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「現行案が頼みの綱」鳩山首相が国務長官に 米公電訳
http://www.asahi.com/politics/update/0506/TKY201105060405.html
2011年5月8日11時31分 朝日新聞
09TOKYO2946
発信地:東京 日付:2009/12/30 分類:極秘
12月21日に開かれた、大使と藪中三十二外務事務次官との昼食会
1.要約:藪中三十二外務事務次官は12月21日、大使に対し、韓国政府は、北朝鮮が動く兆候を感じ取ってはいるが、北朝鮮から意味のある行動が打ち出されない限り、北朝鮮にとって魅力ある提案をすることはないだろうと述べた。岡田外相の今後の外遊は、ロシア、トルコ、ビルマ(ミャンマー)のほか、おそらく1月にはワシントン訪問があるかもしれない。藪中自身も、岡田の訪米に先立ってワシントンの訪問を計画するようだ。普天間移設と同盟管理については、鳩山首相はクリントン国務長官とコペンハーゲンで会談した際、もし他の選択肢がない場合には、現行案が最後の頼みの綱になるだろうと確認した。藪中は、いまは政治的な過渡期で、政治情勢も不安定化しているさなかなので、日米がより非公式な形で対話を進める方が、より公式的な協議の枠組みを定めるより望ましいという考えも明らかにした。藪中は、鳩山首相はいくつかの政策課題については助言を抱え込み、補佐する立場の者にさえ自らの考えを明かさないことが、誤った印象を作り出してしまっていると述べた。それにもかかわらず、藪中は日米同盟については楽観的であり、同盟に対する国民の支持は依然として強いとも述べ、国民やメディアを説得し、情報を伝えていく上でメディアへの広報対策が効果的ではないかと付け加えた。民主党の小沢一郎代表(訳注:幹事長)が政策形成にあたって果たしている役割は依然として不透明だが、小沢は自分が大きな影響力を行使しているという印象を持たれていることを十分に認識している。藪中は、日本はイラン最高安全保障委員会のジャリリ事務局長が訪日している間に、強いメッセージを伝えるとも確約した。要約終わり。
藪中の訪韓
2. 藪中は、週末に訪韓して済州島で韓国側と会談したことを報告した。韓国政府は、北朝鮮が動く兆候はあると見ているが、核問題に対して北朝鮮側が意味のある行動を示さない限り、韓国側として応じる考えはない、という。藪中は、この姿勢は盧武鉉前大統領の時代からの変化を示すものだと指摘。盧政権であれば、北朝鮮との雪解けの進展の兆候があれば、もっと前向きに対応していただろうと示唆した。
3. 藪中は、韓国側と率直に会談し、新しい民主党政権を取り巻く日本の国内の政治情勢や、政局の動向、普天間移設や米軍再編ロードマップをめぐる議論を含む日米関係の広い分野にわたって意見を交わしたと話した。藪中は、韓国も、金大中大統領から盧大統領に政権が移った2003年に、日本と同じような国内の大きな政治変化を経験したと付け加えた。藪中によると、韓国は、現在の日米同盟を取り巻く問題の「深刻さと切迫さ」を理解していたが、韓国がこの問題に「懸念している」とまでは言わなかった。
外相の外遊
4. 岡田外相は、12月下旬から1月初旬にかけて、広く海外を回る。外遊先はロシア、トルコ、ビルマ。クリントン国務長官とも1月に会談をしたいと考えている。藪中自身も1月の第1週にワシントンに飛び、岡田外相の外遊を準備するため国務副長官に会うことを提案した。
鳩山は普天間移設現行案を「頼みの綱」だと確認
5. 藪中は、鳩山首相がコペンハーゲンで長官と会談した際、普天間飛行場を辺野古に移転する案の代替案についての再検討が実行可能な案に結実しなかった場合は、日本政府は2006年の普天間移設合意に立ち戻ると確認したと伝えた。鳩山と長官との会談について報じた最近の新聞報道は正しくないと、強調した。
非公式の会談が望ましい
6. 今後何カ月かの同盟の問題をめぐる日米の協議のあり方について、藪中は、非公式の会合が、「2+2」のような公式の協議形態よりも望ましいだろうと提案した。非公式の会合であれば、両国の政治家が、かぎとなる課題について基本的な相互理解に達することができ、東アジアの包括的な安全保障戦略を再検証し、新政権が安全保障問題に真剣に取り組む姿勢を持っていることを示すこともできる。一部の民主党の指導者にとって、日米の安全保障政策の背景となっている詳細な事情や根拠について理解するのが難しい場合があることを考慮に入れれば、公式的な協議形態はより危険が高い、と藪中はいう。鳩山政権や連立与党の政治指導者たち(その両方か、あるいはどちらか)が、同盟を巡る課題や今後の選択肢について理解が不十分だったり間違っていたりするのに、そうした理解を元に方針を決める可能性があるためだ。非公式の協議は、11月の大統領の訪日を見据え、来年にかけて指導者を教育する機会になるだろう。大統領の訪日は、日米同盟50周年をより肯定的な雰囲気の中で祝う機会になるだろうし、その土台は、来年を通じて進められる緊密な協議の中で育まれるだろうと藪中は述べた。
安全保障問題について鳩山を評価
7. 藪中は、首相への助言者たちはいろいろな考えを持っているが、彼らの私的な助言は表に出てこない、と述べた。時として、鳩山自身の考えを読み取るのが難しい。政策の見方や分析に対して、鳩山は異を唱えるようなことはほとんど言わないことが多いので、鳩山の助言者たちは、実際はどうせない場合も、鳩山が自分たちの意見に賛同したとか、ある特定の立場を受け入れたとかいう印象を持つことがよくある。こうした鳩山の遠慮がちな態度が、首相の考えをめぐり、あいまいさや混乱をもたらすことにつながっている。藪中は、米国が鳩山首相と一緒になって、安全保障問題の基本的な部分について検討、確認し直すことが得策だと述べ、中国への関与政策やその他の政策ももちろん大切だが、日米関係が安全保障の基礎を提供しなければならないと述べた。強力な日米関係が永遠の「有効期限」を持っているわけではなく、鳩山政権が重大な結果を引き起こさずに、国内政治を優先して同盟にかかわる問題をおざなりにすることはできない、ということを、鳩山に強く印象づけることが重要だと述べた。同盟には、絶え間なく配慮を配り、はぐくんでいくことが必要なのだ。
楽観の理由
8. 藪中は、岡田外相は就任以来、安全保障問題への理解を深めているとして、日米同盟の重要性について民主党の政策決定者を教育することに楽観的だとした。さらに、最近の世論調査では、日本国民の65%が日米同盟を支持している。藪中は、メッセージを発信することと、それを伝える手段も重要だと付け加えた。例えば、10月の訪日の際、ゲーツ国防長官の普天間問題に単刀直入に切り込む姿勢は、日本ではあまりよく受け止められなかった。一方で、オバマ大統領は日本では人気があり、同盟強化をてこ入れする手段になりうる。
メディアと広報
9. 原則として、国民は同盟を支持しているにもかかわらず、世論一般やメディアの一部は安全保障問題をよく理解していない、と藪中は指摘した。新聞の論説委員や財界は問題をかなりよく理解しているが、テレビのコメンテーターや政治家たちは、安全保障問題をしっかりと把握していない。彼らを教育することには価値があるかもしれないと、藪中は付け加えた。特に、藪中は、手を伸ばせばうまく応じてくれることが予想される、影響力も人気もあるテレビのコメンテーターの何人かについて言及した。
小沢の役割
民主党の小沢代表の政策決定における役割は、いくらか不透明な部分があるが、小沢の世界観は明瞭だと藪中は述べた。日本はアメリカが要望を突きつけるたびに唯々諾々と従ってきた、という考えが、小沢の考え方には深く埋め込まれていると藪中は述べた。小沢が650人の民主党のメンバーを引き連れて最近、中国に外遊に出たことについて、あたかも中国への「朝貢」のように受け止められたことに、小沢は当惑しているという。このような行動がメディアにどう報じられるかを予見できないことが、政治家としてメッセージを発信するにあたって小沢が時として示す欠点を反映しているのだと、藪中は述べた。そうはいっても、小沢は、陰で実権を握っていると見られている自分自身の役割を認識しており、報道によれば、鳩山首相には、万一自分が普天間問題に関わるようになったら、小沢が民主党の立場を決めているとメディアは伝えるだろうと述べたという。
イラン
11. 首席公使からの質問に対し、藪中は、日本は訪日中のイラン最高安全保障委員会のサイード・ジャリリ事務局長に、イランが交渉の場に戻って「P5プラス1」の提案に前向きに応じるよう、強いメッセージを伝えると確約した。藪中は、佐々江賢一郎外務審議官が、ジャリリと朝食を取ったと説明。佐々江と岡田外相が、イランは義務を果たさなければならないという、一貫した明確なメッセージを伝えると述べた。藪中はまた、交渉促進に役立つのであれば、「P5プラス1」の会談場所を日本が引き受ける意欲があるとも述べた。
ルース
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