本当の任務
この国の政府は震災発生以来、「第2の進駐」を受けている。首相官邸ではそれを如実に物語る光景が繰り広げられていた。
菅首相や枝野幸男・官房長官、各首相補佐官らの執務室が並ぶ官邸の4、5階は記者の立ち入りが禁止されているが、そこでは細野豪志・首相補佐官、福山哲郎・官房副長官らがある部屋に頻繁に出入りしていた。
部屋の主は、米国政府から派遣された「アドバイザー」で、名前も身分も一切明らかにされていない。
官邸の事務方スタッフは、その素性と役割についてこう説明する。
「その人物は米原子力規制委員会(NRC)のスタッフとされ、官邸に専用の部屋が与えられ、細野補佐官とともに原発事故対応の日米連絡調整会議の立ち上げ作業にあたった。常駐していたのは原発対応のために横田基地で待機していた米海兵隊の特殊兵器対処部隊(CBIRF)が帰国した4月20日頃までだが、その後も官邸に顔を出している。
福島第一原発の水素爆発を防ぐために実行された窒素封入や、格納容器の水棺作戦などは、そのアドバイザーとの協議を経て方針が決められた」
原発事故対策統合本部長を務める菅首相に代わって、決裁権≠握って小たというのだ。
官邸へのアドバイザー派遣は、菅政権の原発事故発生直後にオハマ政権が強く要求したものだった。当初、菅首相や枝野長官は難色を示したが、ルース駐日大使は福島第一原発から80`圏内に居住する米国人に避難勧告を出し、横田基地から政府チャーター機で米国人を避難させるなどして、受け入れなければ日本を見捨てる≠ニ暗に圧力をかけた。
菅首相は3月19日、ルース大使との会談で要求を呑んだとされる。
外国の政府関係者を官邸に入れてその指示を受けるなど、国家の主権を放棄したも同然であり、GHQ占領下と変わらない。
しかも、その人物は「ただの原子力の専門家」ではなかったと見られている。
米国は寮災直後にNRCの専門家約30人を日本に派遣して政府と東電の対策統合本部に送り込み、大使館内にもタスクフォースを設置した。3月22日に発足した日米連絡調整会議(非公開)にはルース大使やNRCのヤツコ委員長といった大物が出席し、その下に「放射性物質遮蔽」「核燃料棒処理」「原発廃炉」「医療・生活支援」の4チームを編成して専門家が具体的な対応策を練っている。
「原発事故対応のスペシャリスト」だというなら、統合対策本部や連絡調整会議に参加する方が、情報収集という意味でも効率的な働きができるはずだ。にもかかわらず、その後1か月間も官邸に常駐する必要があったのは、原発対応以外の「特別の任務」を帯びていたからだろう。
米民主党のプレーンから興味深い証言を得た。
「ホワイトハウスが、菅政権に原発事故の対処策を講じる能力があるかどうかを疑っているのは間違いない。だが、すでに原発処理についてはいち早くフランスのサルコジ大統領が訪日したことで、同国の原子力企業アレバ社が請け負う方向で話が進んでいる。
むしろ米国が懸念しているのは、これから震災復興を手掛ける菅政権が危うい状態にあること。オハマ大統嶺は、普天間基地移設をはじめ、日米間の懸案を解決すると約束した菅政権が続くことを望んでいる。そのため、ホワイトハウスでは国家安全保障会議などが中心になって、日米関係を悪化させることがないように指導するオペレーションを震災後から展開している。
特別な専門家≠フ派遣もそのひとつと考えていい」
菅政権は米国の指導の下、国会では震災復興より米国への貢ぎ物≠優先させた。3月末に年間1880億円の在日米軍への思いやり予算を5年間にわたって負担する「在日米軍駐留経費負担特別協定」を国会承認し、4月28日には、日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)を独立させる法案を成立させた。
JBICは米軍のグアム移転費用を低利融資する窓口になっているが、法改正によってこれまでは途上国向けに限られていたインフラ輸出への融資を拡大し、先進国む対象にできることになった。
(写真)米国の関心は「復興ビジネス」への参入(日米外相と財界トップ)
「菅政権は米国への新幹線輸出を進めているが、JBIC独立により、その資金を日本が拠出できることになる。アメリカも満足だろう」(経産省幹部)
「政治犯罪」を追及しない大新聞
連合軍統治下に日本が置かれていた時代、GHQは新聞の検閲を徹底し、やがて検閲を逃れるためにメディア側は自主規制をエスカレートさせてGHQの統治政策を礼賛する記事を乱発した。
今、同じ空気が充満している。
大手各紙は米軍の「トモダチ作戦」を称賛する報道に続いて、読売は社説(5月1日付)で、(米軍普天間飛行場の移設問題など日米の懸案の解決に向けて努力することを忘れてはなるまい)と、トモダチにお礼せよ≠ニ迎合してみせた。
米国によるオサマ・ビンラディン殺害については、欧州各国ばかりでなく、米国内でも「暗殺という手段は国際法上の問題がある」という指摘がなされているのに、(首謀者の死は、大きな成果だ)(5月3日付読売社説)など、礼賛報道一色になる。外国人が官邸に常駐するという、国家主権が脅かされている深刻な事態も、大メディアは報じようとしない。
一方で、新聞・テレビは国民のための権力監視という役割をかなぐり捨てた。
本誌が前号でスクープした「菅官邸が隠した『被曝データ6500枚』」で報じた問題では、政敵の責任逃れに手を貸している。
政府は震災発生当日から、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)で福島第一原発からの放射性物質の拡散予測を6500枚も試算していたが、国民に公表せずに隠蔽した。
本誌発売日の4月25日、細野補佐官は緊急会見を開いてSPEEDIの予測を毎首国民に開示することを表明した。しかも、それまで非公表にしてきたのは、パニックを心配して公表しなかった」(5月2日の会見)と、故意に隠していたことまで認めざるを得なくなった。
内閣官房参与を辞任した放射線の専門家、小佐古敏荘・東大大学院教授が最も問題視したのも、このSPEEDIの予測が公表されていないことだった。
ところが、大メディアはSPEEDI情報隠しを追及しないばかりか、5月2日に予定されていた小佐古教授の会見が不可解な形で中止になったこと(※)も批判しない。
SPEEDI問題の調査を行なっている衆院科学技術・イノベーション推進特別委員長の川内博史・代議士が憤る。
「SPEEDI情報を公表することは法令で定められている。政府が法令に違反して故意に隠したことで住民に無用な被曝をさせ、健康被害を与えたとすれば、重大な政治犯罪になるのではないか。徹底的に政府の責任を検証するのがメディアの責務のはずです」
もうひとつある。
本誌が前々号(4月29日号)で指摘した、夏の竃力不足が起きるという政府の「偽装キャンペーン」である。
本誌は夏の電力不足は原発再開のために政府が演出する「偽装停電」だと指摘し、東京電力が電力供給能力を十分に保有していることを報じた。実際、東電側も本題指摘通り供給量を上方修正したが、大メディアは今も政府と一緒になって「官民あげて節電に取り組もう」と宣伝している。あくまで原発政策を従来通りに進める片棒を担いでいるのだ。
大メディアが米国と菅政権のプロパガンダ機関となっているのは、自ら政権に入り込んで政府を動かそうという危険な野心に取り憑かれているためだ。
東日本大震災の復興ビジョンを立案する「復興構想会議」の委員には、マスコミ代表≠ニして読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏と、元朝日新聞論説委員の高成田享氏が加わっている。
2人が会議に提出した資料によると、「具体的な財源論のないところに実現可能性はあり得ない」(橋本氏)、「復興税は、その期間を3年以内にするなど短期に限定する」(高成田氏)など、いずれも増税を推進している。復興構想会議の委員たちは大型連休中に被災地の3県でヒアリングを行なったが、新聞・テレビはその様子を大々的に報じた。自作自演そのものである。
今や復興政策を差配する立場に立った大メディアに、政府の政治犯罪を追及する気などないのは当然だろう。
※4月30日に内常官房参与を辞任した小佐古教授は、5月2日に自らの見解を報道関係者向けに述べる会見を開く予定だったが、急遽キャンセルになった。
小佐古教授を参与に推薦した空本誠書・代議士は、「官邸の事務方から『守秘義務がある』といわれ、小佐古氏は会見に来られなくなった」と説明した。
(写真)原発処理事業はフランスが獲獲か(日仏首脳会議)
米国が触手を伸ばす復興事業
国会では49年ぶりにゴールデンウイーク中の審議が行なわれ、約4兆円の第一次補正予算が成立した。これには、主に瓦礫の撤去や仮設住宅の建設、震災で被昔を受けた道路や港湾の復旧など、すでに実施中の緊急的な被災者支援や復旧事業の費用しか盛り込まれていない。
津波に襲われた町を再建し、農地を再生し、住民の生活を再建する復興事業には、総額30兆円ともいわれる費用を要する。そうした事業は、次の第二次補正予算になる。
被災地は焦れている。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲・会長の話は切実だ。
東北3県では2万9000隻あった漁船の9割が使用不能になった。政府は今回の一次補正で建造費の3分の2を助成する制度を作ったが、それだけでは船は持てないのだという。
「3分の2の助成は有り難いが、建造費は小型トロール船で1億円かかる。自己負担の3300万円を借りようと思っても、銀行は『前の船のローンが残ってます』と貸してくれない。このままでは船を持てる漁民はいません。早く二次補正で公的融資を決めてもらいたい」
ところが、民主党の岡田克也・幹事長は、一次補正予算が成立した5月2日の記者会見で、二次補正の時期について、「現時点では何も決まっていない」と語った。少し前まで、「秋まで引っ張ることはあり得ない」(4月21日の幹事長会見)と、国会を大幅延長してでも二次補正に意欲を見せていたのが嘘のような変わり様だ。
民主党政調幹部がその理由をこう分析してみせた。
「党内では反執行部派が菅降ろしに動き出した。自公が内閣不信任案を提出すれば、同調して退陣に追い込もうとしている。主流派としては、不信任案成立を防ぐために、今国会を6月22日の会期末で閉じたほうが安心だ。自公も本音では巨額の復興予算の編成に加わりたくてたまらない。二次補正の提出を先送りすれば一緒にやろうと誘い水をかける時間的猶予もできる」
二次補正を人質にして野党との駆け引きに利用しようというなら罪を重ねる国民背信行為だが、大メディアは、ここでも政権と歩調を合わせる。
菅政権の関心が不信任案に移ると、狙いすましたように、「『菅おろし』の余裕はない」(朝日)、「首相続投を容認する空気がなお根強い」(読売)など、「不信任案成立は無理」という観測記事を流して、自ら中枢に入り込んだ政権を延命するための世論作りに腐心している。
岡田執行部も呼応する。大新聞が強く主張してきた通りに、子ども手当や高速道路無料化など民主党のマニフェストの見直しを検討するという3党合意を自公両党と結んだ。こういう動きだけは素早い。
「自民党は首相さえ交代すればいつでも政権に参加するといっている。菅内閣がいつまでもつかはわからないが、自公との交渉権は岡田幹事長や仙谷由人・代表代行(官房副長官)の現執行部体制でしっかり握っておく必要がある。3党合意は、マニフェスト堅持を主張する反執行部派が自公と組めなくするための楔(くさび)になる」(前出の民主党政調幹部)
これから始まる約30兆円の巨大復興事業に生唾を飲んでいるのは自公だけではない。
米国では大手コンサルタントをはじめ、多くの企業が日本の震災復興事業への参入に大きな関心を抱いており、米国政府は、菅政権に日米共同で震災復興を行なうための「復興合同会議」の設置や、官民の「復興ファンド」設立を提案している。4月にクリントン国務長官が来日した際には、全米商工会議所のトム・ドナヒュー会頭が同行し、松本剛明・外相は2人との会談後の会見で、「復興事業で民間の幅広い協力を促進したい」と表明した。
「すでに自民党や民主党の防衛族議員とパイプのある米国企業が復興事業をあてこんで、日本でロビ―活動を展開している」(米国のコンサルタント)というのだ。
菅政権は「復興構想会議」で大メディアと官僚機構を懐に引き込み、「日米復興合同会議」では米国に復興利権を配分して後ろ盾にしようとしているのではないのか。
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