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何か変だ。銀行と言えば、生き馬の目を抜くのが商売ではないか。それが瀕死の駄馬に巨額のカンフル注射を、代金を踏み倒されるかもしれないのに我から提供するとは!東電原発事故発生からわずか10日余りで三メガバンクを始めとした銀行団が1.9兆円の融資をすんなり決めた。
大手行が東電に緊急融資を検討、最大2兆円−東日本大震災受け (Bloomberg.co.jp 2011/03/23 )***3月23日(ブルームバーグ):三菱東京UFJ銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行などの大手銀行が、東日本大震災で原子力発電所などが深刻な被害を受けている東京電力に対して、月内にも最大2兆円規模の緊急融資を実施する方向で検討に入ったことが23日、明らかになった。複数の関係者によると、融資への参加を検討しているのは3行のほかに、三菱信託銀行、住友信託銀行、中央三井信託銀行など。東電側から先週、要請があったという。東電では今後、発電所の修理や新たな電力確保のほか、放射能汚染で生産物が出荷停止措置を受けた農家などの補償で多額の資金が必要になる可能性がある***
しかしこの時点では東電の破綻は当然視野に入っていたはずである。JALの法的整理も記憶に新しい。銀行がすんなり応じるとは普通は考えられないところである。
***三井住友銀広報部の戸川智佳氏は、「東京電力は日本で必要不可欠なインフラを担っており、主力行として最大限サポートする」とコメントした。三菱東京UFJ銀の松本真也氏は「何も決まっていないが、前向きに検討している」という。みずほFG広報担当の塩野雅子氏はコメントを控えた***
三井住友銀の積極姿勢がひときわ目立つ。そしてこの巨額融資はすんなり決まっていく。他の報道もこの時点でこの緊急融資はほぼ確定したような書きぶりであった。
東電に1兆9千億円融資 大手金融機関が緊急支援 (47 NEWS・2011/03/30 【共同通信】)***三井住友銀行など大手7銀行と信金中央金庫が東京電力に緊急で融資する資金の総額が、約1兆9千億円になることが30日、明らかになった。みずほコーポレート銀行は30日に融資、ほかの銀行も31日までに実施する。融資額は三井住友銀が6千億円、みずほコーポは5千億円、三菱東京UFJ銀行が3千億円。4信託銀行のうち、三菱UFJと住友がそれぞれ1500億円、中央三井が1千億円、みずほは500億円になる。信金中金も数百億円を融資する***
まあなんとも気前のいい話であるし、手際も良すぎる。しかし、この融資が焦げ付いたらどうするんだ?株主訴訟には耐えられまい。役員の個人責任が追及されるのは明らかではないか?それとも何か話しができているのか。
東電融資に政府が異例介入…金融界、一斉反発 (YOMIURI ONLINE 2011年5月14日)
***東京電力福島第一原子力発電所の事故の損害賠償の枠組みを巡り、枝野官房長官は13日の記者会見で、東電の取引金融機関に一部債権放棄(借金の棒引き)を求めた。民間の取引に政府が介入する異例の発言に対し、金融機関は反発している。東電の破綻回避と賠償金の支払いを確実にするための枠組みも崩しかねない。…枝野長官が言及したのは、震災後に大手行が行った約2兆円の緊急融資を除いた約2兆円についてだ。東電が優良企業だったこともあり、大半は担保を取っていない無担保融資だ***
金融機関の反発も当然だろう。「話が違う!」それにしても法的整理もしないのに、債権放棄を政府が言い出すのはおかしかろう。お互いの話し合いでそうするというのなら分かるが、政府が音頭をとるというのは筋違いである。ただ枝野の話には妙なところがある。
『枝野長官が言及したのは、震災後に大手行が行った約2兆円の緊急融資を除いた約2兆円についてだ』
つまり、例の1.9兆円は債権放棄の対象には含めないらしい。なんでだ?銀行に対して政府が裏保証をしていたのではないか?本題に入る前にずいぶんと長くなってしまった。取り上げたかったのはもう一つの銀行融資についてである。1.9兆円という数字が妙にに半端だとは思っていたが……。やっぱり!これでめでたく2兆円!
政投銀も東電に1千億円超融資へ 総額2兆円超す (asahi.com 2011年4月1日)
東京電力が大手銀行などに緊急融資を求めたのを受け、政府系金融機関の日本政策投資銀行も4月中に1千億円超を貸し出す方針を固めた。すでに貸した8金融機関と合わせ、緊急融資額は2兆円を超える。 政投銀はもっと遅く貸すつもりだったが、4月に前倒しした。融資により、今は運転を止めている火力発電所の復旧などを急がせ、早急に電力供給力を高めることが重要だと判断した***
日本政策投資銀行。こちらは完全な国有銀行である。資本金は1兆1千8百億円。資本準備金が1兆円あまり、2兆円をこえる資本の100%を国が保有している。株主は財務大臣ただ一人である。どうやらこの1000億円の融資も早々と決まっていたと思われる。しかし完全国有の銀行がこんな危険な融資に簡単に踏み切っていいのか?
この債権が完全に保護されると分かっていなければ容易には踏み切れない決断ではないのか?1000億円は、いうなれば国民のカネである。『政投銀はもっと遅く貸すつもりだったが……』?多分目立ちたくなかったのだろう。
枝野の発言では、債権放棄の対象から外れる2兆円には、当然このお金も含まれている。政府は始めからこれらの債権は保護するつもりだったのだろう。どうせ国民のカネである。あとから電気料金の値上げで取り戻せば同じことである。政府は、政策投資銀行が無制限に東電にカネを入れられるように法改正までしていた。もともとは1951年に日本開発銀行として大蔵省が作った銀行である。現在も代表取締役副社長が財務省出身者である。
(財特法による新DBJ法の改正等)(日本政策投資銀行ホームページより)
その後、東日本大震災による被害に対処するため、新DBJ法の改正等を含む「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」(以下「財特法」という。)が、国会において可決成立しました(平成23年5月2日)。財特法による新DBJ法の改正等により、当行による危機対応業務の円滑な実施を確保するための政府出資可能期間が3年間延長(平成27年3月末までと)され、さらに、平成27年4月1日からおおむね5〜7年後を目途として完全民営化するものとされました。
政府出資可能期間の延長と民営化の先延ばしが繰り返された。そしてこれで、税金の東電への注入はいくらでもできることになる。先の朝日の記事にはこんなこともある。
***東北電力も発電所などが震災で被害を受けており、政投銀が30日付で300億円を緊急融資した。火力発電所の復旧などにあてられるという***。
国策銀行とは言え、あんまり安直な融資ではないか?焦げ付けば国民の財産が毀損されるのである。目立たないが、こんな税金投入には監視の目を注いでいかなければいけない。それにしても役人というのはうまいこと考えるものである。菅直人には何のことだか分からないかもしれない。あるいは知っていてやらせているのかもしれない。
というより、どうでもいいのだろう。いずれにしろ、財務省の役人に逆らう気概など持ち合わせていない総理である。少なくとも財務省には東電を潰すつもりはまったくないのは明白である!
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