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◎連休明け政界、百鬼夜行の局面へ
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09
2011-05-09 07:40 永田町幹竹割り
連休中の政界とマスコミの動きを分析すると、政界は「菅降ろし」を遠巻きにして、連休明けからじわじわその輪を狭めようとしている。菅直人はしがみついた首相の座を死んでも離さない姿勢。一方全国紙は菅政権支持の方針を鮮明にさせた朝日が、全ての政治報道を「菅降ろし失速」のトーンで統一。逆に産経は全ての政治現象を「菅降ろし過熱」といった表現で、何が何でも倒閣につなげようとしている。いずれも不偏不党の標榜とはほど遠いありさまだが、現実に紛れもなく存在する政治の動きをあえて無視しようとしている朝日に報道の公正さに問題がある。
新聞紙面がこれほど割れたことは珍しい。朝日が「倒閣失速」と書いた3日に読売は、「菅降ろし駆け引き本格化」である。政局の読みが真っ向から対立した紙面だ。しかしその前の4月26日付社説で朝日は「菅おろしの余裕はない」と菅政権支持を打ち出しており、この編集方針に統一された意図的な記事だといえよう。朝日はまさに「菅降ろし反対」をキャンペーンにしており、4日の社説でも「政争やめるにしかず」で追い打ちを掛け、7日付紙面では編集委員・星浩が再び「菅降ろし失速」と駄目押しをした。ところが6日には小沢の注目すべき発言があった。内閣不信任案が提出された場合の対応について、「今、そんなことを考えるわけではない」としながらも、菅の東日本大震災、福島第1原発事故への対応を「手をこまねいていて済む問題ではない。『政府の対応はこのままではいけない』という声を強くしていきたい」と述べたのだ。この発言を読売が、「小沢氏『声大きくしていく』政権批判強化へ」、日経「小沢元代表、表立った首相批判を開始」、産経「首相退陣論の広がりに期待、菅政権を重ねて批判」と、いずれも菅降ろしへの前向き姿勢ととらえた。しかし朝日のみが「小沢氏、政権見守る考え、不信任案『今は考えていない』」と、あたかも菅降ろしを断念したかのような掌握の仕方だ。
事実や政治家の意図をねじ曲げてもここは菅降ろしをつぶそうという、魂胆がありありと見える紙面構成だ。朝日だけを取っている一般読者はそうかと思わざるを得ない巧妙な紙面でもある。しかし実際に菅降ろしは失速しているのだろうか。失速とは飛行機が飛びたったあと操縦の自由を失って危機的状態に陥ることを意味するが、実態は逆だ。菅包囲網はじわりと狭まっている。朝日は1次補正成立を、失速の原因に挙げるという決定的な間違いをしている。1次補正は緊急災害対策であり、野党も反対は不可能であろう。問題は巨額な財源を必要とする第2次補正をめぐる思惑や赤字国債発行法案など予算関連法案がひしめいている会期末までを見通しているかということだ。普通の政局判断があれば菅降ろしは、まだこれからであることが判る。
もっとも菅降ろしをする側も、与野党共に調整すべき課題はある。まず民主党内だが、小沢と鳩山由紀夫の間に取り組み方の齟齬(そご)がある。小沢は野党の不信任案に乗ってもよい構え、つまり党分裂も辞さない構えだが、鳩山は違う。鳩山は「党分裂を来さない菅降ろし」が基本だ。野党は公明党が“よい子”になろうとして、大震災無視の政変に躊躇しているのが気がかりだが、代表・山口那津男の物言いから見て、菅を見限っていることは確かだ。自民党内は、大連立を視野に入れた場合小沢と組めるかどうかが焦点だ。元首相・安倍晋三らは小沢と組んでもいいという姿勢だ。つまり倒閣で連立だ。逆に古賀誠らは菅で連立も辞さない構えだ。つまり現政権を母体にした連立だ。一方で連立自体に反対する勢力もある。統括すべき総裁・谷垣禎一は倒閣発言にふみきったものの、持ち前の優柔不断さが災いして党内の意見を集約して行動としての倒閣に踏み切れないでいる。
こうした攻める側の思惑が一つの動きとして収れんされていくまでには、時間を必要とする。しかし菅が逃げ込もうとする通常国会会期末6月22日までの1か月半は、まさに百鬼夜行の政局が現出するだろう。大震災への対応の緊急性から言っても会期延長は当然すべきであろう。とても早々と「菅降ろし失速」などと断言できる情勢ではあるまい。だいいち飛ばないうちから失速するわけがない。菅は浜岡原発の停止要請など一時しのぎのパフォーマンスで乗り切ろうとしているが、例によってあまりにも唐突で、根底には保身の思惑がありありである。やっと及ぼす問題の深刻さに気付いたか、急きょ政権は菅も官房副長官・仙谷由人も8日、原発停止を浜岡のみに絞ることを表明。新エネルギーが代替エネルギー源になり得ない状況下においては当然だ。これでは支持率が若干戻っても一過性だろう。
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