http://www.asyura2.com/11/senkyo113/msg/208.html
Tweet |
浜岡原発の運転停止を中部電力が決断した。この決断を高く評価するが、では、菅首相の要請は正しかったのだろうか。それを書く前に、筆者の原発に対する考えを述べておく。筆者は、原発は「必要悪」だと認識していた。原発は次世代エネルギーが開発されるまでの「つなぎ」役だと位置づけ、他の人と同様、安全神話を信じていた。それを裏切られ怒りに震えているが、原発には理性的に対処すべきだと考えている。
浜岡原発については、日本の原発の中で、地震と津波に対して最も危険度が高い原発だと認識している。もちろん東海地震の想定震源地の上に建設されていることも承知している。もし、同原発が福島原発と同じ事態に陥ったなら、筆者の住む横浜市を含め愛知県から東京都まで広い範囲が、高濃度放射能で汚染されると認識している。
さて、先週の本欄で、「菅首相のパフォーマンス、浜岡原発全面停止をどう評価するか」との題で、読者の皆さまのご意見を伺った。頂いた意見・コメントには「高く評価する」と云う意見は無かった。だが、マスコミはもちろん、他のサイトや掲示板、さらにはブログなどには、菅首相の要請を高く評価する意見が多数ある。国民の安全が第一だとか、危険な原発停止は正義だとか、などがその理由である。
菅首相の運転停止要請は、本人も述べているように法的根拠に基づくものではない。13日の国会答弁では、「結果として行政指導であり、私の政治判断だった」と述べたが、単なる思いつきの人気どりのパフォーマンス以外の何ものでもないと述べているのと同じだ。それが証拠に、行政指導なら当然あって然るべき「事前の相談」が無かったと、原子力安全委員長と経産省原子力安全・保安院長は述べている。
日本の法律の中に、浜岡原発の運転停止を命じる根拠となる法律が無いのならば、国民の安全を第一に考えて、超法規的な要請=行政指導を首相が行ったと解釈できる。だが、日本には「原子炉等規制法」と云う立派な法律がある。その法第33条第2項に則り、原子炉の運転の停止を命じることができるのだ。
海江田経産相の口からの要請ならば、後付けでも法律に従っての措置、最低でも所管大臣による行政措置となる。その海江田大臣の記者会見直前に、突如として首相自らが記者会見で発表すると決定したと、13日のテレビ解説では報道していた。法律に従って運転中止を命じるならば、当然その法的根拠を示さなければならない。そのため、運転停止が数日ほど遅れたかもしれない。
また「結果よければ全てよし」との考えを否定はしない。だが、法律を無視して出した結果は、カンニングして出した試験の解答と同じだ。数学の試験では解答プロセスが無い答案は0点になる。だから、首相の要請内容がお粗末なのである。単に、運転停止したからと云って、原発事故を防げる訳ではない。そのことは、運転停止、定期検査中の福島4号機が証明している。そして、菅首相の要請は、津波による電源喪失を前提にした一時停止。それだけなら高台に非常用電源を確保すれば済む話だろう。
時速250キロの新幹線は地震が線路を襲う前に減速した。17年の間に耐震補強を済ませていた橋脚の破損はゼロであった。阪神大震災から学んだJR各社での、震災による新幹線の列車事故・人的災害はゼロであった。これに対して、政府は、福島原発の事故検証について未だ手をつけていない。原発事故の真因は不明である。津波による電源喪失説は、あくまでも現時点の推測に過ぎない。
起こってはならない原発事故が起きた今だからこそ、冷静に、理性的に対処しなければならない。感情的、発作的な対処をすれば、禍根を残す。その一番のいい例が、ベントの決定時機であり、首相の12日早朝のヘリによる原発視察だ。東工大卒だと言っても、所詮菅首相は原子力技術に関しては素人だ。その素人が、独裁的に個人の財産権を侵害し、国家経済に多大な影響を与える原発の運転停止という決定をした。
西岡参院議長が、「何をもって、そういう判断をしたのか。日本経済を全部計算した上で判断したのか、大きな疑問を持っている」と首相の判断に疑問を示したそうだ。全くもってその通りだ。日本国は主権在民、三権分立の民主国家である。民主的手続きにより、菅直人氏は首相に選ばれたが、国民は彼に国民主権を超える独裁権を与えた訳ではない。首相だからと言って、法律を無視する権限を持っている訳ではない。首相の要請は、遣ってはならない、許されざるパフォーマンスだったのだ。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=108911
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK113掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。