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浜岡原発 天才菅直人
2011年05月10日05時27分 小幡績/アゴラ
http://agora-web.jp/archives/1324290.html
菅直人が久々に政治家として力を発揮した。
彼ほど徹底したポピュリズムを目指し、かつ人気が上がらない総理は歴史上存在しないが、政治家としての面目躍如だ。
浜岡原発の停止要請は完璧なスキームだ。これを直感で決めたのなら、やはり彼は天才であるし、日本にとって彼は天災だ。
中部電力が抵抗すればするほど、経済界の重鎮が反発すればするほど、自民党や民主党内の良識派が玄人的な批判をすればするほど、彼は英雄になる。既成勢力と戦う革命的運動家として。小泉の手法を野党的に反社会活動家として応用したらこうなる。
これが本来の彼の姿だ。国家に対する反発、アナーキズム。体制というものは破綻させるためにあるのであり、やや混乱した社会における人々の閉塞感の波に乗り、さらに混乱させて権力と戦う英雄になる。
そのスタイルは権力を持っても変わらない。
中部電力も経団連も自民党も、日本経済を真に憂い、日本政治、日本社会の公正な運営を願う人々も、実体のない不安で膨らんだ原発反対ポピュリズムの前では、彼のこのスキームにかなわない。
プロセスを踏まず、総理自身が突然会見するのは、このスキームの最重要ポイントだ。総理一人が孤独に、果敢に戦う姿を大衆に見せ付けなければならない。社説も編集員もそれは既得権益の強いものたち、大衆の敵だ。彼らの批判は彼にとっての快楽だ。
だから、浜岡だけでいい。他の原発を止めれば大衆の生活が眼に見えて苦しくなり、不満が高まる。だからこれだけで必要十分なのだ。原発の安全性などどうでもいい。スリーマイルのような人為的な単純ミスでの事故は気にしない。それは電力会社のせいだから、もう一度、自分がそれを糾弾し英雄になるチャンスが増えるだけのことだ。人々が不安なのは、地震と津波。それだけを利用するのだ。
したがって、私は彼の人気を高めるようなまともな議論は浜岡に関してはしないこととする。
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