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近聞遠見:「菅降ろし」と政治報道=岩見隆夫
http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/
毎日新聞 2011年5月7日 東京朝刊
「大型連休中は必ず水面下で動く」
と以前から言われてきた。政界ジンクスみたいなものだ。仕掛けをし、策を練る。それが連休明け、表に出る。
今年は、かつてない<大震災>という緊急事態が加わって、単純でなく、
<菅降ろし>
をめぐって、政界とマスコミ界の迷走が始まった。迷走は毎度のことだが、今回は放置すると取り返しのつかないことになりかねない。
特に新聞だ。最近はテレビ政治と言われながらも、新聞の政治報道が流れに大きくかかわっている。
いま、政界に菅直人首相の積極擁護論はない。民主党は結束論から退陣論まで割れ、自民、公明両党は倒閣でまとまっているものの、党内に積極、慎重の両論がある。
そうした混迷をどう報じるか。連休中日の3日付、第1次補正予算成立翌朝の主要紙政治面で検証してみる−−。
まず、見出しだが、
▽倒閣失速(朝日新聞)
▽「菅降ろし」駆け引き本格化(読売新聞)
▽首相、姑息(こそく)な延命 強まる不信(産経新聞)
▽野党 描けぬ倒閣シナリオ(毎日新聞)
となっていた。4紙4様だ。4紙読む読者は少ないだろうが、読めば混乱する。「朝日」だけの読者は倒閣なし、「毎日」も倒閣遠のく、と思う。逆に「読売」「産経」は、これから本番、と受け止める。
政治状況は一つなのに、なぜこれだけ差が出るのか。内閣不信任案の成否と倒閣勢力(自民、公明両党と民主党の小沢グループなど反菅勢力)の動向がカギだ。
記事を子細に読むと、「朝日」は失速の裏付け材料として、
<4月30日夜の小沢一郎・元代表との会合で、「小沢に元気がない」と出席者の一人は感じた>
とか、
<「意外とこの政権は続く」(自民党幹部)とあきらめにも似た空気も漂い始めている>
など、「毎日」も、
<野党側からは「ホームラン(倒閣)をやめて、ヒット(政権批判)を打ち続けるしかない」(公明党幹部)との声も漏れる>
といったコメントが記事の流れを補強している。一方の「読売」には、
<参院民主党幹部は、「1次補正が通れば、首相はもう辞めていい」と述べた>
など逆のコメントが載った。デリケートな局面で、名前のない幹部コメントは極力避けた方がいい。そうでないと、誘導的に感じられ、記事の信頼性をそぐだけでなく、政局に悪影響を与える。
実相は、<失速>と<本格化>の中間あたりで揺れているのだろう。報道は推測的誘導を排し、ありのままに徹するべきだ。
主張があるなら、責任ある立場の署名記事ですればいい。「朝日」は若宮啓文主筆が、
<膨れ上がった首相不信の中で与野党の全面協力を望むのなら、ここまでやったら退くという「工程表」を示す手もあろう>(1日付)
と提言した。十分傾聴に値する。菅首相にはそうした覚悟こそ求められているからだ。
「毎日」は古賀攻政治部長が、
<菅首相ではその任を全うできないという主張は理解できる。ならば誰ならいいのか。……別の人物を見いだせないのなら、菅降ろしに連なる人々は力量不足を恥じ、「政局ごっこ」からきっぱり手を引くべきだ>(3日付)
と主張した。こちらも明快だ。しかし、非常時に恥じてすむことではない。別の人物を決める知恵とエネルギーに欠けるなら、政治は展望を失う。(敬称略)=毎週土曜日掲載
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