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節電と復興増税問題で、意図的な危機の演出を図る菅内閣。国民は冷静さを取り戻し、過度の自粛を控えるべきだ。 {SAFETY JAPAN [セーフティー・ジャパン] 日経BP社}
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110510/269289/?P=1
夏の最大需要に対応できる電力供給を確保した東電
東京電力の藤本孝副社長が、4月21日に、夏の電力供給量を300万キロワット上積みし、5500万キロワットとする方針を明らかにした。
この措置は、広野火力発電所を稼働させることを前提にしている。広野火力発電所は、東日本大震災で被災し、運転を停止しているが、再開の目処が立っていなかった。それは、広野火力発電所が、福島第一原子力発電所の30km圏内にあり、避難区域となっていたためだ。しかし、2011年4月22日から福島第一原子力発電所の30km圏内が「緊急時避難準備区域」に変更となり、復旧作業が可能になったのだ・
供給が可能となった5500万キロワットというのは、平年の夏の最大需要で、東電は、夏の最大需要に対応できる電力供給をすでに確保したということになる。需要に見合う供給を確保するというのは、地域独占を許されている電力会社の最大の責務であり、この点では東電の努力は評価されてよい。
やみくもな節電が必要な事態は解消している
ところが政府は、強制的に電気の使用を制限できる電気事業法27条の適用を含む節電計画の旗を降ろしていない。
需要に対応できる供給量が確保できるようになったとしても、ある程度の余裕を持たなかったら、大規模停電のリスクを避けられないという判断なのだろう。
しかし、それは正しい判断なのだろうか。
まず、5500万キロワットという需要想定だが、これは、あくまでも平時の需要だ。いまは、飲食店の照明が消され、駅のエスカレーターも止められるという節電モードが徹底している。
東電が発表している電力需要をみても、昨年より300〜400万キロワット、需要は落ちているのだ。
電力供給を確保する手段は他にも残されている
第二に、東電は大口需要家と需給調整契約というのを結んでいる。電力料金を割り引く代わりに、電力需給が厳しくなった場合には、真っ先に電力使用の削減に協力するという契約だ。この契約は、3月末時点で240万キロワット分があるという。夏のピーク時に電力供給が危機的になったら、この契約を活用すればよいのだ。
第三に、企業の自家発電装置の稼動を促進したり、小規模の分散型電源を導入するなど、さらなる供給力の上積みは十分に可能だ。にもかかわらず、戒厳令のような電力使用制限を続けるのには、何か隠れた意図があるとしか思えない。
増税ありきで復興財源が語られている
もう一つは増税だ。
仙谷由人官房副長官は、4月24日に宮城県亘理町で記者団の質問に答え、復興財源として「あらゆる税金を検討すべきだが、個人的には所得に対する課税のようなものが望ましい」と語った。
すでに菅総理は、期間限定の消費税増税を示唆しているが、所得税の増税までが飛び出してきた形だ。
復興のビジョンが定まらないうちに、増税の議論だけが突出するのは、異常事態だが、そもそも増税を議論すること自体がおかしなことなのだ。
復興は100年単位で考えるべき問題
4月24日にテレビ朝日の番組で、久しぶりに竹中平蔵氏と一緒になったが、竹中氏も復興財源には埋蔵金の活用などを考えるべきで、増税は経済を萎縮させると明確に反対した。私と竹中氏の意見が一致することは滅多にない。それが起きるほど、いまの増税論議は筋違いなのだ。
今回の震災は100年に一度の災害だ。だからとりあえず復興債を発行して、100年のオーダーで返済することを考えれば十分だ。それをいきなり数年で返済しようなどと考えるから、おかしなことが起きるのだ。
政府が窮乏生活を強いるほど、国民が団結していく
それなのに、政府がなぜ増税路線を走るのか。
一つの理由は、財務省支配となった菅内閣が、財務省の意向に従っているということだが、もう一つ理由があるのだと思う。それは、国民に負担をかけることによって、国民の支持を取り付けるという「悪魔の手法」だ。
ホストが客の女性を虜にするために、まずやるのは、たばこ一つを貢がせることだという。それに成功すれば、どんどん貢がせる額をエスカレートさせていく。女性は貢げば貢ぐほど、ホストに夢中になっていく。
電力削減と増税で国民を苦しめれば苦しめるほど、菅内閣の基礎は磐石になっていく。現に、過半の国民が節電への理解を示し、復興税の創設に賛同している。まるで、苦しみを楽しんでいるかのようだ。
このまま菅首相がリーダーでよいのかを考えよう
ここで、国民は冷静さを取り戻して、しっかり考えるべきだ。本当にこのまま菅内閣に信任を与えたまま、窮乏生活に突き進んでいくのが正しいのかどうか。
確かに危機のときは、国民は団結しなければならない。それにしても、現在のリーダーをそのままかつぎあげるのがよいかどうかは全くの別問題だ。
このまま菅内閣の暴走を許していると、日本経済は本当にダメになってしまうだろう。
森永卓郎(もりながたくろう)
1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発総合研究所、三和総合研究所(現:UFJ総合研究所)を経て2007年4月独立。獨協大学経済学部教授。テレビ朝日「スーパーモーニング」コメンテーターのほか、テレビ、雑誌などで活躍。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。そのほかに金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。
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