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菅“狡猾”原発延命に奏功 「次は枝野…」長期政権マジっすか?
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110509/plt1105091622001-n1.htm
2011.05.09 夕刊フジ
ゴールデンウイーク前に盛り上がっていた「菅降ろし」が急速にしぼんでいる。与野党ともに菅直人首相(64)の自主的退陣を望む声は多かったが、先週末、菅首相が「中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請」という奇策をブチ上げ、流れが変わりそうなのだ。加えて、倒閣運動の中心にいる小沢一郎元代表(68)に対する根強いアレルギーや、民主党内の「ポスト菅不在」が、菅延命を補強している現状もある。
中部電力は、政府から要請のあった浜岡原発の全面停止をめぐり、9日午後にも臨時取締役会を開催。同社首脳は事前に「次で結論を出したい」と話しており、要請を受諾する見通しだ。
それにしても、菅首相の6日の記者会見は唐突な感が高かった。
実際、浜岡原発停止について政府内で慎重に検討・分析された形跡はない。にもかかわらず、「この地域は30年以内にマグニチュード8規模の東海地震が発生する可能性は87%と極めて高い」「国民の安全と安心を考えた。浜岡原発で重大な事故が発生した場合、日本社会全体に及ぶ重大な影響を考慮した」と発表したのだ。
背景に、米国の存在を指摘する声がある。官邸周辺はいう。
「東日本大震災の発生直後、米国はエネルギー省や原子力規制委員会(NRC)の専門家を複数来日させ、東京電力福島第1原発事故の収束方法とともに、浜岡原発についても『ここで福島第1と同様の事故が起きれば首都圏が壊滅しかねない』と警告していた。官邸はこれを放置していたが、菅首相の『政権延命に向けた勘』なのか、ここに来て急に動いた」
福島第1原発の悲劇を目の当たりにしているだけに、野党各党も真正面からは批判できない。
「電力供給はどうなるのか?」(自民党の石原伸晃幹事長)、「十分な検討を加えたうえでのことなのか」(公明党の東順治副代表)などと、日本経済への影響や、根回し不足に文句を言うぐらいなのだ。
永田町の「菅降ろし」も弱まりつつある。
急先鋒だった小沢氏も6日、切り札と位置づけていた「内閣不信任案」が野党側から出た場合の対応について、「今、そんなことを考えているわけではない」と述べるにとどめた。
政治評論家の有馬晴海氏は「東日本大震災や原発事故への拙い対応で、政界では『菅首相には任せられない』が大勢だったが、結局、消去法で菅首相が居座ることになるのでは」という。
「野党が倒閣するには不信任案で小沢氏と組まねばならないが、自民党や公明党は『政治とカネ』を抱える小沢氏とは組めない。民主党内では、政治力から考えて、『次は小沢氏。それ以外は格落ちで、菅首相よりマシだと言い切れない』との空気。しかし、小沢氏は(刑事被告人で)党員資格停止処分を受けており前に出られない。人材が枯渇している」
確かに、「ポスト菅」として名前が浮上する顔ぶれを見ると、「帯に短したすきに長し」(民主党関係者)の感がある。
■「代わりがいない」国民に不幸な状況
仙谷由人官房副長官(65)は、1月の内閣改造で官房長官を降ろされて菅首相とは距離ができた。「自民党の大島理森副総裁らとのパイプもあり『菅抜き、小沢抜き』の大連立を進められるのは仙谷氏しかいない」(民主党中堅議員)といわれ、仙谷氏に近い若手議員も「次は、仙谷氏がいい」と言ってはばからない。
しかし、昨年11月に国務大臣として問責決議を受けているだけに、自民党には「論外だ」(中堅)との意見が根強い。
岡田克也幹事長(57)には、昨年の参院選と今年の統一地方選で民主党を惨敗させた責任がのしかかる。
仙谷氏が一時、「ポスト菅」に想定していた野田佳彦財務相(53)は、名前が出てこない世論調査もあるほどの地味さがネック。以前は大本命だった前原誠司前外相(49)は、外国人からの違法献金問題で自ら外相を辞任しており、“1回休み”が現実的だ。
玄葉光一郎国家戦略担当相(46)を推す声もあるが、被災した自らの選挙区にガソリンを融通した疑惑を週刊誌に報じられ、党内で待望論が広がる気配はない。
「小沢系」としては、樽床伸二元国対委員長(51)や原口一博前総務相(51)が政権批判を強め、意欲を見せているが、非主流派すらまとめきれていない。
反菅陣営のジレンマを見越してか、菅首相は最近、「次は枝野(幸男官房長官)や細野(豪志首相補佐官)の時代だ」と周囲に話しているという。それぞれ、46歳と39歳の中堅・若手であり、総理適齢期の政治家を飛ばすあたり、長期政権への自信がうかがえる。
有馬氏は「次を担える政治家がいることが、現職首相が頑張る原動力になる。三角大福中の時代がそうだった。いまのままでは、菅首相は『ただ居座るだけ』という状況になりかねない。代わりがいない状況ほど、国民にとって不幸なことはない」と話している。
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