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【菅政権考】「人の心が分からない首相」 言いたい放題の与野党
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110508/stt11050809350001-n1.htm
2011.5.8 09:33 産経新聞
かつてこれほど、その「人格」が問題にされた首相がいただろうか。与野党から沸き上がる退陣要求を退け、その地位にしがみつく菅直人首相(64)のことである。政治の要諦は「民、信なくば立たず」(論語)だとされるが、もはや信のあるなしというレベルではない。
■復旧・復興は夢物語
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、政府に「計画的避難区域」に指定された福島県飯舘村を4月28日に訪ねた。
「政府が同じ情報や指示を出すにしても、心があるかないかだ。そこにフォローや気遣いがあれば後々生きてくるが、それがないとマイナス効果となる」
村役場の村長室で、菅野典雄村長は言葉を選びながら語った。菅野村長は翌29日の住民説明会では「全村避難は嫌だったが国に押し切られた」と述べている。
机上には、4月18日の参院予算委員会で、たちあがれ日本の片山虎之助氏が首相に「あなたには心がない」と指摘した問題を取り上げた毎日新聞の23日付コラムのコピーが積まれていた。筆者の岩見隆夫客員編集委員はこう締めくくっている。
「とにかく、菅の言葉には、心がない」
一国の首相が「心がない」というキーワードで語られるのは異様だが、これは一部の見方ではない。他紙を見ても、首相の人間性への失望がにじむ。
「国を挙げて震災復興にまい進しなければならないこの局面で、菅首相の悪評の多さは尋常ではない」(日経新聞5月1日付、西田睦美編集委員)
「国民は全知全能の神を求めているのではない。国民の痛みに心を砕き、公平無私で事に当たるリーダーであってほしいだけだ」(毎日新聞3日付、古賀攻政治部長)
当然、これは政界でも同様だ。みんな言いたい放題だ。
「人間としての問題がある」(自民党の石原伸晃幹事長)、「人としてどうかだ」(民主党の桜井充財務副大臣)、「人間として問われている」(社民党の阿部知子政審会長)…。
こんな首相のもとで国民が心を一つにし、与野党が手を携えて復旧・復興に取り組むなど、そもそも夢物語ではないか。
■後任は名乗り出る
「私は、理屈は立つけれどどうも情が足りないとみられているし、もしかしたらそうしたことが私の欠点かもしれない」
首相は昨年7月、甲府市で街頭演説を行った際、こんな自己評価を披露している。
「理屈が立つ」というのが本当かどうかは、その後の言動を追う限り疑問だ。だが、「情が足りない」との点は、首相がたびたび「言葉に血が通っていない」(自民党の島尻安伊子参院議員)という指摘を受けることからもうなずける。
「(君主=指導者は)よい気質を、なにからなにまで現実にそなえている必要はない。しかし、そなえているように見せることが大切である」
マキャベリは「君主論」でこう強調しているが、首相はこれにも完全に失敗している。
このように、誰が見ても「あまりに徳がない」(公明党幹部)ことが明らかで不人気な首相が、なぜ曲がりなりにも首相を続けていられるのか。
それは、衆目の一致する「ポスト菅」が見当たらないという消極的な理由にある。
まさか刑事被告人である民主党の小沢一郎元代表を首相にするわけにはいかない。外国人からの違法献金が発覚したばかりの前原誠司前外相は「1回休み」だろう。
選挙に連戦連敗を続けている上、暗い岡田克也幹事長では危機の時代のトップにふさわしくない。かといって野党の自民党から首相を迎えるのでは、民主党内がまとまらない。
誰もが減点主義に陥り、不安を先取りして尻込みしている。だが、ここは発想を変えた方がいいと考える。
菅首相さえ辞めさせれば、後任はいくらでも名乗り出てくるはずだ。100点満点の新首相など望むべくもないが、少なくとも人の心が分からず、無能そのものの現首相よりましではないか。(政治部 阿比留瑠比)
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