http://www.asyura2.com/11/senkyo112/msg/791.html
| Tweet |
緊急の記者会見を開き、「浜岡原発の停止を決定しました」と我が国の首相が宣言しました。「英断だ」と多くのメディアが賞賛する一方、疑問の声も続出し始めています。
・法的根拠も曖昧な場当たり的措置である。
・突然の命令を受けた中部電力側や株主達が被る迷惑はどうするのだ。
・様々な助成を受けていた地元自治体の財政や、地域の雇用は考慮されているのか。
・夏場の電力需要のピークにはどのように対処するのだ。
・福島原発の事故原因の詳細な分析も無い状態で、非科学的な対応だ。
・他の原子力発電所はどうする。
．．．等々
福島第一原発の事故発生以来、原子力の利用に反対する声が全世界的に高まっている中で、「原発停止」の判断自体を非難する人は少なかろうと思いますが、今回の政府の「唐突な」方針発表に対しては、私も様々な疑問を感じます。
浜岡原発が活断層上に位置し、近い将来に起きると予想される東海地震で被害を受ける可能性があるという事は、何も今になって判明した訳では無いのですね。今回の福島第一原発の事故により、浜岡原発の潜在的な危険性を改めて検証した結果の「科学的な」判断であるというのが政府の説明ですが、上記のように指摘されている様々な問題に対しては何らの見解も示されておらず、「拙速」 「失地回復の人気取り」 「これまでの失政に対する批判を躱（かわ）したいのだろ」 等との批判もムベなるかなと思うのですね。
浜岡だけでなく、原子力発電という物理的設備の安全性自体に疑問が呈されているのであれば、過去数十年に亘る我が国のエネルギー政策／電力産業政策／発電所建設地域の振興策／等という国家の根幹的かつ構造的な問題を抜本的に見直すべきだと思うのですね。現政権は、「熟慮の結果」であると強調していますが、記者会見の場で出された上記のような疑問に対しては何ら明確な答えが示されなかったのです。「先ずは浜岡原発の稼動停止を決定した上で、それによって生じる様々な問題への対応を早急に検討する。」という程度のコメントでも付加されていれば良かったのですけど。
現政権の方々や馬鹿メディアの方々の対応については、ボールが転がる方向へ全員が駆け出してしまう小学生のサッカーを見ているように感じるのですね。例えば、大震災が発生する以前に今回の決定を発表していたのであれば、私も大いに評価したと思います。発表直後には様々な意見が飛び交うこととなるでしょうが、福島第一原発の事故の後には正に「英明な」決定であったと賞賛された筈です。まぁ、そのように卓抜な先見性を現政権の方々に期待することは、今回の地震で発生した津波の高さ以上に「想定外」となるのでしょうが。
・「補正予算審議後に国会を解散する事が不可避であり、その後の総選挙で多少なりとも票を稼ぐため。」
・「HAARP （地震兵器）による次の標的が東海沖である事を米国政府から知らされたので。」
・「惑星ニビル（Planet X）の大接近によって近々にポールシフトが起きるとの極秘情報を入手したので。」
・「私の奥さんに頼まれたので。」
何でも結構です、「唐突」な決定に至った経緯について適切に説明して欲しいものです。
一方、福島第一原発の事故による被害への対応も混迷しているようです。類例の無い被害総額となるのは間違い無いのでしょうが、それを誰がどのように補償するのかというのが大きな問題ですね。
【東電の責任】
東電の経営陣は「想定外」という事を理由に補償範囲の上限を認めてもらいたいのでしょうが、事故原因の究明結果次第では責任を逃れることができなくなるでしょう。東電が無限責任を負う場合には、経営陣や社員だけでなく、その株主や社債保有者達が損失を被ることも止むを得ないと思います。ただし、莫大な損害額を今後長期間に亘って返済するとなれば、水俣病患者への継続的な補償を義務として存続したチッソと同様に、企業としての経営を続けられるような措置を講ずる必要があります。
【官僚の責任】
過去数十年に亘って原子力発電を推進してきたのは経済産業省（元の通産省）／資源エネルギー庁に勤めていた歴代の官僚の方々なのですね（国民向けに公開している情報は、とてもお粗末ですが）。現在注目を浴びている原子力安全委員会／保安院だけでなく、様々な外郭団体／関連公益法人を天下り先として、非常に多くの官僚の方々が「我田引水」という構図で私利を貪ってきた訳です。これまでの我が国のエネルギー政策自体に誤りがあったのだとするならば、既に役得を享受しきってしまったお歴々の責任はどうなるのでしょう？。
【政治の責任】
何しろ、短期間にコロコロと首相が変わる国ですからね、エネルギー政策だけでなく、長期に亘る政策について継続的に主導権を持つ政権など存在しなかったのですよ。時々の政権に参画した閣僚の皆さんは「大臣」という肩書きをもらうだけで浮かれてしまい、在任期間中だけ官僚達の手のひらの上で踊らされる存在だったのです。まぁ、一度でも「大臣」という肩書きをもらえば、「正／従何位という官位を貰えるので末代まで誇れる」という程度の認識しかないのでしょう。個々の政策に関しては官僚の方が深い知識を持ってるだけでなく、元々政治家のセンセー方より高い知能を持っているので、如何様にもダマされてしまうのですね。
【国民の責任】
一般論として、企業 < 官僚（行政） < 政治 < 有権者 という順位で優位性を与えられるのが「民主主義」の建前です。しかし、ここに現代社会の矛盾の根本的な原因があるように思うのです。賢い官僚の皆さんにダマされるおバカな政治家のセンセー方を選んでいるのは、他でも無いおバカな有権者である国民の皆様なのですね。これは、日本に限らず、自由主義を標榜する全ての国家において現出している政治／経済／社会の構造的問題の根源的原因だと思うのです。かつてはイデオロギーとも形容された社会思想の問題でもあるのですが、おバカな大多数の有権者の皆様には問題の存在すら到底理解できないのかもしれません。何れにしても、「東電の事故に起因する全ての被害を国家が補償する」という政治判断が下された場合に、おバカな政治家を選出したのがおバカな有権者の皆様であるならば、国民（の税金による）負担という結論を甘受せねばならないのですね。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます（表示まで20秒程度時間がかかります。）
▲このページのＴＯＰへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・ＮＨＫ112掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
