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国民の安心・安全のためと声高に主張しながら、その実、胸に秘める何らかの思惑をそれにすり替えている風景が、政界ではしばしば見られる。東日本大震災と東電福島第1原発事故による被災者の方々には誠にお気の毒なのだが、未曾有の国難に直面しているにもかかわらず、政治家という仕事に就いている人は、程度の差こそあれ、そういうことを考える性癖がある。
ことのほか、もはや自身の面目と政権にかじりつくことしか考えていない菅直人首相は、そうした体質を強く持ち合わせているようだ。首相は6日夜、官邸で記者会見し、浜岡原発(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請したことを明らかにした。静岡県を中心とする東海地震の発生確率が高いためで、期間は、防波壁の設置など津波対策が実現するまでになるそうだ。
国民の多くは原発事故の行方を気にしており、周辺に原発があるような地域ではなおのこと、これからの原発対応に関心が向いているはずだ。となれば、首相のこの判断はおおむね好感を持たれるだろうから、マスコミ各社の世論調査の結果が出れば、おそらく、内閣支持率は上がっている可能性が大きい。
皮肉を込めていわせてもらえば、首相は、いつ以来か思い出せないほど久方ぶりのクリーンヒット≠放ったといえる。初動対応の遅れや事故への備え、賛否が交錯する現地視察など、一連の不手際を覆い隠せるかもしれないわけだ。と、そのように思っていたのだが、本日、気になる報道に接した。
それによれば、中部電への要請は首相会見の約40分前だったというではないか。中部電が7日に開いた臨時取締役会では、他の電力会社から電気を買う「電力融通」のメドが立たないなどとして、要請を受け入れるかどうか結論を出せなかったが、政府のやり方がこれほどまでに唐突であったなら、致し方あるまい。
首相またしても、考え違いな「政治主導」の名の下に、一方的な押しつけ手法を懲りることなくやり続けていたわけだ。細野豪志首相補佐官が7日の民放番組で、浜岡原発の停止は「4月の頭あたり」から検討していたことを明らかにしたが、それ以降、中部電と事前調整すべきだとは思わなかったのか、実に不思議である。
これでは、かえって混乱を招き、一時的に内閣支持率は上がるかもしれないが、ほどなくしてまた下降していくことは請け合いだ。にしても、首相のように、マスコミの映り方やら内閣支持率の動向やらばかりを気にして、事を実際に動かすという政治の本質をないがしろにしているようでは、本末転倒の始末となるほかはあるまい。
http://hmatsumoto.iza.ne.jp/blog/
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