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菅首相は6日夜緊急記者会見をし、中部電力浜岡原発の運転を全面停止するよう中部電力に要請したと発表した。中電はこの要請を受け「迅速に検討する」との社長コメントを発表した。現在の社会情勢から、中電は稼働中の浜岡4号機、5号機の運転を停止し、定期点検中の3号機の運転再開を見送ることになるだろう。この要請が菅首相のパフォーマンスであることは間違いないが、それをどう評価すべきかである。
毎日7日朝刊は、「地元住民や自治体、関係者の間には戸惑いと歓迎が交錯した」と報じている。浜岡原発の危険性を訴えていた市民団体などからは、「英断だ」とする声が上がっているが、「あまりにも唐突で人気取り」「交付金に依存する自治体財政はどなる」との疑問視する声もあるそうだ。人それぞれの立場でこの要請に対する評価が違うのは当然だろう。
連休が明けの国会では、福島原発事故の収束問題(工程表)と文部科学省が福島県に出した学校等の校舎・校庭での放射線量の目安、「年20ミリ・シーベルト」が問題になるのは間違いない。原発事故対策での、菅首相の対応はある意味でミスの連続であった。だが、そのミスを野党・自民党がそれを強く批判・追及できなかったのは、原子力政策の責任の大半は自民党政権時代に起因するからである。
浜岡原発については、07年に静岡地裁で「原発の運転差し止め訴訟」があり、斑目春樹現原子力安全委員長が証人尋問で、非常用発電機が機能喪失することまで想定しない理由を問われ、「割り切った考えだ。すべてを考慮すると設計ができない」と証言していた。当時、斑目氏は原子力安全委員ではなかった。だが、その考えが原子力安全委員として相応しくないとして、原発事故を機に批判された。当然である。
この件について斑目委員長は国会で、「割り切り方が正しくなかった。原子力安全委員会は原子力安全に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならない」と自己批判をした。それで一件落着となった訳ではない。それに追い討ちをかけたのが、4月29日に内閣官房参与の小佐古東大教授(放射線安全学)が、原発事故の政府対応を批判しての抗議の辞任である。その原因は原子力安全委員会にあった。
原子力安全委員会は、4月19日原子力事故対策本部長(=菅首相)に対し、「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」に対する技術的助言を行った。文部科学省はこの助言に基づき、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリ・シーベルトと云う基準を福島県に示した。問題はこの数値と行政手続きである。
多くの人が批判しているように、年20ミリ・シーベルト(=3.8マイクロ・シーベルト/時)は、労働基準法で18歳未満の者の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロ・シーベルト/時)の約6倍の値になる。つまり児童生徒が、労働基準法で禁止されている管理区域よりも、放射線量の多い環境に居てもいいとの「お墨付き」を、原子力安全委員会が与え、それを首相が認めたと言うことになる。
小佐古東大教授が言うように、年間20ミリ・シーベルト近い被曝をする人は、原発の業務従事者など極めて少ない。その6倍以上の被曝を成長期の児童生徒に認めることは人道的ではない。しかも、この数値を決めるに当たって、安全委員会が開催され議論されなかったことまで暴露された。さらに小佐古教授の辞任に当たり、政府は守秘義務を盾にその記者会見を禁止した。教授の言論を封殺する暴挙に出たのである。
教授の辞任は、それまで福島県の子を持つ親の間で燻っていた声を、国会議員の中にまで広げた。その中、郡山市などの学校で校庭の表土を削り取り、放射線量が著しく低下する実績が出てきた。処が、文科省や枝野官房長官は基準値以内の学校では、そのような表土除去をする必要がないと発言したのだ。放射線被曝量は限りなくゼロが望ましい。緩めた問題のある基準値以下なら、それでよいはないだろう。
こういう原発事故に関係する波乱要素を多く持ちながら、連休明けの国会に菅首相は臨むことになる。それに先制攻撃をかける。おそらくそう考え、国民の反原発の風を味方にすべく打ったパフォーマンスが、この浜岡原発全面停止だろう。もし、原発問題を真剣に熟慮していたなら、全原発についての計画的な見直しなど、もっと戦略的な施策が既に発表されていたはずだと、筆者は思うのだ。貴方はどう思うのだろう。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=108408
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